2020年1月、新型コロナウイルス感染症の患者が国内で初報告されました。1
同時期にクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に帰港し、3711名の乗員乗客のうち、712名が感染、少なくとも14名が亡くなる事態に発展しました。2
その後、有名人の死者を出しながら新型コロナウイルス感染症は全国に広がっていきました。
今回は新型コロナウイルス感染症の後遺症について、その症状や診療医療機関について薬剤師としてまとめ記事を作成しました。
本記事の作成にあたり、新型コロナウイルス感染症の診療の手引き、厚生労働省やWHOの情報を元にしています。
ぜひ最後までお読みください!
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とは
新型コロナウイルスは正式名称をSARS-CoV-2(サーズ‐コロナウイルス‐2)と言います。
ヒトに感染するコロナウイルスは7種類が知られています。
このうち4種類はヒトからヒトへ感染し、一般的な風邪の流行期には35%がこれらで占められるとされています。1
今回問題となった新型コロナウイルスは、動物からヒトに感染する能力を身に付けた残り3種の内の1種です。
SARS-CoV-2とは、2019年、中国の武漢市で発見された新型コロナウイルスの病原体名である。
COVID-19とは
2019年、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染者が初めて報告されたことから、WHOは新型コロナウイルス感染症を「COronaVIrus Disease (COVID-19)」と定義しました。3
COVID‐19は新型コロナウイルスそのものの名前ではなく、新型コロナウイルスに罹患したときの疾患名( 咳や発熱、倦怠感などの原因)のことである。4
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状・後遺症
WHO(世界保健機関)は、後遺症(COVID-19罹患後症状・Long COVID)を「新型コロナウイルスにかかったヒトのうち、一つ以上の臓器で慢性的な症状が3カ月以上続く状態で、他の疾患では説明できない状態」と定義しています。
後遺症の出現確率
世界保健機関(WHO)によれば、「ほとんどの人はCOVID-19から完全に回復するが、約10~20%の人に中長期的に影響が残る」としています。5
また、東京都がまとめた後遺症に関する見解では、「診断後2ヶ月で約72.5%、6カ月後では約54%に後遺症が残る」としています。6
代表的な後遺症の症状
「コロナ後遺症相談窓口」に寄せられた後遺症の症状をグラフにまとめました。
上記の症状以外に、
- 全身症状:体の痛み
- 呼吸器症状:のどの痛みや息切れ
- 精神・神経症状:記憶力の低下、集中力の低下、不眠
といった症状の相談があったそうです。
デルタ株以前には嗅覚障害や味覚障害に対する相談が多かったものの、オミクロン株以降は咳や倦怠感が多くなったことがわかります。
ウイルス株の違いによる後遺症の年齢や重症度の違い
第88回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年5月26日)を参考に「コロナ後遺症相談窓口」に寄せられた相談データをグラフにまとめました。
上記のグラフから、ウイルス株や年齢、既往歴の有無にかかわらず後遺症に関する相談があったことがわかります。
また、デルタ株以前は、症状が中等症以上の重症度の方からの相談が多かったこともわかります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症診療医療機関
厚生労働省が各都道府県別に、後遺症の診療をしている医療機関をまとめています。
おうめ薬局と薬剤師の荒川について
この記事の執筆者である私は、薬剤師の荒川快生と申します。
東京都青梅市で保険調剤薬局、おうめ薬局を経営しています。
おうめ薬局は東京都知事との間で、医療措置協定を締結しており、新興感染症の流行初期から患者様へ対応する第二種協定指定医療機関に指定されています。
新型コロナウイルス感染症の情報の信頼性について
薬剤師として情報の信頼性について、厚生労働省や東京都、国立感染症研究所のデータ、新型コロナウイルス感染症診療の手引き、第88回 東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年5月26日)、論文等に基づいて解説しています。