近年、日本を含めた世界中で注目を集めている「CBD」。
そんなCBDですが、稀に「摂取して運転すると危険」という噂を聞くことがあります。
本記事では、薬剤師である私が、科学的エビデンスを基に「CBDを摂取して運転しても大丈夫なのか」ということを解説したいと思います。
記事の後半では、「CBD以外のカンナビノイドを摂取して運転しても大丈夫なのか」ということを解説したいと思います。
CBDとは?
「CBDを摂取して運転しても大丈夫なのか」を説明する前に、まずはCBDがどういったものなのかを説明したいと思います。
CBDの安全性
CBDは、これまでの研究から安全性の高い成分であることが明らかになっています。
例えば、2011年に発表された研究では、CBDを長期間にわたって使用した場合や、1日に1,500mgという高用量を摂取した場合でも、人体に有害な影響は確認されなかったと報告されています。
ちなみに、この1,500mgという量は、一般的なCBDオイルに換算すると1〜3本分に相当し、1日で摂取するには現実的とはいえない量です。
さらに、他の研究でもCBDを摂取した被験者に目立った副作用や毒性は確認されていません。
こうした科学的な知見をもとに、WHO(世界保健機関)やWADA(世界アンチ・ドーピング機構)などの国際機関も、CBDの安全性を認めています。
CBDの違法性

CBDは大麻由来の成分であることから、「違法ではないの?」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、CBDは依存性や中毒性がないことが明らかになっており、日本国内では所持や使用が合法とされています。
一方で、日本で違法とされているのはTHC(テトラヒドロカンナビノール)という精神活性作用のある成分で、こちらは厳しく規制されています。
なお、過去には市販のCBD製品から微量のTHCが検出されたケースもあるため、製品を選ぶ際は成分表示の明確な、信頼できるメーカーのものを選ぶことが重要です。

CBDを摂取して運転しても大丈夫?
上記で説明したように、安全性が高く、違法性がない「CBD」ですが、摂取して運転しても問題はないのでしょうか。
ここでは、「CBDを摂取して運転しても大丈夫なのか」ということを科学的エビデンスを基に解説したいと思います。
CBDは運転能力に悪影響を与えない
結論から言うと、CBDは運転能力に悪影響を与えないと考えられているため、基本的にCBDを摂取後、運転をしても問題はありません。
CBDが運転能力に悪影響を与えない理由として、CBDに「キマる」ような精神活性作用がないことが考えられます。
一部のサイトでは、十分な科学的エビデンスを示していないにも関わらず、「CBD摂取後に車の運転は厳禁!」といった記載をしているため、鵜呑みにしないよう注意してください。
もちろん全ての場合で、CBDを摂取して運転して良いわけではありませんが、少なくとも、これまでの研究では、運転能力に対する明確な悪影響は確認されておりません。
CBDが運転能力に悪影響を与えないことを示した3つの研究
ここでは、CBDが運転能力に悪影響を与えないことを示した3つの研究をご紹介したいと思います。
2020年のオランダの研究
2020年のオランダのマーストリヒト大学による研究では、CBDやTHCが運転能力に与える影響が評価されました。
この研究には、日常的に大麻を使用する健康な男女26名(平均年齢23歳)の被験者が参加しました。
被験者はそれぞれ、以下の4種類の大麻製剤のうち1つを気化吸入し、その後、公道にて約100kmの運転を行いました。
- 13.75mgのTHC
- 13.75mgのTHC/CBD
- 13.75mgのCBD
- プラセボ(有効成分を含まない偽薬)
運転中のパフォーマンス評価には、「SDLP」という指標が使われました。これは車線の中央から車体がどれだけ左右にふらついたかを測定するもので、数値が高いほど運転能力が低下していることを意味します。
参考までに、血中アルコール濃度が0.05%(日本における飲酒運転の基準)に達すると、SDLPは平均で約2.4cm増加するとされています。
研究の結果、吸入から40〜100分後の運転では、THC単独摂取時のSDLPはプラセボと比較して+2.33cm増加し、THC+CBD摂取時は+2.83cmとさらに高い数値となりました。
一方、CBDのみを摂取したグループでは、SDLPはプラセボとほぼ変わらず、-0.05cmと変化がない結果となり、運転能力に影響がなかったと考えられます。
この研究は、CBDを単独で摂取した場合には運転能力に悪影響が見られなかった一方で、THCを摂取すると飲酒運転と同程度の運転能力の低下が生じることを示しています。
2022年のアメリカの研究

2023年に行われたアメリカの研究では、CBDが運転能力に与える影響と、その実験の実施可能性が評価されました。
この研究には、運転免許を保有する健康な大学生40名が参加し、彼らは300mgのCBD(経口)もしくはプラセボを摂取しました。
CBDまたはプラセボを摂取した約1時間後、被験者は約40分間の模擬運転シミュレーター試験を行いました。
研究の結果、CBD群とプラセボ群のあいだに統計的に有意な差は見られませんでしたが、CBDを摂取したグループでは、衝突回数がわずかに多く、反応時間もやや遅いといった傾向が見られました。
とはいえ、これらの差は統計的には意味のあるものではなく、誤差の範囲と考えられています。したがって、この研究の結果からは、CBDが運転能力に明確な悪影響を与える可能性は低いと考えられます。
2022年のオーストラリアの研究
この研究には、健康な成人17名が参加し、各参加者は4つのセッションにわたって、15mg、300mg、1500mgのCBDまたはプラセボを経口で摂取しました。
CBDまたはプラセボを摂取した後、被験者は45〜75分後と210〜240分後に、それぞれ模擬運転シミュレーター試験を受けました。

運転中のパフォーマンスは、車線の中でどれだけふらついたかを測るSDLPという指標を中心に評価されました。さらに、被験者の認知機能や主観的な感覚(酩酊感など)、血中CBD濃度などもあわせて測定されました。
研究の結果、すべてのCBD投与量においてSDLPが有意に増加することはなく、飲酒運転に相当する水準と比較しても問題がないとされました。また、CBDを摂取しても認知機能の低下や酩酊感は報告されませんでした。
この研究は、CBDを経口摂取した場合、運転能力や認知機能に対する明確な悪影響は生じにくく、安全性が高い可能性を示しています。
CBDを摂取して運転を避けるべきケース
上記で説明したように、CBDは運転能力に悪影響を与えないと考えられているため、基本的にCBDを摂取後、運転しても問題はありません。
しかし、実はCBDを摂取した場合に運転を避けるべきケースがあります。
ここでは、CBDを摂取した後に運転を避けるべき具体的なケースと、その対処法についてご紹介します。
眠気などの副作用を感じた場合

CBDは一般的に安全性が高いとされていますが、高用量を摂取した場合などに「眠気」や「めまい」などの軽い副作用が現れることがあります。
こうした症状がある状態で運転をしてしまうと、注意力の低下から事故につながるリスクもゼロではありません。
そのため、CBDを摂取後に、これらの副作用を感じた場合は無理をせず運転を控えることが大切です。
ただし、CBDによる副作用は必ず起こるわけではなく、程度も比較的軽度のため、そこまで心配する必要はないと言えます。
初めてCBDを使用する方や、高用量を摂取した場合は、自分の体の反応をよく観察しながら、体調に問題がないと感じたときに運転するようにしましょう。

副作用を感じた場合の対処法
CBDを摂取した後に、「眠気」や「めまい」といった副作用を感じた場合には、状況に応じた冷静な対応が大切です。
例えば、運転中にそのような症状を自覚したときは、無理に運転を続けず、できるだけ早く安全な場所に車を停めて休憩を取りましょう。軽く仮眠をとったり、深呼吸をしてリラックスすることで、多くの場合は自然に回復します。
また、運転前の段階で体調に違和感がある場合も、無理に車を運転しないことが重要です。わずかな眠気やだるさでも、運転中の判断力や反応速度に影響を与える可能性があるため、安全のために運転を見送る判断をしましょう。
なお、今後の安全なCBDの使用に備えて、副作用が現れたときの摂取量や使用状況を記録しておくこともおすすめです。
その記録をもとに、自分に合った適切な用量を見極めることで、より安心してCBDを取り入れることができます。
CBD以外のカンナビノイドを摂取して運転しても大丈夫?
結論から言うと、カンナビノイドの種類によっては運転を控えた方がよいと考えられます。
ここでは、日本で利用できるカンナビノイドで摂取後に運転を控えるべきものをご紹介したいと思います。
CBN

CBNは、大麻草に含まれる100種類以上のカンナビノイドのひとつです。この成分はTHCが空気や光などによって酸化・分解されることで生成される成分と考えられています。
CBNにはわずかながら精神活性作用があるとされており、その強さはTHCの約10分の1程度とも言われています。THCほど強い影響はないものの、人によってはリラックス感や軽いぼんやり感を感じることがあります。
現時点で、CBNと運転能力の関係を直接検証した科学的研究は存在していませんが、精神に影響を与える可能性がある以上、摂取後の運転には注意が必要です。
合成カンナビノイド
CBDのような天然由来のカンナビノイドとは異なり、「合成カンナビノイド」と呼ばれる成分は、化学的に人工合成されたものです。
これは、THCのような精神活性作用を持つカンナビノイドの構造を人工的に真似て作られた化合物で、元々は医療研究などの目的で開発されました。
合成系カンナビノイドは、その精神活性作用から運転能力に悪影響を及ぼす可能性が非常に高く、摂取後の運転は絶対に避けるべきです。
ちなみに、日本で利用できる合成カンナビノイドには「CB9」や「10-OH-HHC」などがあります。
薬剤師監修のCBDカプセル「ちるねる」のご紹介
本記事では、「CBDを摂取して運転しても大丈夫なのか」ということを解説いたしました。
ここでは、薬剤師の視点から開発されたCBDカプセル「ちるねる」についてご紹介します。
安全性へのこだわり
「ちるねる」は、安心してご利用いただける安全性の高さが特長です。
その安全性の理由は、原料となるヘンプ(産業用大麻)の栽培環境にあります。農薬や化学肥料などを一切使わず、厳格な基準でオーガニック栽培されたヘンプのみを使用しています。
一部のCBD製品では、土壌中の有害物質がヘンプに吸収されてしまい、製品に微量の化学物質が残留しているケースもありますが、「ちるねる」はその点を徹底的に排除しております。
「体に入れるものだからこそ、安心できるCBDを選びたい」という方に、ぜひお試しいただきたい一品です。
業界最大クラスのCBD100mg配合
「ちるねる」のもう1つの特長は、CBDの配合量。1カプセルあたりにCBDを100mg配合しており、これは業界でもトップクラスの高濃度です。
「CBDを摂っているけど、効果をあまり感じられない…」と感じている方にとって、「ちるねる」はしっかりと実感を得られる設計になっています。
実際に利用された方からは、「これまで試した中で一番体感があった」といった喜びの声も多く寄せられています。

吸収率を高めるオリーブオイル配合
「ちるねる」ではキャリアオイルとしてオリーブオイルを使用。
CBDは脂溶性であり、オリーブオイルとの相性が非常に良いため、体内への吸収率をより高める効果が期待できます。
より吸収率の高いCBD製品にご興味のある方は、ぜひ「ちるねる」をチェックしてみてください。
お客様の声


参考文献
- Safety and side effects of cannabidiol, a Cannabis sativa constituent
- Effects of cannabidiol on simulated driving and cognitive performance: A dose-ranging randomised controlled trial
- The Effects of Cannabidiol on the Driving Performance of Healthy Adults: A Pilot RCT
- Effect of Cannabidiol and Δ9-Tetrahydrocannabinol on Driving Performance: A Randomized Clinical Trial


日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師
日本臨床カンナビノイド学会認定登録師
所属学会:日本薬理学会、日本緩和医療薬学会、日本在宅薬学会、日本臨床カンナビノイド学会