コロナウイルスやインフルエンザの検査に使われる「抗原検査キット」。
そんな「抗原検査キット」ですが、「研究用」や「医療用」など種類がいくつかあることを知っている方は意外と少ないのではないのでしょうか?
実際、厚生労働省が450人を対象に行った調査でも、全体の約60%が「研究用」と「医療用」などがあることを知らなかったということが明らかになっています。
本記事では、検査に使われる「抗原検査キットとはどういったものか」ということと、「研究用とその他の種類の違い」について詳しく解説します。
また、後半では、「抗原検査キットのおすすめの入手先」もご紹介しているのでぜひチェックしてみてください。
そもそも抗原検査キットとは?種類は?
ここでは、「そもそも抗原検査キットとはどういったものか」ということや「抗原検査キットの種類」について解説したいと思います。
感染の診断に使われる検査ツール
そもそも抗原検査キットは、感染症の診断に使われる検査ツールの1つで、病原体の抗原(特定のタンパク質)を検出して感染の有無を判別します。
主に新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症の診断に用いられており、短時間で結果が分かる「迅速性」と専門的な機器が不要な「簡便性」といった特徴があります。
使い方としては「鼻腔ぬぐい液」や「唾液」などの検体を採取し、専用の試薬と反応させることで陽性・陰性を判断します。
また、抗原検査キットの販売価格は、一般的に1キットあたり数千円ほどとなっています。
種類は全部で3種類

新型コロナウイルスやインフルエンザの検査に使われる「抗原検査キット」ですが、「研究用」と「医療用」・「一般用」の3種類があります。
これらの3種類の抗原検査キットは、以下のような目的で利用されます。
- 研究用:研究機関や実験室での試験や研究目的で使用されるキット。
- 医療用:医師が診断目的で使用するキット。
- 一般用:家庭や職場での自己検査を目的としたキット。
以下では、上記3種類の違いを「厚生労働省の承認の有無」・「検査の精度」・「陽性診断として使用できるかどうか」・「入手方法」といった観点から解説したいと思います。
抗原検査キットの研究用と一般用・医療用の違いは?
ここまでの説明から、抗原検査キットには「研究用」・「医療用」・「一般用」の3種類があることがお分かりいただけたと思います。
ここでは、「厚生労働省の承認の有無」・「検査の精度」・「陽性診断として使用できるかどうか」・「入手方法」の観点から違いを解説したいと思います。
①厚生労働省の承認の有無
「研究用」と「一般用」・「医療用」の1つ目の違いは、「厚生労働省からの承認の有無」です。
結論から言うと、「一般用」と「医療用」は厚生労働省からの承認を受けた医薬品となっています。
ちなみに、「一般用」は外箱に「第1類医薬品」という記載が、「医療用」には外箱に「体外診断用医薬品」という記載があることが目印です。
一方、「研究用」の抗原検査キットは厚生労働省からの承認を受けておらず、「実質的には雑貨と同じ位置付け」であると言われています。
②検査の精度
「研究用」と「一般用」・「医療用」の2つ目の違いは、「検査の精度」です。
上記で説明したように、「一般用」と「医療用」は厚生労働省からの承認を受けており、検査の精度が保証されています。
ただ、これらの抗原検査キットも「PCR検査」と違い、ウイルス量が少ない場合は検出できない可能性があるため、より高い精度を求めるならPCR検査を受けることをおすすめします。
一方、「研究用」は「一般用」と「医療用」と違い、検査の精度が保証されておらず、「陽性」と「陰性」を間違う可能性があると言われています。
実際、「研究用」の抗原検査キットを利用した事例では、PCR検査と異なる検査結果を示したことが報告されています。
また、過去に流通していた「研究用」の一部では、「一般用」と「医療用」の約264分の1の検査精度しかなかったことも明らかになっています。
このように、抗原検査キットは種類によって検査の精度が異なるため、正しい検査を行いたい場合は「一般用」・「医療用」もしくは「PCR検査」を受けることをおすすめします。
③陽性診断として使用できるかどうか

「研究用」と「一般用」・「医療用」の3つ目の違いは、「陽性診断として使用できるかどうか」です。
陽性診断として使用できることで、以下のようなメリットがあります。
- 診断結果を医学的判断の根拠にできる
- 公的な対応や支援につながる など
結論を言うと、「研究用」は陽性診断として使用することができず、「医療用」は陽性診断として使用することができます。
一方、「一般用」の抗原検査キットは自治体ごとに対応方針や指示が異なるため、各自治体にお問い合わせください。
④入手方法
「研究用」と「一般用」・「医療用」の3つ目の違いは「入手方法」です。
まず、「研究用」の抗原検査キットは、Amazonや楽天市場などのオンラインショップで購入することができます。
次に、「一般用」の抗原検査キットは、「研究用」と同じくオンラインショップで購入できることに加えて、薬局又はドラッグストアで購入することもできます。
最後に、「医療用」の抗原検査キットは、オンラインショップで購入することはできませんが、薬局又はドラッグストアで購入することができます。
【重要】研究用の抗原検査キットには注意が必要
上記で説明したように、「研究用」の抗原検査キットには以下のような特徴があります。
- 厚生労働省からの承認を受けていない
- 検査の精度が低い可能性がある
- 陽性診断として使用できない
これらの特徴から、厚生労働省も「研究用」の抗原検査の利用・購入に対して注意喚起を行っています。
最近では「研究用」にもかかわらず、「厚生労働省承認済み」といった表示がされた悪質なものも出回っているため、購入する際は注意が必要となります。
実際過去には、悪質な抗原検査キットを販売していた事業会社5つに、消費者庁が再発防止等の指導を行ったケースもあります。
抗原検査キットを購入するなら薬局がおすすめ!

抗原検査キットを購入する際は、信頼性や安全性の面から薬局での購入がおすすめです。
薬局では、厚生労働省が承認した「一般用」や「医療用」のみが取り扱われており、品質や検査精度が保証された製品を確実に手に入れることができます。
また、薬剤師から正しい使用方法や保管方法、検査のタイミングに関するアドバイスを受けられるため、初めて使用する方でも安心です。
さらに、薬局ならその場で購入できるため、急な体調不良や感染の疑いがある場合にも迅速に対応が可能です。
オンライン購入では偽造品や研究用キットを間違って購入してしまうリスクがありますが、薬局で購入すればその心配もありません。信頼できる製品を安全に購入するためにも、ぜひお近くの薬局を利用してください!
【おうめ薬局で購入できる!】おすすめの抗原検査キット3選
上記では、抗原検査キットを薬局で購入することをおすすめしました。
ここでは、おうめ薬局で購入できるおすすめの「抗原検査キット」を3つご紹介したいと思いますので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
①Vトラスト SARS-CoV-2+Flu Ag

Vトラスト SARS-CoV-2+Flu Agは、新型コロナウイルスとインフルエンザA型・B型を同時に検査できる抗原検査キットです。
付属のスワブ(綿棒)を使用して鼻腔ぬぐい液を採取し、専用デバイスに滴下するだけで、わずか15分で結果が分かります。
操作が簡単でスピーディーに検査できるため、感染が疑われる場合に的確な判断が可能です。
また、本品は薬機法に基づく国の承認を受けた一般用の抗原検査キットとなっています。
価格は1キット(1回使用分)税込¥2,400と手頃であり、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行する季節には特におすすめです。
②KBM ラインチェックnCoV/Flu

KBM ラインチェックnCoV/Fluも、上記と同じく、新型コロナウイルスとインフルエンザ(A型・B型)を同時に検査できる抗原検査キットです。
この製品は順天堂大学大学院医学研究科との共同開発によって誕生し、国が承認した一般用抗原検査キットとして信頼性が高く安心して使用できます。
付属の滅菌綿棒で鼻腔ぬぐい液を採取し、専用デバイスに抗原抽出液を滴下するだけの簡単操作で、わずか1〜15分で結果が判定可能です。
この製品も「Vトラスト SARS-CoV-2+Flu Ag」と同じく、販売価格は1キット(1回使用分)税込¥2,400と手頃な価格で購入できます。
③KBMラインチェックnCoV

KBM ラインチェックnCoVは、新型コロナウイルスのみを検出できる高精度な抗原検査キットです。
この製品も「KBMラインチェックnCoV」と同じく、順天堂大学大学院医学研究科との共同開発によって生まれ、国が承認した一般用抗原検査キットとなっています。
オミクロン株にも対応しており、発熱やせき、倦怠感などの症状がある場合に自宅で簡単にセルフチェックが可能です。
付属の滅菌綿棒で鼻腔ぬぐい液を採取し、抗原抽出液に浸してから専用デバイスに滴下するだけの簡単操作で、わずか1〜15分で結果が判定できます。
販売価格は1キット(1回使用分)税込¥1,700となっています。
抗原検査キットに対するよくある質問
①抗原検査キットを使うタイミングは?
抗原検査キットを使用する際には、適切なタイミングを選ぶことが重要です。
新型コロナウイルスやインフルエンザでは、発熱直後や感染初期には体内のウイルス量が少なく、「偽陰性」となる可能性があります。
そのため、発症直後ではなく、発熱後12時間以上、できれば1日程度待ってから検査を行う方がよいといわれています。
特にインフルエンザの場合、発熱から一定時間が経過することでウイルス量が増加し、検査の精度が向上します。
ただし、症状が強い場合や早急な判断が必要な場合は、医療機関での受診を検討してください。
なお、検査結果が陰性であっても、症状が続く場合や体調が優れない場合は油断せず、自宅で安静に過ごし、必要に応じて再検査を行うことが重要です。
医療機関では高感度な検査が利用できるため、症状が悪化した場合は早めに相談することをおすすめします。
②鼻腔ぬぐい液で検査するものと唾液で検査するものの違いは?
鼻腔ぬぐい液と唾液による検査には、検査精度と検体採取時の体への負担(侵襲性)に違いがあります。
鼻腔ぬぐい液は、鼻腔内のウイルス量が多いため検査精度が高いのが特徴で、特に医療機関で採取される「鼻咽頭ぬぐい液」はさらに精度が高く、感染の有無を正確に判定しやすいです。
一方で、唾液はウイルス量が少ない場合や夾雑物(偽陰性になり得るゴミ)の量、高齢者・ドライマウスの方では検出率が低下する可能性があり、精度を重視する場面では鼻腔ぬぐい液が推奨されることが多いです。
検体採取時の負担については、鼻腔ぬぐい液は綿棒で鼻腔を擦る必要があるため、痛みやくしゃみの誘発といった負担が大きく、鼻炎や鼻出血のリスクがある方には不向きです。
一方、唾液は自分で簡単に採取でき、痛みや不快感がなく負担が少ないため、採取ミスが少なく自己検査や子ども、高齢者への使用に適しています。
③抗原検査と抗体検査、PCR検査の違いはなんですか?
抗原検査、抗体検査、PCR検査は、目的や検体・判定時間・精度に違いがあります。
抗原検査は現在感染しているかを調べる検査で、鼻の奥の粘膜や唾液を使用し、約15〜30分で結果が出ます。ただし、ウイルス量が一定以上でないと検出できず、PCR検査より精度は劣ります。
一方、PCR検査も現在の感染を調べる検査ですが、ウイルスの遺伝子を増幅して検出するため非常に高精度で、少ないウイルス量でも判定可能です。ただし、結果が出るまで数時間~半日かかります。
抗体検査は過去に感染したことがあるかを調べる検査で、血液を使用して数十分で判定可能ですが、精度は条件に依存します。
抗原検査は迅速性、PCR検査は精度、抗体検査は感染履歴の把握に適しており、目的に応じて使い分けることが重要です。