2024年11月16日、新宿ルミネ0で開催された「CBDジャーニー」にて、ナチュラルアートクリニック院長・御川安仁先生と、おうめ薬局の管理薬剤師・荒川快生が登壇し、特別トークセッションが行われました。
セッションでは、CBD製品の製造現場で直面する課題や、自由診療におけるCBDを用いた実例などに関して語られました。
自由診療やCBDに関心のある医療従事者だけでなく、CBD治療に興味がある患者さんやCBDメーカーにとっても、実り多い内容となった本セッション。本記事では、その模様を詳しくお届けします!
CBDと自由診療の現場から~医師と薬剤師の対談~
薬剤師がCBDに関する事業を始めた背景と、始めたことで得た気づき
まずは、薬剤師である「荒川 快生」が「CBDに関する事業を始めた背景」と、「始めたことで得た気づき」についてご紹介します。
1.CBDに関する事業を始めた背景
荒川快生(以下、荒川):まず、CBDに関する事業を始めたきっかけなんですけど、実は自分自身が「てんかん」を患っているんです。大発作を起こすような「てんかん」の人は「バルプロ酸ナトリウム」っていうお薬を第一選択薬とされます。第一選択薬で発作が発作が収まれば良いのですが、中には第二、第三とお薬を変更したり追加する必要がある方がいます。それでもてんかん発作が治まらない方が中にはいらっしゃるんです。こういった難治性てんかんの方を何とかしたいという思いがまず始めにあります。
他にも睡眠薬や痛み止めの副作用で苦しんでいる方もたくさんいて、なんとかそういう現状を変えられないかと考えていました。
そんな中で、「CBD」というものを知ったんです。これがもしかしたら役に立つんじゃないかって思ったんですよね。それで、自分にできることは何かないかなと考えたのが、この事業を始めるきっかけになりました。
実際に始めたのは2022年12月ぐらいで、2023年2月にカプセルタイプの製品を作りました。
2.CBD製品の品質の管理と維持の難しさ
荒川:CBD製品の品質管理と維持についてなんですが、最初は本当に大変でした。
MCTオイルにCBDを溶かしてCBD100mgのカプセルを最初に業者さんに任せて作ったんですが、その時点で、業者さんが信頼できるかどうか全然わからなかったんです。初めてだと、特にそういうのを見分けるのは難しいですよね。
実際にあった業者さんとのトラブルで言うと、製品のパッケージの色が違っていたり、封が開かないものがあったりして、普通じゃ考えられないようなトラブルが色々ありました。
あと、業者さんが出してきたTHCの濃度と、私が信頼している分析機関で検査してもらったTHCの濃度が全然違ったりしたこともありました。
こうしたことが続いて、業者さんに完全に任せるのは危険だなと感じたんです。それで、その時の業者さんとは契約を切らせてもらって、最終的には原料の卸から自分で管理することにしました。
3.信用できるラボの見分け方と、検査の管理の現状と今後
荒川:信用できるラボを選ぶポイントについてお話ししますね。まず、確認していただきたいのが、国際的な認定マークが付いているかどうかです。
例えば、「ILAC MRA」や「A2LA」というマークがあります。これらは、それぞれ国際基準を満たしたラボに与えられる認定マークで、そういったマークがあるラボなら信頼できると言えます。私が特に信頼しているラボとしては、「KCA」や「Anresco」などがあります。
何か質問がある方はいらっしゃいますか?
参加者A:先程、信頼できる別のラボで検査してもらったら、業者が出してきたTHCの濃度と全然違うと仰っていましたよね。
「業者がTHCの濃度を偽造しているのか」、それとも「業者が検査を依頼したラボがTHCの濃度を偽装しているのか」でいうとどちらでしょうか?
荒川:「業者さん自身が偽造したのか」、それとも「業者が検査を依頼したラボが偽装しているのか」、正直どちらなのかは分からないです。私の場合は、信頼できる別の検査機関で検査をして確認したからこそ気付けたんですが、もし何も検査していなければ、そのまま見逃していたかもしれないです。
中には10回検査を行い、1回だけTHCの基準値をクリアした結果を使ってCOAを発行する検査機関もあるので、気づくのが本当に難しいです。
あと、卸業者が自分たちの数値が間違っていないと信じて、他の卸先に原料を卸す場合(二次卸)もあるので、やっぱり自身で検証してみないと分からないですね。
参加者B:今後の法改正の中で、指定ラボが国内にできるという話があると思うんですけど、例えばできあがった商品、納入前の原料っていうものをそこで検査していただくことは可能になりますか?
荒川:厚生労働省からの「指定ラボ」というよりは「推奨ラボ」といった形ですかね。つまり、「ここで検査をしてください」という義務ではなく、「ここでの検査をおすすめします」というレベルのものです。
日本の分析機関も掲載されていますが、日本にはTHCの標準物質がないので海外の検査機関ほどには精度を維持しつつ分析を行うのは難しいのではないか?というのが私の考えです。
私は米国のKCA Laboratries LLC かAnrescoを信用しています。
CBDカプセルを利用している患者さんについて
次に、薬剤師である「荒川快生」 が提供しているCBDカプセルを利用している方についてご紹介します。
1.CBDカプセルを利用している方
荒川:私は2024年12月13日、日本臨床薬理学会で講演させていただく予定です。
そこでは、現在私がフォローしている難治性てんかんの患者さんや、末期がんの痛みの緩和にCBDを使っていただいている方について、いくつか症例をお話しするつもりです。
この場を利用して、少しだけお伝えしますね。
1-1.難治性てんかんに対する効果
荒川:まず、難治性てんかんの患者さんの場合ですが、1日CBD500mg分のカプセルで飲んでいただいています。最初は1カプセル(100mg)から始めて、徐々に増やしていきました。その結果、発作の回数が減少し、深く眠れるようになったというお話を伺いました。
あと、海外のエピディオレックスというCBD製剤の場合、肝機能に関してASTの数値が基準値の5倍以上になった場合、服用をやめることを検討します。私がフォローしている患者さんの場合、6月から9月にかけてのASTの値は28、27、25とほとんど変動がなかったので摂取を続けていきましょうということになりました。
1-2.末期がんに対する効果
荒川:もう1つの症例ですが、末期がんの患者さんで、痛みの緩和を目的にCBDを使っていただいた方がいらっしゃいました。元々、末期がんの痛みに対してCBDはあまり効果がないという論文もいくつかあり、100mgのアイソレートカプセルを試していただいたところ、実際に痛みへの大きな効果は見られませんでした。
ただ、不眠の尺度である「AIS」と「ピッツバーグ睡眠質問票」を使って評価を行ったところ、飲む前と後で改善が見られました。患者さんも「よく眠れるようになった」とおっしゃっていて、痛みには効果がなかったものの、睡眠の質が向上している可能性が高いと言える結果になりました。
御川先生はこの結果についてどう思われますか?
御川安仁先生(以下、御川):私もがん患者さんにCBDを内服してもらったことがあるんですけど、あまり効果が見られませんでしたね。
ただ、内服ではなくて、肌にCBDを塗る場合は痛みの緩和が見られました。
2.CBDオイルとカプセルの違いについて
参加者C:オイルでCBDを処方しているクリニックさんが多い中、なぜカプセルで処方しているんですか?
荒川:カプセルを選んでいる理由は、「定量性」を重視しているからです。カプセルなら正確な量を確実に摂取できるので、服用量にばらつきが出にくいと考えています。
あと、舌下摂取と経口摂取では血中濃度に大きな差がないというエビデンスもあるので、わざわざ苦いオイルを舌下で飲んでもらう必要はないかなと思って、CBDカプセルにしています。
参加者C:CBDが体に吸収されるまでの時間が、CBDオイルに比べてカプセルの方が長いと言われていると思うんですけど、本当に差はありますか?
荒川:CBDの吸収時間についてですが、確かにオイル摂取とカプセルの摂取では差があると思います。ただ、その差はほんの少しで、大きな影響はないと考えています。
御川先生は、CBDオイルとカプセルで吸収時間の差はあるとお考えですか?
御川:もちろん、ちゃんと舌下からCBDオイルを摂取する場合だと、CBDオイルの方が吸収時間が早いと思います。
荒川:実際に診療されている中でも、CBDオイルとカプセルで患者さんが効果を感じるまでの体感時間に差は見られますか?
御川:実を言うと、通常のCBDオイルとカプセルの場合だと差はほとんど見られないです。なので、私のクリニックでは「水溶性ナノサイズのCBDオイル」を利用しています。
このCBDオイルを患者さんに処方すると、効果を感じるまでの体感時間が顕著に早くなるのが分かりますね。
3.CBDを知らない患者さんにCBDを説明する際のポイント
参加者D:CBDを知らない方にCBDを説明する際に困っていて、説明の仕方や内容で工夫されていることはありますか?
荒川:私は「CBDは大麻由来ですが、日本で違法とされているのはTHCという成分で、CBDは合法です」とお伝えしています。
ただ、「合法です」という表現だけだと、少しネガティブな印象を与えてしまうこともあるので、「カンナビノイド医療患者会(PCAT)という患者さんの団体があって、そこで患者さんがCBDを使っています」といった説明を加えるようにしています。
御川先生のクリニックだと既にCBDを知っている方が多く来院されますか?
御川:そんなことはないですね。ほとんどの方がCBDを知らずに来院されています。なので、患者さんに応じて説明をし分けるようにしています。
例えば、信頼関係ができてない方であれば、「麻から抽出した製品です」と、できるだけシンプルに説明します。その際、「違法成分は含まれていないので安全です」という部分をしっかり伝えることを重視しています。
一方で、すでに信頼関係ができている方には、「CBDは大麻由来ですが、違法成分のTHCは入っていない安全な製品です」と、もう少し具体的に説明しますね。
また、少し抵抗感を持つ方に対しては、「実は私自身も使っていますし、家族も利用しています。」と伝えることで安心感を持ってもらえるように工夫しています。
カンナビノイドを用いた自由診療の現場について
最後に、ナチュラルアートクリニック院長である「御川安仁 先生」が体験したカンナビノイドを用いた自由診療の現場についてご紹介したいと思います。
1.御川先生がカンナビノイドを用いた自由診療を始めた背景
荒川:御川先生が「なぜカンナビノイドを用いた自由診療を始めたのか」ということをお話いただいてもよろしいでしょうか。
御川:私はもともと救命救急の医師として働いていて、たくさんの患者さんを診てきました。その中で、大麻を使っている患者さんに接することが何度かあったんです。
当時は正直、大麻に対してあまり良いイメージを持っていなかったんですが、友人から「大麻が薬として使えることもある」と聞いて、その可能性に興味を持ち始めました。
特に印象的だったのは、大麻を使用していた患者さんが、とても穏やかで幸せそうな表情をしていたことです。他の薬物中毒の患者さんとはまったく違っていて、「本当に危険なものなのかな?」と思うようになりました。
それで2014年にアメリカで開かれたカンナビノイドの国際学会に行ってみたんです。そこで実際に患者さんや医師の話を聞いて、カンナビノイドが治療に役立つ可能性を確信しました。それがきっかけで、自由診療にカンナビノイドを取り入れることにしたんです。
2.カンナビノイドの治療効果
荒川:実際に診療をされていて、「患者さんにカンナビノイドがすごく効果があったな」というケースにはどのようなものがありましたか?
御川:興奮系の症状には、カンナビノイドはかなり効果がありました。例えば、最初に使ったのがパニック発作の患者さんで、その時はすぐに効果を感じました。
あと、妄想や不眠症の改善にもよく効きますね。子どもに関しては、ADHDのような落ち着きがない子にも効果がありました。
荒川:その方達は、今も先生のクリニックで自由診療という形で、お薬を処方されてる方でしょうか?
御川:治療を卒業した人もいますし、現在も自由診療をやってる人もいます。
荒川:どういうふうになったから「治療を卒業」という形になるんですか?
御川:うちでは基本的に、自然療法や栄養療法を取り入れながら、体の根本的な部分を変えていく治療を進めていきます。その過程で、CBDを処方しつつ症状をコントロールしながら、体の中を整えていくんです。
この治療が進んでいく中で、「もうそろそろ治療やCBDはいらなさそうだね」と感じるタイミングが出てきます。そうなった時が、「治療を卒業」という形になりますね。
3.病気が再発する可能性
荒川:治療を卒業して病気が再発してしまうこともあるんですか?
御川:再発する可能性はありますね。例えば、適切な栄養や生活習慣、食事の改善がしっかりできていない場合や、ストレスが強くかかる状況が続くと、再発につながることがあります。
ただ、私自身がかなり口うるさく言って、食事や栄養の管理、ストレスのケア、睡眠や生活リズムの整え方をしっかりお伝えして、それを患者さんに実践してもらうので、再発を防ぐことは可能です。
4.患者さんに対するカンナビノイドの悪影響
荒川:カンナビノイドを患者さんに投与することで、バイタルなどの数値に異常が見られたことはありますか?
御川:2014年から10年間、カンナビノイドを使ってますけど、基本的にないですね。
仮に、抗てんかん薬を使っている患者さんがカンナビノイドを試してみた場合でも、「CBDとかが原因で問題が起きている」とは言い切れないですね。というのも、抗てんかん薬を使っている時点で、すでにその薬の影響で肝機能の数値が変化していることが多いんです。
特に、日本人の中には、遺伝的に肝代謝が遅いタイプの方がいらっしゃって、そういう方は薬の影響で肝機能の数値が上がりやすいことがあります。
だから、一見CBDとかが原因に見えても、実際には他の薬の影響でそうなっている場合もあるんですよね。
5.カンナビノイドを用いた症例ごとの治療法
荒川:「この人にカンナビノイドを使ってみよう」と判断された時、もちろん症例によって異なるとは思うんですが、例えば不眠症の患者さんに使う場合、どういった治療をされますか?
御川:以前は、「不眠症=CBD」と考えて、CBDの多いオイルタイプを少量から試していました。でも、効果がある人もいれば、そうでない人もいて「何が違うんだろう?」と考えるようになったんです。
最近は、不眠の原因に合わせて治療方法を変えています。例えば、メラトニンというホルモンが足りない人には、CBDじゃなくてメラトニンを摂取してもらっています。一方で、コルチゾールというストレスホルモンが高すぎて眠れない人には、CBDを投与していますね。
あと、寝つきが悪い人には、即効性のある「水溶性ナノサイズのCBD」を使います。これなら15分くらいで効くのでスムーズに眠れます。一方、途中で目が覚めてしまう人には、ゆっくり効くオイルタイプのCBDを使います。両方の症状がある場合は、両方を組み合わせて処方することもありますね。
荒川:入眠障害の方に対してカンナビノイドを使う場合、最初はどれぐらいの量を投与しますか?
御川:あくまで「水溶性ナノサイズのCBD」の話ですけど、「8mg」を投与しますね。
荒川:それは「8mg」から投与を始めて、「16mg」・「32mg」と様子を見て投与量を増やしていく感じですか?
御川:いえ、入眠障害に関しては、ほぼ「8mg」で効果が見られるので、投与量は増やさないですね。
荒川:そうなんですね。あと、パニック障害の方には、どのような治療を行いますか?
御川:今まさに発作を起こしている時は「水溶性ナノサイズのCBD」を使うこともあるんですけど、多くの場合「CBDA」を投与しますね。
CBDAがメンタル的な安定性を与えやすいものなので、パニック障害の他にも、不安症に利用したりすることもあります。
荒川:CBDAはどれぐらいで効果が現れるんですか?
御川:「水溶性ナノサイズのCBD」だったら15分ほどで効果が現れるんですけど、「CBDA」は30分ほどで効果が現れますね。
あと、患者さんが症状をどれくらい抑えたいかによって、「CBD」と「CBDA」を使い分けています。
一応、両方の製品を用意していて、患者さんにとって一番合うものを選ぶようにしています。
6.「水溶性ナノサイズのCBD」の可能性
荒川:今後、「水溶性ナノサイズのCBD」は、CBDを用いた治療の中でメインになっていきますか?
御川:現状「水溶性だから良いのか」、「ナノサイズだから良いのか」ということが分からないので、水溶性ナノサイズのCBDがメインになるかは分かりません。
ただ、患者さんに対する投与量が「通常のCBDの10分の1〜20分の1」で済みますので、利便性は非常に高いですね。
荒川:「水溶性ナノサイズのCBD」に切り替えることで、CBD製品の値段を安くできる可能性はありますか?
御川:水溶性ナノサイズのCBDに切り替えることで、CBD製品の値段を安くできると思います。
もちろん、水溶性ナノサイズのCBDの方が、通常のCBDよりも値段は高いですが、製品化した場合だと値段は低くなると思います。
あと、ちょっと話が変わりますが、摂取する場合は「水溶性ナノサイズのCBD」と「通常のCBD」の使いわけが大事ですね。
例えば、最初は即効性の高い「水溶性ナノサイズのCBDオイル」を摂取して、その後に「通常のCBDカプセル」を摂取すれば、素早く効果を感じた上で、CBDの効果を長時間維持することができます。
7.12月の法改正が自由診療に与える影響と今後について
荒川:12月の法改正に伴い、自由診療の現場でカンナビノイド製品を利用することは難しくなりますか?
御川:なりますね。この10年間、様々な製品を試してきて、それぞれの症状に対してどの製品が効くのかをようやく整理できたところだったんです。効かない製品もあれば、特定の症状にはよく効く製品もあって、それを見極めるのに時間がかかりました。
その中で、今回の法改正によって、主に使っていた2つの製品が使えなくなってしまったんです。幸い、まだほとんどの製品は使えますが、メインで活用していたものが制限されるのは厳しい状況です。
荒川:これまでの治療計画も見直す必要がありますよね。
御川:そうですね。あと、患者さんにどの製品が効果があるのかを再度確かめないといけないので困ったものです。
荒川:最後に、御川先生としては、今後どのようなことをやっていきたいとかを具体的に考えてらっしゃいますか?
御川:そうですね。今後は、THCを適切に利用するための仕組みを整えて、麻薬免許を持つ医療機関が、THCを患者さんに合法的に提供できる道を模索していきたいと考えています。
その他、参加者との質疑応答
ここでは、参加者との質疑応答を全部で5つご紹介したいと思います。
1.CBDが保険適用になる可能性
参加者E:CBDが将来的に保険適用される可能性についてどうお考えですか?また、これまで自由診療で使われていたものが保険適用になった事例は医療業界にあるのでしょうか?
御川:CBDが将来的に保険適用される可能性はあると思います。加えて、実際に自由診療で始まった治療が保険適用になった事例もあります。
例えば、私が研修医だった30年前、脳低体温療法という治療を救急の現場で試みていました。当時は保険適用外で、私が世界で初めて始めた治療法でした。
この治療は成果が良くて、15〜20年ほど前から、特に心肺停止後の脳保護を目的とした低体温療法として保険適用されるようになりましたね。
2.ネットでCBD製品を選ぶ際のポイント
参加者F:御川先生が自由診療でCBDを使用されているのをきっかけに、ネットで購入を考える患者さんもいると思います。ネットでだと、どの製品を購入するのがいいんでしょうか。
御川:ネットで販売されているCBD製品にはまともなものが少ない印象があります。ただ、医療機関が使用しているものと全く同じ製品がネットで販売されている場合もあります。
そのような医療機関で使用されているレベルのCBD製品であれば、ネットで購入しても問題ないと思います。
3.効きやすい製品の特徴と共通点
参加者G:10年間で効く製品と効かない製品を見極めてこられたとのことですが、効きやすい製品の特徴には何か共通点がありますか?
御川:効きやすい商品というのは「特定の商品がどの症状にも効く」というわけではありません。それよりも、「この症状にはこの商品が合う」という形で選んでいます。
例えば、A社の製品が特定の症状には効果的でも、別の症状にはあまり効かないこともあります。なので、商品の「良さ」というよりも、症状との相性が重要だと思っています。
4.CBDの耐性について
参加者H:CBDで耐性がついた場合、一度服用を中断してリセットしてから摂取を再開する方が良いという話があります。実際、その点についてはどのようにお考えですか?
御川:うちの患者さんでCBDに耐性がついたというケースは今のところ聞いたことがありません。
ただ、植物由来のもの、例えば漢方やハーブでは、使い続けると効果が薄れてくることがあります。そういった場合、漢方やハーブでは2ヶ月ほどの休みを設けることが一般的です。
CBDも同じように、もし「効きが悪くなったな」と感じたら、2ヶ月ほど服用を中断するのは有効だと思います。
荒川:私は、あくまで薬剤師として耐性がついてしまった場合、難治性てんかんの患者さんの場合などは増量するようにお話します。減量によって発作の回数が増加してしまうと命にかかわる可能性があるからです。
5.カンナビノイドの摂取タイミングについて
参加者I:カンナビノイドの摂取タイミングはどうやって決めればいいですか?
御川:それは完全に目的によりますね。例えば、一日中血中濃度を安定させたい場合は、3時間ごとに摂取するのが良いかもしれません。
荒川:そうですね。例えば、私がフォローしている方でも、日中のパニック症状を和らげたいという方は、朝に飲まれることが多いです。
一方で、不眠症状を改善したいという方は、夕食後に飲食物と一緒に摂取していただくケースが多いですね。やはり摂取のタイミングも目的次第ということですね。