ここ数年、天然成分である「CBD」は、健康や美容に対して利用される機会が増えてきています。
そんなCBDですが、皮膚の疾患の1つである「ニキビ」に対して効果が期待できるということを皆さんはご存じでしょうか?
今回は薬剤師である私が、「CBDのニキビに対する効果」や「ニキビに対するCBDの使い方」について詳しく解説していきます。
そもそもCBDとは?
CBDとは、「カンナビジオール」という化合物の略称で、大麻草に含まれる天然成分の1つです。
CBDは安全性が高い成分であることが分かっており、WHO(世界保健機関)にも、その安全性が認められています。
同じ大麻草由来の成分である「THC」と違い、CBDは精神活性作用が無いとされているため、日本でも合法で使用することが可能です。
また、CBDは過去の研究から、
- リラックス効果
- 睡眠の質の向上
- 疲労回復
- 集中力向上
- 美肌
- アンチエイジング(抗酸化作用)
- 鎮痛作用
などの効果があるとされており、様々な疾患に対しても有用性が期待されています。
「最近、体調が優れない」・「健康になりたい」といった方は、是非一度CBDを利用してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、個人的な意見としては、「手軽に摂取できる」・「効果時間が長い」などの理由からCBDカプセルの利用がおすすめです。
ニキビとは?
ニキビとは、前額(おでこ)や頬・口の周りなどにできる発疹のことで、思春期〜青年期にかけてよくみられます。
この発疹は毛穴に皮脂がたまり、炎症を起こして隆起したもので、すぐに治るような軽度なものから、ニキビ痕として跡を残すような重症のものまであります。
ここでは、そんなニキビの原因や種類・治療法について簡単に解説したいと思います。
ニキビができる原因
ニキビができる原因は様々ありますが、主な原因としては以下の3つが関係していると言われています。
- 毛穴の閉塞
- 「アクネ菌」と呼ばれるニキビの元となる菌の増殖
- 皮脂の過剰分泌
そもそも肌は約6週間で角質が剥がれ落ち、新しい皮膚細胞に生まれ変わる「ターンオーバー」を繰り返しています。
通常、皮脂は毛穴から排出されますが、「ターンオーバー」がうまくいかない場合には、毛穴の出口が塞がり皮脂が詰まってしまいます。
そうすることで、皮脂をエサにしている「アクネ菌」が増殖し、炎症を起こしてニキビ(発疹)ができます。
また、性ホルモンの乱れやストレスなどが原因で皮脂が過剰に分泌された場合でも、毛穴が塞がってしまいニキビができてしまうことがあります。
ニキビの種類
実は、ニキビは症状の進行度合いから、「白ニキビ」・「黒ニキビ」・「赤ニキビ」の3種類に分類することが可能です。
まず「白ニキビ」とは、ニキビの最初の段階であり、毛穴の出口が狭くなり、皮脂が詰まり始めている状態のことです。
「白ニキビ」は、患部が薄い皮膚で覆われて表面が閉じており、発疹が白〜乳白色に見えるといった特徴があります。
次に「黒ニキビ」とは、白ニキビが少し進行したものであり、メラニン色素や酸化された皮脂などによって黒く見えている状態です。
最後に「赤ニキビ」とは、黒ニキビが進行・悪化したものであり、詰まった皮脂に細菌や雑菌が繁殖し、炎症を起こして患部が赤く腫れた状態です。
ニキビは、それぞれの種類に合った正しい対処を行わなければ、毛穴周りの組織が壊され、ニキビ痕として残る場合があるため注意が必要です。
ニキビの主な治療法
ニキビの治療には、主に「抗菌効果」や「毛穴の詰まりを改善する効果」がある治療薬が用いられますが、上記で紹介した種類によって利用される治療薬が異なります。
ここでは、「白ニキビ」・「黒ニキビ」・「赤ニキビ」に対して、それぞれ具体的にどのような治療薬が利用されるかということをご紹介したいと思います。
まず、白ニキビや黒ニキビには「アダパレン」・「過酸化ベンゾイル」・「ピーリング石鹸」といった毛穴の詰まりを改善する治療薬が利用されます。
次に、赤ニキビには「クリンダマイシン」・「ナジフロキサシン」といった抗菌薬や、「イブプロフェンピコノール」という抗炎症作用成分を含んだ治療薬などが利用されます。
ただ、ニキビの治療薬の中には、「乾燥」や「皮膚のカサカサ・ヒリヒリ感」といった副作用を引き起こすものもあります。
今回紹介するCBDには、そのような副作用は無いとされているため、治療薬の副作用にお悩みの方は一度CBDを利用してみてもいいかもしれません。
CBDのニキビに対する効果とは?
最近の研究では、CBDが皮膚に良い影響を与えることが示唆されており、ニキビ治療にも有望な成分として注目が集まっています。
ここでは、ニキビ治療に有用性が期待されるCBDの効果を6つご紹介いたします。
抗炎症作用
上記でも説明したように、ニキビは皮膚の毛穴が詰まり、細菌の繁殖や炎症が起こることで発生するとされています。
CBDには「抗炎症作用」があるとされており、ニキビ治療においても期待が可能です。
実際に2014年ヨーロッパで行われた研究では、CBDには「抗炎症作用」があるということが示唆されました。
この作用によって、毛穴の炎症を抑える可能性があるため、炎症反応による赤ニキビを改善する効果が期待できるでしょう。
最近では、CBDを含んだCBDクリームやバームなども販売されているので、ニキビにお悩みの方は是非利用してみてください。
皮脂分泌調整作用
ニキビの主な原因に、皮脂の過剰分泌によって毛穴が詰まることがあります。
そのため、ニキビを改善するためには皮脂の過剰分泌を抑制することが重要となります。
CBDは皮脂の過剰分泌を調整する作用があるとされており、ニキビケアに効果的ではないかと考えられています。
実際に2014年の論文では、CBDには皮脂腺の活動を正常化し、皮脂分泌をコントロールする働きがあることが示唆されています。
皮脂の過剰分泌を防ぐことから、赤ニキビのできやすいオイリー肌の方には高い効果が期待できるでしょう。
このように、皮脂分泌調整と抗炎症作用の両方を併せ持つCBDは、ニキビケアに適した成分と言えます。
抗菌作用
CBDには、ニキビに対して効果的な役割を果たす抗菌作用が期待されています。
上記でも説明したように、ニキビは皮膚の毛穴に詰まった皮脂や角質が細菌の繁殖を促し、炎症を引き起こすことで発生します。
CBDの抗菌作用によって細菌の繁殖を抑制することで、毛穴での炎症を抑制する効果が期待できるでしょう。
また、CBDには皮膚のバリア機能を強化し、有害な細菌から肌を守る作用もあるとされています。
このため、CBDを含むスキンケア製品を使用することで、ニキビの原因となる細菌の繁殖を抑え、肌トラブルを予防する効果が期待されます。
ニキビ跡の改善
稀にニキビが治った後でも、色素沈着や赤み・クレーター(凹み)などが残ってしまい、「ニキビ跡」ができてしまうことがあります。
CBDは過去の研究から、そんな「ニキビ跡」を改善する効果が期待されています。
イタリアの研究では、ニキビやアトピーなどの傷跡がある患者にCBD軟膏を投与し、皮膚の状態が評価されました。
その結果、治療前に比べて、CBD軟膏を投与された患者には「肌の傷跡」の改善・消失が見られたことが報告されました。
さらに、CBD軟膏を投与された被験者は、肌の「保湿性」や「弾力性」が大幅に向上しことが明らかになりました。
この研究は、CBDのニキビ跡に対する有用性を示しており、今後新たな治療薬として利用されることが期待されます。
保湿作用
ニキビが起こる原因の1つに、肌の乾燥によって「ターンオーバー」が乱れることがあります。
そのため、ニキビを予防するためには肌をしっかりと保湿し、乾燥を防ぐことが重要となります。
CBDには過去の研究から、高い保湿効果が期待されています。
実際に2021年の論文では、CBD溶液を塗布されたマウスは、「約1.3倍」肌の水分量が増加したことが報告されています。
加えて、CBDには抗酸化作用もあるとされており、肌のターンオーバーを促進し、ニキビ跡や色素沈着の改善にも役立つ可能性があります。
肌を保湿し、ターンオーバーを改善したい方は、選択肢の1つとしてCBDを利用してみてもいいかもしれません。
睡眠や不安・ストレスの改善
睡眠不足や不安・ストレスは、ニキビや肌荒れの大きな原因となります。
CBDには、睡眠の質を上げる効果や、不安・ストレスを軽減する効果があるとされています。
2019年のアメリカの研究では、不安や不眠の症状がある72人の被験者に対して、1ヶ月間CBDを処方する臨床実験が行われました。
その結果、不安症状のある被験者の79.2%、不眠患者の67.7%が症状が改善したと報告されています。
このように、CBDはニキビの原因となる睡眠や不安・ストレスに対して効果が期待できるのではないでしょうか。
ニキビに対するCBDの使い方
CBDは、ニキビの様々な原因に対して効果があることがお分かり頂けたと思いますが、実際にはどういった方法でCBDを利用すればいいのでしょうか?
ここでは、CBDでニキビの改善や予防をする方法をご紹介いたします。
CBD化粧水やクリームを使う
上記で説明したように、CBDは抗炎症作用や抗菌作用が期待されており、ニキビや肌荒れに対して効果的とされています。
そのため、最近ではCBDが配合されたスキンケア製品が多く販売されています。
CBD配合のスキンケア化粧水やクリームを使用すると、肌から直接CBDを吸収することができます。
その場合、オイルやベイプ・カプセルなどのCBD製品に比べて、肌に対して高い効果を発揮することが見込まれます。
CBDには保湿効果もあるとされているため、ニキビなどの肌トラブルの原因となる乾燥を予防することも見込まれます。
さらに、CBDはビタミンEやビタミンCよりも高い抗酸化作用があるとされていることから、アンチエイジング目的でも利用されることがあります。
ニキビや肌荒れに対してCBDを使用してみたいという方には、CBD化粧水やクリームなどのスキンケア製品がおすすめです。
CBDオイル・ベイプ・カプセルを使用する
ニキビや肌荒れの大きな原因には、ストレスや睡眠不足・睡眠の質が悪いことなども関係しています。
CBDは、不安やストレスや睡眠に対しても効果があるとされており、それらの効果を得るためにはCBDオイルやベイプ・カプセルなどがおすすめです。
なぜなら、CBDオイルやベイプ・カプセルと違い、肌からCBDを吸収するCBD化粧水やクリームは、塗布した部位のみにしか効果を発揮しないからです。
その一方、CBDオイルやベイプ・カプセルは、体内に吸収されてから全身に効果を発揮するので、ニキビや肌荒れの原因となる不安やストレス・睡眠を改善する見込みがあります。
ただ、CBDベイプは効果の持続時間が比較的短いため、ニキビに対してCBDを利用する場合は、効果の持続時間が長いCBDカプセルを利用することがおすすめです。
CBDは他の皮膚疾患にも効果が期待されている
ニキビに対して、効果が期待されているCBDですが、実は他の皮膚疾患に対しても効果が期待されています。
ここでは、CBDの効果が期待されている皮膚疾患を2つご紹介いたします。
アトピー性皮膚炎
CBDには、アトピー性皮膚炎の症状を緩和する効果が期待されています。
アトピー性皮膚炎は、バリア機能が低下した肌にほこりやダニなどの抗原が侵入し、炎症反応が生じることで起こるとされています。
2014年のマウスを利用した研究では、アトピー性皮膚炎の症状とCB1受容体の関連性が調査されました。
CB1受容体とは、CBDなどのカンナビノイド成分が作用する受容体の1つです。
実験の結果、CB1受容体はアトピー性皮膚炎による炎症反応を抑制や、皮膚のバリア機能の改善に役立つことが明らかになりました。
この結果から、CBDがCB1受容体に作用することで、アトピー性皮膚炎の症状を緩和する可能性が示唆されました。
表皮水疱症
CBDは、抗炎症作用・鎮痛作用から「表皮水疱症」の症状を緩和することが期待されています。
表皮水疱症とは、痛みや痒み・水脹れを伴う先天性の皮膚疾患のことです。
CBDの表皮水疱症に対する観察研究は全部で3例あり、それぞれ患者にCBDオイルやクリームなどが投与されました。
観察研究の結果、CBDを使用した全ての患者は、痛みの改善や水膨れの減少・傷の早期回復が見られました。
また、患者の1人は、眠気や便秘・吐き気などの副作用があるオピオイド(鎮痛薬)の使用を完全に止めたことが報告されました。
このように、CBDの表皮水疱症に対する有用性は未だ研究段階ですが、今後新たな治療薬としの見込みがあります。
CBD薬剤師の質問コーナー
CBDオイルはやばいですか?
最近、「CBDオイルはやばい」といった声をネット上で見かけることが増えてきています。
しかし、結論から言うと「CBDオイル」はやばくありません。
CBDオイルがやばくないと言える理由としては、
- CBDは安全性が高い成分である
- CBDには精神活性作用が無い
- CBDには違法性が無い
ということが関係しています。
また、CBDオイルがやばいと言われてる理由としては、「CBDが大麻由来の成分であるから」・「CBDには様々な効果があるとされているから」といったことが関係している可能性があります。
CBDアイソレートとは何ですか?
CBDアイソレートは3種ある製品分類の1つであり、CBD製品は含有されている成分によって、以下の3つに分類することができます。
- (CBD)アイソレート
- ブロードスペクトラム
- フルスペクトラム
大麻草には、カンナビノイド(CBD・CBN・CBG・THCなど)やテルペン・ミネラルなどの成分が含まれています。
CBDアイソレートとは、大麻草からCBDだけを抽出し、その他のカンナビノイドなどの成分が含まれていないCBD製品のことを指します。
他にも「CBNアイソレート」や「CBGアイソレート」といった表現がされる場合がありますが、この場合にはCBN・CBGだけが含まれているという意味となります。
参考文献
- Cannabidiol exerts sebostatic and antiinflammatory effects on human sebocytes
- Antibacterial cannabinoids from Cannabis sativa: a structure-activity study
- A therapeutic effect of cbd-enriched ointment in inflammatory skin diseases and cutaneous scars
- Cannabidiol Application Increases Cutaneous Aquaporin-3 and Exerts a Skin Moisturizing Effect
- Cannabidiol in Anxiety and Sleep: A Large Case Series
- Cannabinoid 1 receptors in keratinocytes attenuate fluorescein isothiocyanate-induced mouse atopic-like dermatitis
- Self-initiated use of topical cannabidiol oil for epidermolysis bullosa