CBDは、「リラクゼーション」や「ストレス緩和」などの効果が期待されていることから、日本でも多くの年齢層から注目を集めています。
そんなCBDですが、近年「タバコの代わりになる」・「禁煙効果がある」といった噂を耳にすることが増えてきています。
今回は薬剤師である私が、「CBDはタバコの代わりになるのか」・「禁煙効果があるのか」ということをエビデンスを基に解説したいと思います。
また、現在X(旧Twitter)・Instagramにて、CBDを含む大麻成分に関する情報をエビデンスを基に発信しているので、気になった方は是非チェックしてみてください!

日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師
日本臨床カンナビノイド学会認定登録師
所属学会:日本薬理学会、日本緩和医療薬学会、日本在宅薬学会、日本臨床カンナビノイド学会
そもそもCBDとは?
CBDとは、大麻草に含まれる「カンナビノイド成分」の1つです。
ここでは「CBDがどういった成分なのか」ということを解説したいと思うので、是非チェックしてみてください。
CBDは安全性が高い成分である

CBDは、大麻草に含まれる成分であることから、「安全性は大丈夫なの?」と疑問を感じている方はいらっしゃいませんか?
結論から言うと、CBDは重篤な副作用や依存性が無く、安全性が高い成分であると考えられています。
実際に、過去の研究でも、CBDを摂取した場合に、目立った悪影響が人体には見られなかったことが報告されています。
また、国際的な機関である「WHO(世界保健機関)」も、「CBD 事前審査報告書」にて、CBDには依存性が無いことを明記しています。
このように、安全性の高い「CBD」ですが、過剰に摂取した場合には「眠気」などの副作用を感じることがあるため、摂取する量には注意が必要です。

CBDは日本でも合法的に使用できる
日本では、「大麻」は大麻取締法によって規制されており、日本では利用することができません。
このことから、大麻成分である「CBD」も、「日本では違法なのでは?」と不安を感じている方はいらっしゃいませんか?
しかし、大麻の茎や種子から抽出された「CBD」は日本でも合法であり、利用や所持したとしても逮捕されることはありません。
実際に、大麻取締法でも「大麻草の茎や種子から抽出されたCBD成分は大麻に該当しない」ということが明記されています。
ちなみに、日本で違法とされるのは「THC」と呼ばれる成分であり、「キマる」といった精神活性作用があるとされています。
CBDには様々な効果が期待されている

CBDは過去の研究から、
- 睡眠の補助
- リラックス効果
- ストレス緩和
- 抗炎症作用
- 抗酸化作用
- 鎮痛作用
- 抗菌作用
などの効果に加えて、数多くの疾患に対しても有用性が期待されています。
実際、海外では「エピディオレックス」というCBDを含んだ医薬品が「抗てんかん薬」として利用されています。
日本でも現在、この「エピディオレックス」が「レノックス・ガストー症候群」などの難治性てんかんの患者に対して臨床治験が行われています。
2023年の12月に大麻取締法が改正されたため、日本でも今後「CBD」が医療目的で利用されることが期待されます。
タバコはなぜ止められない?ニコチン依存症とは?
タバコを止めようと思っていても止められないのは、「ニコチン依存症」という疾患のためであると考えられています。
ニコチン依存症とは、血中のニコチン濃度が、一定以下になると不快感を覚え、喫煙を繰り返してしまう疾患のことです。
ニコチン依存症は改善することが難しいとされており、自力で禁煙を行った場合の成功率は10%程度とも言われています。
ここでは、「ニコチン依存症になるメカニズム」・ニコチン依存症の「症状」や「治療法」について簡単に解説したいと思います。
ニコチン依存症になるメカニズム

タバコを吸うと、「ニコチン」が肺から吸収され、脳内の腹側被蓋野にある「α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体」に結合します。
「ニコチン」がこの受容体に結合すると、「ドーパミン」と呼ばれる神経伝達物質が大量に放出され、強い快感が得られます。
しかし、体内に吸収された「ニコチン」の作用は長時間続くわけではないため、ドーパミンの快感作用はすぐに切れてしまいます。
すると、ドーパミンによる快感を感じていた身体は、再度快感を味わいたいと思い、再度タバコを吸ってしまいます。
このような状態のことを「ニコチン依存症」と呼び、喫煙者は頭では禁煙すべきだと分かっていても、タバコを止めることが出来なくなってしまいます。
また、ニコチンを摂取できなくなると、不快感を感じる「離脱症状」と呼ばれる特有の症状が引き起こされますが、この離脱症状も「ニコチン依存症」が起こる原因であるとされています。
ニコチン依存症の症状
ニコチン依存症の症状としては、上記で説明した「離脱症状」が挙げられます。
離脱症状では、「たばこを吸いたいという欲求」・「イライラする」・「集中力がなくなる」・「頭痛」・「眠気や倦怠感」などの症状が引き起こされます。
特に、「たばこを吸いたいという欲求」は非常に強く、禁煙開始直後は1日のうちに何度もタバコを吸いたいと感じると言われています。
また、離脱症状は、禁煙開始後2日〜3日をピークに、10日〜14日程度持続することが多いと考えられています。
ニコチン依存症の治療法

ニコチン依存症は、主に「身体的依存(体の依存)」と「精神的依存(心理的依存)」と「習慣的依存」の3種類に分類され、治療法はそれぞれの種類によって異なるとされています。
まず、「身体的依存」の治療法では、貼り薬である「ニコチンパッチ (ニコチネルTTS)」や、飲み薬である「バレニクリン(チャンピックス)」が利用されます。
次に、「精神的依存」の治療法では、「医師とのカウンセリング」がメインとして行われます。
最後に、「習慣的依存」の治療法では、「(認知)行動療法のカウンセリング」が、約12週間ほど行われます。
禁煙治療は自分でも行うことができますが、治療を受けた方が確実に克服することができるため、医療機関で治療を受けることをおすすめします。

CBDは禁煙効果がある?メカニズムは?
CBDには、「てんかん」や「睡眠障害」など様々な疾患に対して効果が期待されています。
では、ニコチン依存症に対してはどうでしょうか?
ここでは、「CBDには禁煙効果があるのか」ということをエビデンスを基に解説したいと思うので、気になった方は是非チェックしてみてください!
CBDは禁煙効果が期待されている
結論から言うと、CBDは過去の研究から、禁煙効果が期待されています。
ここでは、CBDの禁煙効果が示された研究・調査をご紹介したいと思います。
CBDが喫煙数を減少させた研究と調査

2013年の研究では、喫煙者24人に「CBD」または「プラセボ(偽薬)」を吸入器で投与し、有用性が評価されました。
研究の結果、プラセボに比べて、CBDは被験者の喫煙の本数を最大40%減少させたことが報告されました。
この研究終了後も、CBDを摂取した喫煙者は、喫煙本数をコントロールできたことも明らかになっています。
また、「Naturecan社」の調査では、CBDベイプを利用した80%以上の方に喫煙量の減少が見られたことも明らかになっています。
CBDによってタバコへの関心が低下した研究
ニコチン依存症になると、タバコのことばかりを考え、つい注意がタバコに向いてしまうようになりますが、この状態は専門用語で「注意バイアス」と呼ばれています。
2018年の研究では、起床時のニコチン切れの喫煙者に経口で「CBD(800mg)」または、「プラセボ(偽薬)」し、「注意バイアス」にどのような相違があるかが調査されました。
その結果、CBDを服用した群は、プラセボを服用した群に比べて、タバコに対する注意バイアスが有意に低下したことが報告されました。
この結果は、CBDの単回使用が、タバコへの欲求を抑制し、人工的な「賢者モード」をもたらしてくれる可能性を示唆しています。
CBDの禁煙効果のメカニズム

結論から言うと、CBDの禁煙効果のメカニズムは現時点では完全には明らかにはなっていません。
一説では、CBDが人体に存在する「CB1」に作用することで、禁煙効果を引き起こすのではないのかと考えられています。
CB1とは、CBDなどの「カンナビノイド」が作用する「受容体」の1つであり、CB1以外にも「CB2」があるとされています。
また、異なる見解では、CBDがニコチン依存症の原因となる「脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)」の働きを阻害することで、禁煙効果を引き起こすのではないかとも考えられています。
これらのように、CBDの禁煙効果のメカニズムは完全には明らかになっていないため、今後の更なる研究に期待が高まります。
「THCV」にも禁煙効果が期待されている
実は、CBDと同じカンナビノイド成分の1つである「THCV」にも、禁煙効果が期待されています。
2019年の研究では、ラット・マウスに対してTHCVを投与することで、ニコチン依存症に対する有用性が評価されました。
その結果、THCVを投与されたラットは、「マウスの離脱症状が有意に軽減」・「ニコチンの探索行動」を軽減したことが報告されました。
この研究は動物実験レベルではありますが、THCVの禁煙効果の有用性を示唆しており、今後の更なる研究に期待が高まります。
ただ、THCVは2023年に厚生労働省によって規制されてしまったため、所持や使用が違法となっています。
禁煙目的のCBDベイプの利用はおすすめしない

皆さんの中には、「禁煙のためにCBDベイプを利用しようと考えている…」といった方はいらっしゃいませんか?
しかし、実を言うと、禁煙目的でCBDベイプを利用することはおすすめできません。
ここでは、禁煙目的のCBDベイプの利用をおすすめしない理由を2つご紹介したいと思うので、利用を考えている方は是非参考にしてみてください。
研究で悪影響を与える可能性が示唆されている
CBDベイプは過去の研究から、人体に悪影響を与える可能性が示唆されていることをご存じでしょうか?
2023年のヒトとマウスの細胞を用いた研究では、「CBDベイプ」と「ニコチンベイプ」の肺の損傷リスクが評価されました。
研究の結果、CBDベイプの方が、高い割合で以下のような有害反応を示したことが分かりました。
- 局所病変の数と重症度が増加
- 肺炎症の増加
- 酸化ストレスの亢進
- 肺好中球の死滅
- ヒト小気道上皮細胞に対するダメージ など
そのため、CBDを安全に摂取したい方は、CBDサプリメントやオイルなどのCBDベイプ以外のCBD製品を利用することをおすすめします。
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実際に健康被害や死亡事例が報告されている
安全性が高いことが分かっている「CBD」ですが、実はCBDベイプによる健康被害が複数報告されています。
実際に、東京の消費生活センターには、CBDベイプを利用した後に、「気分が悪くなった」・「舌がピリピリし頭痛が起きた」などの健康被害が報告されています。
また、海外では、CBDが含まれたベイプ用リキッドによる死亡事故も起こっています。
CBDベイプを使う際は、「ビタミンEアセート」・「プロピレングリコール」といった添加物が含まれていないか、しっかりと確認することも重要です。
これらの成分は、加熱によって毒性をもつといった特徴があり、海外ではこれらの成分による死亡事故も確認されています。
このように、CBDベイプには健康被害・死亡事例が報告されているため、利用することはおすすめできません。
CBD薬剤師の質問コーナー
CBDの薬物依存症に対する効果は?
CBDには、薬物依存症を緩和する効果が期待されています。
2019年の研究では、ヘロイン依存症の患者42名にCBD(400〜800mg)またはプラセボ(偽薬)を投与することで、有用性が評価されました。
ヘロインは、麻薬性鎮痛薬の1つであり、乱用を繰り返すことで強い精神依存を引き起こすとされています。
結果、CBDはプラセボに比べて、ヘロインに対する「渇望(摂取欲求)」や「不安」を大幅に軽減したことが明らかになりました。
さらに、この研究では、CBDは7日間、継続して同様の効果を示したことが明らかになりました。
CBDのアルコール依存症に対する効果は?
CBDは、アルコール依存症に対する効果も期待されています。
2017年の研究では、エタノールを摂取したマウスにCBDを投与することで、アルコール依存症に対する有用性が評価されました。
実験の結果、CBDはマウスのエタノールの摂取量を減少させ、依存を緩和させる可能性が示唆されました。
また、別の研究では、アルコール依存症であるラットに「CBD」を投与し、ストレス負荷などをかける実験が行われました。
その実験では、ラットはストレス負荷などが原因の「アルコール探索」を軽減したことが明らかになりました。

参考文献
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