【薬剤師監修】グルタチオンで白髪が増える?期待される効果も徹底解説

皆さんは、美容や健康の分野で注目されている「グルタチオン」という成分をご存じでしょうか。

グルタチオンは体内に存在する重要な成分ですが、加齢や紫外線の影響で減少してしまうといわれています。そのため、美肌やアンチエイジングを目的に「白玉点滴」として取り入れる方も増えています。

一方で、インターネット上では「グルタチオンで白髪が増えるのでは?」といった噂を目にすることもあり、不安に思う方も少なくありません。

この記事では、研究データをもとに、グルタチオンの正しい効果をわかりやすく解説します。

後半では、美容分野で話題の「CBD」の効果についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

【CBDサプリメントおすすめ5つを比較!】薬剤師が選び方のポイントや注意点を解説

この記事でわかることグルタチオンで白髪が増えるかどうか
グルタチオンに期待される効果
グルタチオンの取り入れ方
美容効果が期待できる「CBD」

グルタチオンとは

グルタチオン

グルタチオンは「抗酸化物質の王様」とも呼ばれる成分で、「システイン」・「グルタミン酸」・「グリシン」という3つのアミノ酸がつながって形成されています。

この成分は体内にも存在しており、肝臓で生成され、特に肝臓に多く存在しています。ただ、加齢や紫外線の影響で減少すると言われています。

最近よく耳にする「白玉点滴」は、このグルタチオンを主成分とした美容点滴で、美肌や健康維持を目的に利用されます。

グルタチオンで白髪が増える?

結論からいうと、グルタチオンで白髪が増えることはありません。

「グルタチオンで白髪が増える」という噂は、グルタチオンがメラニンの生成を抑える作用を持つことから生まれたものと考えられます。

しかし、科学的に「グルタチオンが白髪を増やす」という根拠は存在しません。白玉点滴などによって白髪が増えるといった報告もなく、都市伝説に近いものです。

むしろ、グルタチオンは髪の成長に必要なアミノ酸を含んでおり、髪のツヤやハリを保ち、白髪予防に役立つ可能性も指摘されています。

グルタチオンに期待される効果

グルタチオンは、美容や健康にさまざまな効果をもたらす可能性がある成分です。

ここからは科学的なエビデンスを踏まえながら、4つの代表的な効果について詳しく解説していきます。

美白や色素沈着の改善

グルタチオンを利用している女性

紫外線を浴びると、肌の奥にあるメラノサイト(色素細胞)が刺激され、チロシナーゼという酵素が活性化します。

チロシナーゼはメラニンを作り出すため、紫外線を多く浴びるとメラニンが肌に蓄積し、シミやそばかすの原因になります。 

グルタチオンにはこのチロシナーゼの働きを抑える作用があり、摂取することでシミやそばかす、黒ずみを防ぎ、透明感のある肌を保つことが期待できます。

実際に、2012年の研究では、健康な被験者に経口グルタチオン(500mg/日)を4週間投与した結果、顔や日光曝露部位でメラニン指数が有意に低下したことが報告されています。

アンチエイジング効果

グルタチオンは酸化ストレスから細胞を守ることで、肌のシワ・たるみ・シミなどの老化サインの進行を抑える可能性があります。

酸化ストレスとは、体内で過剰に発生した活性酸素が細胞やDNAを傷つけ、老化や病気の原因となる状態を指します。

実際に、2011年の研究では、60〜79歳の高齢者にグルタチオンの前駆体を補給したところ、体内のグルタチオン濃度が回復し、酸化ストレスマーカーが有意に改善したことが報告されています。

これは、グルタチオンが加齢に伴う酸化ストレスを抑制し、アンチエイジングに寄与する可能性を示唆しています。

肝機能の改善

グルタチオンには強力な解毒作用があり、肝機能を改善する効果が期待されています。

実際に2025年の研究では、グルタチオン投与によって肝炎患者のAST・ALTといった肝機能マーカーが有意に低下したことが報告されています。

これは、グルタチオンが酸化ストレスや有害物質の影響から肝臓を保護し、機能回復をサポートする可能性を示唆しています。 

また、グルタチオンはお酒や薬物に含まれる有害物質の排出にも関与するため、二日酔いの予防にも効果的な可能性があると言われています。

がん予防

がん患者と医師

グルタチオンには、がんの発生を抑える効果が期待されています。

実際に、細胞や動物を用いた研究では、グルタチオンが抗酸化作用や抗炎症作用を通じて腫瘍の形成を抑える可能性が報告されています。

ただし、人を対象とした大規模な臨床試験はまだ十分ではなく、現時点では「予防効果が期待できる可能性がある」という段階にとどまっています。

グルタチオンの取り入れ方

グルタチオンはもともと体内に存在する成分ですが、加齢とともに減少しやすく、その不足は身体や肌の老化を進める原因となります。

美容皮膚科で受けられる「白玉点滴」の主成分として知られていますが、実はサプリメントや食品からも摂取することができます。

今回は、グルタチオンを取り入れる4つの方法をご紹介します。自分に合った続けやすい方法を見つけて、ぜひ日常に取り入れてみてください。

注射・点滴(白玉点滴)

これらの方法は、グルタチオンを直接体内に届ける取り入れ方であり、吸収率が高いのが大きなメリットです。注射は比較的短時間で済むのに対し、点滴はやや時間を要するという違いがあります。

施術は主に美容皮膚科で行われますが、配合される成分量や濃度は施設によって異なります。また、効果が現れるまでの必要な回数には個人差があるため、継続して受けることが効果実感のポイントです。

ちなみに、副作用はほとんどないとされていますが、まれに発疹・腹部の不快感・頭痛・吐き気などが起こる場合があるため注意が必要です。

サプリメント

サプリメント

グルタチオンは日本では医薬品成分として扱われているため、薬局やドラッグストアでサプリメントとして購入することはできません。

国内で「グルタチオンサプリ」として販売されているものは、グルタチオンそのものではなく、グルタチオン由来の酵母を利用した製品になります。

一方で、海外ではグルタチオンを配合したサプリメントが一般的に販売されており、インターネットを通じて個人輸入することが可能です。

ただし、日本国内では販売が認められていないため、購入する際は自己責任となります。

内服薬

病院やクリニックで処方されるグルタチオンは、厚生労働省によって効果が認められている成分であり、サプリメントに比べて含有量が多いため、より高い効果が期待できます。

代表的な処方薬にはタチオン錠(50mg/100mg)があり、美白効果の場合には1回1錠を1日1〜3回服用します。

また、二日酔い対策としては飲酒前と飲酒後に服用する方法がありますが、服用にあたっては必ず医師に相談し、正しい用法と用量を守ることが大切です。

副作用は稀ではありますが、発疹や食欲不振、嘔吐などの症状が現れることがあります。

その場合には速やかに医師へ相談し、他の薬を服用している場合には飲み合わせのリスクがあるため、事前に医師に確認するようにしましょう。

食事

グルタチオンは多くの食品に含まれているため、普段の食事から摂取することが可能です。

アミノ酸で構成される成分であるため、レバーや肉類といったタンパク質を豊富に含む食品を食べることで、体内でのグルタチオン生成をサポーすることができます。

さらに、トマトやほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜、えのきなどのキノコ類、そら豆やさやえんどうなどの豆類といった植物性食品にもグルタチオンは含まれています。

ただ、ブロッコリーやキャベツ、カリフラワー、ケール、ルッコラといったアブラナ科の野菜は熱を加えるとグルタチオンの効果が損なわれる可能性があるため、生で食べるか、軽く蒸して調理するのがおすすめです。

美容効果が期待できる「CBD」

ここでは、美容効果が期待できる「CBD」についてご紹介したいと思います。

CBDとは

CBD

CBD(カンナビジオール)は、大麻草(ヘンプ)から抽出される天然成分の1つです。

「大麻」と聞くと違法性や依存性を連想しやすいですが、CBDには精神を高揚させる作用や依存性はなく、違法成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)とは全く別の物質です。

主な作用としては、リラックス効果やストレスの軽減、睡眠の質の向上などが挙げられ、近年では健康や美容の分野でも注目され、幅広く利用されるようになっています。

CBDに期待できる美容効果

ここでは、CBDに期待できる美容効果を3つご紹介したいと思います。

肌のうるおいを守る保湿サポート

CBDは、乾燥によって乱れがちな肌のコンディションを整え、水分保持をサポートする可能性がある成分です。

肌の乾燥は小ジワやごわつきの原因となり、美肌づくりの大きな妨げになります。そこで注目されているのが、CBDの保湿作用です。

2021年に行われた動物実験では、濃度1%のCBD溶液をマウスの皮膚に塗布したところ、水分量が約1.3倍に増加したと報告されました。

ただし、同じ研究で3%濃度を使用した場合には保湿効果が明確には見られず、「濃ければ濃いほど良い」というわけではないことも示されています。

この結果は、CBDを使った保湿ケアにおいては適切な濃度や配合バランスが重要であることを意味しています。

皮脂バランスを整えニキビをケア

ニキビの主な原因は、皮脂の過剰分泌とそれに伴う毛穴詰まり、そしてアクネ菌による炎症です。CBDには皮脂の分泌をコントロールし、炎症を抑える可能性があることが報告されています。

2014年の細胞実験では、CBDが皮脂腺細胞に作用し、皮脂の過剰な分泌を抑えることが明らかになりました。

また同時に、炎症を引き起こす因子の働きを弱める効果も確認されています。これらの作用は、ニキビの発生や悪化を防ぐ点で有用であると考えられています。

実際、近年ではCBDを配合した化粧水やクリームが登場しており、「皮脂トラブル対策」や「ニキビケアアイテム」として注目を集めています。

傷跡や肌ダメージの改善をサポート

CBDを利用している女性

CBDは肌の修復を助け、傷跡やダメージを目立ちにくくする働きが期待されています。

アトピー性皮膚炎やニキビ跡といった肌の炎症やダメージは、赤みや色素沈着として長く残りやすく、セルフケアでは改善が難しいケースも少なくありません。

イタリアで行われた臨床試験では、アトピーやニキビによる傷跡のある20名の患者に対し、CBD配合軟膏を1日2回・90日間塗布したところ、多くの被験者で傷跡の改善や消失が見られたと報告されています。

特に、敏感肌やダメージを受けやすい肌質の方にとって、CBD配合クリームやバームは「低刺激かつ再生サポート成分」として今後さらに広まっていく可能性があります。

【CBDサプリメントおすすめ5つを比較!】薬剤師が選び方のポイントや注意点を解説

まとめ

グルタチオンは「抗酸化物質の王様」とも呼ばれる成分で、美白・アンチエイジング・肝機能の改善など、幅広い効果が期待されています。

一方で、「白髪が増える」といった噂には根拠がなく、むしろ髪や肌のコンディションをサポートする働きが考えられています。

グルタチオンには点滴や内服薬、食品などさまざまな取り入れ方があり、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

さらに、近年注目を集めているCBDも、保湿やニキビケア、傷跡改善といった美容効果が期待されており、スキンケアの新しい選択肢として広がりつつあります。

美容と健康を長く保つためには、こうした成分を正しく理解し、自分の体質やライフスタイルに合った方法で取り入れていくことが大切です。

【参考文献】

  • Arjinpathana, N., & Asawanonda, P. (2012). Glutathione as an oral whitening agent: a randomized, double-blind, placebo-controlled study. Journal of Dermatological Treatment, 23(2), 97–102. https://doi.org/10.3109/09546631003801619
  • Sekhar, R. V., Patel, S. G., Guthikonda, A. P., Reid, M., Balasubramanyam, A., Taffet, G. E., & Jahoor, F. (2011). Deficient synthesis of glutathione underlies oxidative stress in aging and can be corrected by dietary cysteine and glycine supplementation. American Journal of Clinical Nutrition, 94(3), 847–853. https://doi.org/10.3945/ajcn.110.003483
  • Wei, Q., & Zhao, J. (2025). Therapeutic effects of reduced glutathione on liver function, fibrosis, and HBV DNA clearance in chronic hepatitis B patients. BMC Gastroenterology, 25, 68. https://doi.org/10.1186/s12876-025-03600
  • Fan, C., Chen, G., Reiter, R. J., Bai, Y., Zheng, T., & Fan, L. (2024). Glutathione inhibits lung cancer development by reducing interleukin-6 expression and reversing the Warburg effect. Mitochondrion, 79, 101953. https://doi.org/10.1016/j.mito.2024.101953
  • Ikarashi, N., Shiseki, M., Yoshida, R., Tabata, K., Kimura, R., Watanabe, T., Kon, R., Sakai, H., & Kamei, J. (2021). Cannabidiol application increases cutaneous aquaporin-3 and exerts a skin moisturizing effect. Pharmaceuticals, 14(9), 879. https://doi.org/10.3390/ph14090879
  • Oláh, A., Tóth, B. I., Borbíró, I., Sugawara, K., Szöllősi, A. G., Czifra, G., Pál, B., Ambrus, L., Kloepper, J., Camera, E., Ludovici, M., Picardo, M., Voets, T., Zouboulis, C. C., Paus, R., & Bíró, T. (2014). Cannabidiol exerts sebostatic and antiinflammatory effects on human sebocytes. Journal of Clinical Investigation, 124(9), 3713–3724. https://doi.org/10.1172/JCI64628
  • Palmieri, B., Laurino, C., & Vadalà, M. (2019). A therapeutic effect of CBD-enriched ointment in inflammatory skin diseases and cutaneous scars. Clinical Terapeutica, 170(2), e93–e99. PubMed PMID: 30993303

関連記事

【2025年版】薬剤師が共働き世帯にオススメする宅食サービス9選!

ダイエット薬「アライ(オルリスタット)」はヤバい?薬剤師が副作用や効果・価格・購入方法を解説!

脂肪便ダイエットに効果があるは嘘?デマ?安全な痩せ方と共に薬剤師が徹底解説

PAGE TOP