CBDとは一体何なのか、あなたは知っていますか?
何を原料として作られているものなのか、どんな風に使えるのか、知らないという方も多くいるでしょう。
この記事では、CBDとは何なのか、CBDはやめた方がいいのか、期待できる効果や副作用の心配はあるのか、使い方などについてお伝えします。
CBDが気になっている方、これから使ってみたい方は参考にしてみてください。
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おうめ薬局と薬剤師・荒川快生はCBD100mgカプセルの提供等を通じてPCAT(カンナビノイド医療患者会)の活動を応援しています。
CBDとは?
CBDとは「Cannabidiol(カンナビジオール)」の略で、大麻草などに含まれるカンナビノイドといわれる成分の一つをいいます。
カンナビノイドとは大麻草から抽出される化学物質の総称です。
CBDをはじめ、CBN, CBG, CBC, THCなど113種類以上の存在が知られています。
その中でCBDは、自律神経を整えることやストレスの軽減に効果があるほか、依存性がなく安全性が高いことから、欧米をはじめ、医療や健康・美容業界からも注目を集めています。
CBDは違法ではない?
日本で大麻といえば、麻薬の一種として法律で禁止されている植物です。
大麻取締法の第一条によると「大麻とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をさします。
しかし、大麻のすべてが禁止されているわけではありません。
大麻取締法第一条には「大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く)、並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」と記載されています。
そのため、大麻草由来の物でも合法的に販売されている商品も多くあります。
例えば「鳥のえさ」や「七味唐辛子に含まれている麻の実」は、加熱処理を施すことで合法的に販売できる代表的な商品です。
日本で販売されているCBDは、大麻草由来のものであっても厚生労働省や検疫所に対して成熟した茎や種子を原料としていることを証明し、認められたものであるため、違法ではなく、販売可能なのです。
CBDはやめたほうがいい?
結論、CBDにはさまざまな効果が知られており依存性もなく、安全性が高いため、やめなくて大丈夫です。
WHO(世界保健機関)にもCBDの安全性が認められており心配する必要はありません。
ただし、CBDを摂取したことで体調が悪くなったり、血液検査等で異常が出た方は摂取を控えた方がいいと考えられます。
CBDとTHCのちがいは?
大麻に含まれる「カンナビノイド」の種類は数百種類に及びます。
その中でも大きく分けて「CBD(カンナビジオール)」と「THC(テトラヒドロカンナビノール)」の2種類があります。
同じ大麻から摂れる成分だとはいえ、CBDは合法であり、THCとは異なるものです。
2つの成分の特徴は以下のとおりです。
CBDの特徴
CBDの特徴は、まず合法であること、そして作用としては深いリラックス作用が得られることです。
大麻草の茎や種子から抽出される成分で脳に働きかけ、鎮静化作用があります。
神経に直接作用して「セロトニン」や「ドーパミン」といった神経伝達物質に対して影響を与えるため、慢性的なストレスの緩和につながると考えられています。
また、リラックス作用といっても、「気分の高揚=ハイ状態」になるわけではなく、中毒性もありませんので、安心して使用できます。
THCの特徴
気分が高揚して、「ハイな状態」になることが分かっており、精神活性があります。
そして、先述のとおり日本では麻薬に指定されており、禁止になっている成分です。
THCの成分は大麻草の花や穂、葉や根から抽出されます。
精神活性があり、幻覚、気分の高揚感等があります。
違法薬物としての大麻成分ですが、「医療用大麻」などにも含まれています。
吸引した場合、精神作用(ハイな状態)を引き起こしてしまうだけでなく、依存性があるため、日本では規制の対象です。
CBD原料の分類
CBD原料に含まれるカンナビノイドの種類の多さにより「フルスペクトラム」、「ブロードスペクトラム」、「アイソレート」と3種類に分けられます。
それぞれどのような分類方法なのか詳細を説明していきます。
フルスペクトラム
フルスペクトラムと呼ばれる分類は、もっとも自然に近い分類です。一般的に、THCを含む分類の呼び方です。日本ではTHCが規制されているため、文字通りのフルスペクトラムの製品は存在しないことになっています。
ブロードスペクトラム
ブロードスペクトラムと呼ばれる分類では、CBNやCBGといったTHC以外のカンナビノイドが含まれていることを示します。CBDやCBN,CBGなどカンナビノイドを単体で摂取するだけでは得られない効果を期待して独自の割合で混合することを目的にした分類です。
アイソレート
CBDやCBN,CBGやCBDVなどカンナビノイド単体を抽出していた分類方法のことをアイソレートと言います。
アイソレートが安心
先述のとおり、CBDアイソレートの場合、CBD以外のカンナビノイドが含まれていません。
そのため、大麻由来の成分を使うことに少なからず抵抗がある方やCBDを初めて使ってみるという方にはトライしやすいのでオススメです。
薬物検査のあるスポーツ選手や、特別な事由によりCBDだけを明確な摂取量で摂取したいという場合にも、CBDアイソレートのサプリメントがオススメです。

CBDに期待できる効果
CBDを取り入れることで期待できる効果について解説します。
人間の体内には恒常的に自分の身体を調節する機能である「エンド・カンナビノイド・システム(ECS)」が存在しています。
人間が生活していく上で欠かせない機能のバランスを整える非常に重要な役割を担っているシステムなのですが、これは、外部からの強いストレスや老化によって働きが弱ってしまうことが研究により分かっています。
この働きが弱ると「カンナビノイド欠乏症」となるため、その影響でさまざまな疾患になることも明らかになっており、放置しておくと重篤な病気となる可能性が高いです。
そのため、CBDに含まれる有効成分の「植物性カンナビノイド」を摂取することで、カンナビノイド欠乏症を解消でき、病気の治療を助ける可能性があると期待され研究が進められている成分でもあります。
ECSとは?
ECSとは、人間が本来持っている「ホメオスタシス(恒常性)」を維持するために、「カンナビノイド」という神経伝達物質を使って細胞に適切な指示を与える体内のネットワークシステムのことをいいます。
ストレス緩和とリラックス作用
CBDにより期待できる効果の一つは、神経伝達物質である「セロトニン」や「ドーパミン」に影響を与えて自律神経を整えてくれることにより、ストレスを緩和し、不安な気持ちを軽減してリラックス効果を得られることです。
人は、長期間不安やストレスを抱えていると、うつ病などの精神疾患につながる懸念がありますが、CBDを摂取することで精神的な不安などを解消できるのではないかといわれています。
不眠の改善
CBDには不眠を改善する効果も期待できます。
実例として、不眠症の方がCBDを使用したことによって、「睡眠時間の延長が見られた」等という報告があります。
また、免疫の過剰反応による自己免疫疾患やアレルギー性疾患などに対しての作用も期待されているようです。
皮膚の炎症緩和
CBDは美容分野でも注目されており、日本化粧品協会によると、「抗酸化作用、抗炎症効果、アトピー、ニキビ、やけど」などといった皮膚へのさまざま作用が期待できるとされています。
抗てんかん作用
CBDには抗てんかん作用があることが知られています。
アメリカにおいてCBD医薬品が難治性てんかんの治療薬として用いられているという事実もあります。
EPIDIOLEX(エピディオレックス)という薬剤が、小児の難治性てんかんの治療薬として現在、日本においても臨床治験を行っています。
CBDに副作用はある?
CBDの副作用について、「WHO(世界保健機関)」は2017年にCBDについて「CBDは非常に安全で、幅広い容量で忍容性が良好である。公衆衛生上の問題も濫用の危険性もない」と、報告をしています。(※WHOの報告書の「忍容性が良好」とは「副作用がほとんどないかあっても非常に軽い」という意味)
しかし、それでも副作用が「全くない」というわけではありません。
人間の体内にはない物質を取り込む以上はどんなに安全性の高い物質であったとしても、体質も人によって異なるため、副作用が「ゼロである」とは断言できるものではありません。
CBDを飲用摂取した際、人によっては軽めの副作用があるといわれています。
副作用には「倦怠感、眠気、めまい、離人感、軟便、多動、イライラ、頻脈」などが挙げられます。
そのため、初めて使用する際には、副作用を回避するためにも、ごく少量から徐々に増量(数日〜1週間毎)していくのが良いでしょう。
また、稀に大麻草成分にアレルギーを起こす場合がありますので、注意が必要です。
CBDの適量はどのくらい
私たちの身体は何に対しても個人差があるものです。
CBDオイルやカプセルの反応に対しても個人差が大きく、CBDの適切な量も人によって異なります。
少量で効果を感じられる人もいますが、なかなか効果を実感できないという方もいるでしょう。
なぜなら、CBDオイルは自然の植物から作られており、多成分のため、同じ量を用いてもその反応は個人差が大きいからです。
また、多く摂ることでそれだけ高い効果が得られるかというと、そういうものでもありませんので、多量に摂取しすぎないことも大切です。
少量から使い始め、目的に合った自分にとっての適量を探すことをオススメします。
CBDの使用に注意すること
CBDを使用する際に注意した方が良いことについてまとめました。
使用する際には参考にしてみてください。
車の運転
CBDオイルの使い始めにはCBDによるリラックス効果により眠くなる可能性があるため、車の運転など、機械操作を行う前には使用しないようにしましょう。
すべての人が眠くなってしまうわけではありませんが、注意は必要です。
できれば、CBDオイルに慣れるまで、寝る前に用いると安心して使用できます。
妊婦や授乳中、子供への使用
CBDオイルは、妊娠中や授乳中の女性、乳児も服用することが可能です。
しかし、絶対に安全だと保障されているわけではありませんので、注意が必要です。
生後2か月の乳児において、てんかんや自閉症に対する使用報告がみられることも事実ですが、慎重に使用する必要があるでしょう。
スポーツ選手
CBDは2018年WADA(世界アンチ・ドーピング機構)にも安全性が承認されており、アスリートにも利用されています。
ただし、CBDオイルに含まれる他のカンナビノイドが、ドーピング検査で問題となる可能性があるため注意が必要です。
たとえば、CBNは構造的にTHCと似ているため尿検査で陽性判定がでる可能性があり、注意が必要です。
CBDの使い方について
CBD入り商品として日本で市販されているものには、「オイル、カプセル、パウダー、飲み物、ガム、グミ、クリーム」などのさまざまな種類があります。
オイルの場合は、舌の下にCBDオイルを垂らして飲む方法と、ドリンクやフードに入れる方法が一般的です。
はじめは、普段飲んでいるものに入れると、抵抗なく手軽に摂取できます。
舌下の場合、約1分くらい舌下に垂らし、舌で転がすようにした後に飲みこむようにしてください。
カプセルの場合は、効果が出るか不安だからと過剰摂取は避けて使用方法に従って飲みましょう。
飲み物やガム、カプセルやグミも同様に、心身に良い影響をもたらすためには、1日に必要となる量だけを用法用量を守って摂取することが重要です。
また、クリームやフェイスマスク、ロールオンなどのCBDを含んだ化粧品を使用する場合、気になる箇所の皮膚に適量塗るだけで効果を実感できることが多いです。
処方薬を服用中でもCBDは使える?
私が所属している日本臨床カンナビノイド学会によれば、体重1kgあたりCBD2㎎までは併用薬との相互作用を考えなくても良いと言われています。
これは体重が50kgの人であればCBD100㎎まで、体重が80kgの人であれば160㎎までは許容範囲内であるということです。
ただし、中には注意が必要なお薬があります。
動画の製作者である日本臨床カンナビノイド学会、副理事長で内科医師の正高佑志先生によれば、
- エリキュース(成分名 : アピキサバン)
- イグザレルト(成分名 : リバーロキサバン)
の服用は絶対に併用しないように警告しています。
これは、薬剤師である私も同様の見解です。
また、CBDは肝臓の薬物代謝酵素(CYP450)を阻害する作用をもっています。
なかでもCYP1A1/2, CYP1B1, CYP2B6, CYP2D6, CYP3A4/5を強く阻害すると考えられています。
CBDの影響により併用薬の血中濃度上昇や作用時間の延長などが引き起こされる可能性があるため、CBDの摂取をお考えの患者様は、念のためかかりつけの医師・薬剤師に相談しながら使用するようにしましょう。
特に体重1kgあたりCBD2㎎以上の摂取を考える場合には、下記の医薬品の相互作用に注意してください。
- NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
- 抗てんかん薬
- AGⅡ拮抗薬(ARB)
- カルシウム拮抗薬
- βブロッカー
- 抗ヒスタミン剤
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬
- 抗うつ薬
- 抗精神病薬
- 血糖降下薬
- 抗不整脈薬
- スタチン系脂質異常症治療薬
- 抗生物質(静注量の場合)
- ステロイド剤(静注量の場合)
- 免疫抑制剤(静注量の場合)
CBDがおすすめな人
CBDは、痛みやストレスを緩和させる効果が期待できる成分であることをご紹介しました。
特に、慢性的なものに関して効果を発揮しやすいと言われています。
そのため、慢性的な腰痛や頭痛などの痛みのある人や、慢性的なストレスで悩んでいる人は、CBDを使ってみると改善できる可能性があります。
また、CBDにはリラックス効果が期待できることから、副交感神経を高め、自律神経を整えるのに有効だとも言われています。
CBDは以下のような人にオススメです。
- 慢性的な痛みを抱えている
- 慢性的なストレスを抱えている
- 自律神経の乱れている
- 寝付きがあまりよくない
- 更年期症状がある
- 安全性の高いものを使いたい
- 仕事で結果を出したい
- アトピーで悩んでいる
CBDは適量を安心安全に活用しよう
CBD配合の健康食品などは医薬品的な誤認を与える可能性を回避するため、摂取頻度や時期、量や方法などについて細かく決めることはできません。
あくまで健康食品であることを前提に目安の摂取量としては、 1日あたりのCBDの推奨用量は体重により「 5〜200mg 程度」だといわれています。
CBDは大麻由来と知ると驚いてしまう人や、抵抗を感じる人もいるようですが、日本国内で販売されているものは、先述のとおり安全に摂取できる成分です。
CDBを取り入れるには、自分の症状に合った物を毎日少しずつ摂ることで活用していくのが良いでしょう。

<参考文献>
- 「厚生労働省 麻薬取締部」のホームページ:CBDは大麻取締法上の「大麻」に該当しない
- Antidepressant-like effects of cannabidiol in mice: possible involvement of 5-HT1A receptors
- Cannabidiol induces rapid-acting antidepressant-like effects and enhances cortical 5-HT/glutamate neurotransmission: role of 5-HT1A receptors
- 5-HT1A receptors are involved in the cannabidiol-induced attenuation of behavioural and cardiovascular responses to acute restraint stress in rats
- Cannabidiol enhances anandamide signaling and alleviates psychotic symptoms of schizophrenia
- Cannabidiol in Anxiety and Sleep: A Large Case Series
- Cannabidiol presents an inverted U-shaped dose-response curve in a simulated public speaking test
- The anxiolytic effect of cannabidiol depends on the nature of the trauma when patients with post-traumatic stress disorder recall their trigger event
- Cannabidiol lowers incidence of diabetes in non-obese diabetic mice
- CBDを含む化粧品についてのアンケート調査
- Cannabidiol Application Increases Cutaneous Aquaporin-3 and Exerts a Skin Moisturizing Effect
- Cannabidiol exerts sebostatic and antiinflammatory effects on human sebocytes
- A therapeutic effect of cbd-enriched ointment in inflammatory skin diseases and cutaneous scars
- CBG, CBD, Δ9-THC, CBN, CBGA, CBDA and Δ9-THCA as antioxidant agents and their intervention abilities in antioxidant action
- CBDブランド Greeus × 早稲田大学睡眠研究所共同研究レポート公開「CBDが睡眠に与える影響
- Cannabidiol Reduces the Anxiety Induced by Simulated Public Speaking in Treatment-Naïve Social Phobia Patients
- The Effect of Cannabidiol on UV-Induced Changes in Intracellular Signaling of 3D-Cultured Skin Keratinocytes
- Therapeutic Prospects of Cannabidiol for Alcohol Use Disorder and Alcohol-Related Damages on the Liver and the Brain
- Cannabidiol reduces cigarette consumption in tobacco smokers: preliminary findings
- Cannabidiol and Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug Interactions: A Case of Drug-Induced Aseptic Meningitis