CBNの効果とは?合法?ジョイント・クッキーはやばい?CBDとの違いも解説

大麻由来の成分である「CBD」は、美容や医療業界などから注目を集めており、日本でも年々利用者が増加しています。

そんな中、CBDと同じ大麻由来の成分である「CBN」が、最近注目を集めていることを皆さんはご存じでしょうか?

今回は薬剤師である私が、CBNとはどういった成分なのかということやCBNに期待される効果・効能」について解説したいと思います。

また、記事の後半では、CBN製品の効果・効果時間についても解説しているので気になった方は是非チェックしてみてください。

この記事でわかることCBNとは
CBNに期待される効果・効能
CBN製品の効果・効果時間
CBNで効果が感じられない理由

CBNとは?CBDとの違いは?

CBNとは、カンナビノールの略称で、大麻草に含まれる100種類以上ある「カンナビノイド」と呼ばれる成分の1つです。

CBNは、カンナビノイド成分の1つである「THC」という成分が酸化・分解されることで形成されると考えられています。

ここでは、そんな「CBN」の危険性・違法性をCBDとの違いと共に簡単に解説したいと思います。

CBNは危険性が低いとされている

CBNを研究している研究者

CBNはCBDと違い、臨床試験の数が少ないため、現段階では人体に対する安全性が明らかになっていません

ただ、CBNは過去の動物を用いた研究から、「安全性は低くないのではないか」と考えられています。

カナダの「InMed Pharmaceuticals」社では、実験動物にCBNを投与し、血中濃度を10,000倍にすることで安全性を評価する実験が行われました。

その結果、CBNを投与された実験動物は、歩き方や姿勢に関係のある「中枢神経」に対して有害事象が引き起こされなかったことが分かりました。

この研究は動物実験レベルですが、CBNの安全性の高さを示唆しています。

これらのことから、CBNは今後臨床試験が行われることで、CBD同様に人体に対する安全性が認められることが期待されます。

CBDの安全性や危険性についてはこちら

CBNは合法の成分

手錠をされている男性

実は、CBNは日本で違法の大麻成分「THC」の約10分の1の精神活性作用があると言われています。

そんな「CBN」ですが、「THC」と違い現在日本では規制が行われておらず、CBDと同様に合法で使用できます。

しかし、CBNは「THC」と分子構造が似ているため、高用量を摂取した場合は薬物検査において陽性反応を示す場合があると言われています。

実際に2020年の研究では、高濃度のCBNがTHCの薬物検査において陽性反応を示す可能性があることが分かっています。

CBN自体には違法性がありませんが、CBDと違って多量に摂取することでトラブルに巻き込まれる可能性があるため、摂取量には注意が必要です。

また、最近人気がある「CBNジョイント・ハーブ」も違法ではないですが、利用する際は注意するようにしましょう。

CBNの効果・効能とは?

CBNには「睡眠のサポート」や「痛みの緩和」・「炎症の緩和」・「抗菌作用」・「食欲増進作用」といった効果が期待されています。

ここでは、CBNに期待できる上記の効果を研究やエビデンスを基に詳しく解説したいと思います。

睡眠のサポート

皆さんの中に、「現在の睡眠に満足できていない・睡眠の質を上げたい」といった方はいらっしゃいませんか?

実はCBNは過去の研究から、睡眠をサポートする効果が期待されています。

2021年の研究では、不眠症を患う患者に対してCBN製品の利用前と利用後にアンケート調査が行われました。

調査の結果、CBN製品を利用した60人の不眠症患者は、利用前に比べて、睡眠障害の発生率が大幅に改善したことが分かりました。

CBNの睡眠に対する研究は十分ではないですが、睡眠障害に悩んでいる方は試しにCBNを摂取してみてはいかがでしょうか。

痛みの緩和

腰に痛みを感じている男性

痛みを緩和する成分としては、「アスピリン」・「サリチルアミド」などが有名ですが、実はCBNにも痛みを緩和する効果が期待されています。

海外の研究では、筋筋膜性疼痛を患うマウスにCBN を投与し、有用性が評価されました。

筋筋膜性疼痛とは、筋肉や関節に「痛み」などの症状が起こる疾患のことです。

研究の結果、CBNを投与されたマウスは、「感作」が軽減されたことが分かりました。

感作とは、長時間の痛みが続くことで、普段より痛みを強く感じてしまう状態のことです。

この研究は動物実験レベルですが、CBNの痛みに対する有用性を示唆しており、CBNは線維筋痛症や顎関節症などの慢性筋肉痛障害の痛みを緩和する可能性があります。

炎症の緩和

CBNには炎症を緩和する効果があると考えられており、関節炎などの炎症を伴う疾患に対して効果が期待されています。

実際に2003年の論文では、CBNには炎症反応を阻害する作用があり、炎症性疾患に対して治療効果の可能性があることが示唆されています。

さらに、2004年の論文では、CBNを投与されたラットは、関節炎の炎症や痛みが軽減したことが分かりました。

これらの論文は、CBNの炎症性疾患に対する有用性を示唆しています。

アトピーや筋肉痛などの炎症を伴う疾患に悩まされている方は、試しにCBNを摂取してみてはいかがでしょうか。

抗菌作用

CBNの抗菌作用を研究している研究者

CBNは過去の研究から「抗菌作用」が期待されています。

2020年の研究では、「CBNなどのカンナビノイド」と「口腔ケア製品」の細菌の増殖抑制が比較されました。

その結果、CBNを含めたカンナビノイド成分は、口腔ケア製品と比較して、細菌の繁殖を大幅に抑制したことが明らかになりました。

また、他の研究ではCBNはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対しても抗菌作用を示したことも分かりました。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌とは、多くの抗菌薬に対して耐性がある細菌のことです。

食欲増進(マンチ)作用

皆さんの中にも夏バテや風邪などが原因で、「食欲が湧かない…」といった経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか?

CBNはTHCと同様に食欲増進(マンチ)作用があるとされており、食欲不振を解消することが期待されています。

実際に2021年の研究では、CBNを投与されたラットには、食事の総量の大幅な増加が見られたことが報告されました。

さらに、この研究では、CBNがラットの摂食時間の増加を通じて、完食行動の増加を促進したことも示唆されました。

この研究結果は、CBNが現在使用されているTHCを含んだ食欲増進薬の代替となる可能性を示唆しています。

緑内障の治療

緑内障を患っている女性

CBNには神経保護作用があるとされており、緑内障の治療に対しても効果が期待されています。

緑内障とは、眼圧が高くなり視神経が傷つくことで、視野(見える範囲)が少しずつ狭くなっていく疾患のことです。

2022年のマウスを用いた研究では、神経節細胞や眼圧などに対するCBNの有用性を観察する実験が行われました。

実験の結果、CBNは神経保護を促進し、眼圧のレベルを正常化したことが分かりました。

この研究は緑内障の治療におけるCBNの治療効果の可能性を示しており、実際に現在アメリカの企業では、緑内障の患者向けにCBNを含んだ治療薬の開発が進んでいます。

骨の成長の促進

上記で紹介した効果の他に、CBNには骨の成長を促進する効果が期待されています。

これは、CBNが「骨形成細胞」の活動を刺激し、骨の再生や修復をサポートすることで起こると考えられています。

骨形成細胞とは、骨の元となる「たんぱく質」を産生・分泌し、カルシウムなどの沈着を誘導する細胞のことです。

実際に2007年の論文でも、CBNが間接的に骨の成長を促進することが示唆されています。

これらのことから、CBNは将来、骨折の有望な治療法となる可能性を秘めている成分と言えるのではないでしょうか。

アルツハイマーの治療

アルツハイマーの高齢者

近年の研究では、大麻由来のCBNがアルツハイマー病の治療に有望な可能性を持つことが明らかになっています。

ソーク研究所の研究者は、CBNがミトコンドリアの機能を維持し、神経細胞の酸化的損傷を防ぐことを発見しました。

アルツハイマー病の進行には酸化ストレスと細胞死が深く関与しており、CBNはこれらのダメージからニューロンを保護する働きを持つとされています。

研究では、CBNを投与した細胞において、ミトコンドリアの損傷を防ぎ、正常な機能を維持できることが確認されました。

この作用により、アルツハイマー病をはじめとする加齢に伴う神経変性疾患の進行を遅らせる可能性が示唆されています。

今後、前臨床試験を通じて、アルツハイマー病の治療薬としての実用化が期待されています。

CBN製品の効果や効果時間は?CBNクッキーはやばい?

皆さんの中に、「CBNに期待されている効果は分かったけど、CBN製品の効果や効果時間はどうなの?」と思っている方はいませんか。

まず、CBN製品の効果からいうと、上記で説明した「CBNの効果」を期待することができます。

次に、CBN製品の効果時間は、CBDと同様に、製品の種類によって「効果の持続時間」や「効果が出るまでの時間」が異なると考えられています。

ここでは、CBN製品ごとの「効果の持続時間」や「効果が出るまでの時間」について解説したいと思います。

CBNクッキー・グミ

CBNクッキー・CBNグミは、CBN成分を含んだお菓子のクッキー・グミのことです。

これらの製品は一般的なクッキー・グミと同じように、「経口摂取(口から食べること)」で簡単に摂取することができます。

CBNクッキー・CBNグミの「効果の持続時間」や「効果が出るまでの時間」は以下を目安にご参照ください。

  • 効果の持続時間:6〜10時間前後
  • 効果がでるまでの時間:30分〜1.5時間前後

CBNクッキー・CBNグミは他の製品に比べて「効果の持続時間」と「効果がでるまでの時間」が長いと言われています。

そのため、効果を長時間感じたいといった方にはおすすめですが、効果をなるべくはやく感じたいといった方にはあまりおすすめできません。

CBNジョイント・ハーブ・リキッド 

CBNジョイント・ハーブとは、「巻きたばこ」のようにしてCBNを摂取することができる製品であり、CBNリキッドとは、ベイプで使用する「リキッド」にCBN成分を含ませた製品のことです。

CBNジョイント・ハーブ・リキッド の「効果の持続時間」や「効果が出るまでの時間」は以下を目安にご参照ください。

  • 効果の持続時間:2〜3時間前後
  • 効果がでるまでの時間:数分〜10分前後

これらのCBN製品は「吸引摂取」という摂取方法で、肺の毛細血管から直接CBNを摂取することができます。

そのため、胃からCBNを吸収するCBNクッキー・CBNグミに比べて効果が出るまでの時間が短いとされています。

ただ、効果の持続時間が「2〜3時間前後」と比較的短いため、効果を長時間期待している方にはあまりおすすめできません。

CBNオイル 

CBNオイルとは、CBN成分を「食用キャリアオイル」に溶かした製品のことです。

このCBN製品の摂取には、一般的に「舌下摂取」という摂取方法が利用されます。

この「舌下摂取」は、CBNオイルを舌の裏に垂らし、舌下の毛細血管から「CBN成分」を摂取する方法となっています。

CBNオイル の「効果の持続時間」や「効果が出るまでの時間」は以下を目安にご参照ください。

  • 効果の持続時間:6時間前後
  • 効果がでるまでの時間:30分前後

この製品の「効果の持続時間」は、CBNクッキー・グミに比べて短く、CBNジョイント・ハーブ・リキッドよりは長いとされています。

また、「効果がでるまでの時間」は、CBNクッキー・グミに比べて短く、CBNジョイント・ハーブ・リキッドよりは長いとされています。

安全性ならCBDアイソレートがおすすめ

CBDアイソレート

「睡眠のサポート」や「痛みの緩和」など様々な効果が期待されている「CBN製品」ですが、上記でも説明したように、 CBNの人体に対する安全性は現段階で明らかになっていません

そのため、皆さんの中にも「安全性を重要視しているから、CBN製品は利用したくない…」といった方が一定数いらっしゃるのではないでしょうか?

もしあなたが、そういった考えを持っているなら、「CBDアイソレート」を利用することがおすすめです。

CBDアイソレートとは、「CBD」のみを含んだCBD製品のことであり、CBNなどの他の大麻由来の成分は含まれていません。

この製品は純粋なCBDのみを含んでいるため、安全性が非常に高く、安全性を重要視している方でも安心して利用することができます。

CBDアイソレートについてはこちら

CBD薬剤師の質問コーナー

CBNは効果ない?

稀にCBNは効果がないと言う方がいらっしゃいますが、それはなぜでしょうか?

CBNの効果が感じられない場合には以下の2つが考えられます。

  1. CBNの摂取量がたりていない
  2. CBNの利用期間が短い

1つめの、「CBNの摂取量がたりていない」という場合は、CBNの摂取量を増やすことで改善がみこめます。

ただ、上記でも説明したようにCBNの安全性は現段階では明らかになっていないため、摂取量には注意してください。

2つめ、「CBNの利用期間が短い」という場合には、継続的にCBN製品を摂取することで改善がみこめます。

まずは、1週間〜1ヶ月程度の間、CBN製品を継続して摂取してみましょう。

参考文献

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