CBDは痛みを緩和する?作用機序や摂取方法・注意点と共に薬剤師が徹底解説

大麻由来の成分である「CBD」は「ストレス緩和」や「不眠の改善」などの効果が期待されており、日本でも若年層を中心に注目を集めています。

そんな「CBD」ですが、近年「痛みを緩和する効果がある」といった噂を聞くことが増えてきています。

今回は薬剤師である私が、「CBDには痛みを緩和する効果があるのか」ということを解説したいと思いますので是非最後までご覧ください。

また、現在X(旧Twitter)Instagramにて、CBDを含む大麻成分に関する情報をエビデンスを基に発信しているので、気になった方は是非チェックしてみてください!

この記事でわかることCBDには痛みを緩和する効果があるか
痛みの緩和に適切なCBDの摂取方法
CBDを痛みの緩和目的で利用する場合の注意点
CBDの鎮痛作用はどのような疾患に効果があるか

CBDとは?

CBD

CBDとは、Cannabidiol(カンナビジオール)の略称で、大麻草に含まれる100種類以上ある「カンナビノイド」という成分の1つです。

皆さんの中に、CBDが大麻に含まれる成分であることから、「危険、違法」といった印象を持っている人は多いのではないでしょうか?

しかし、CBDは過去に行われた研究から、安全性が高い成分であることが明らかになっており、日本でも合法的に利用することができます。

また、CBDは、

  • ストレス緩和
  • 不眠の改善
  • 肌トラブルの改善
  • アンチエイジング効果
  • てんかんの症状の緩和
  • 吐き気の緩和

などの効果が期待されており、海外では多くの疾患に利用されています。

ここ数年で、CBDの研究は世界中の多くの国々で活発に行われており、健康・美容などの様々な分野で活用が期待されています。

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CBDは痛みを緩和する効果がある?作用機序は?

ここまでの説明から、CBDには「ストレス緩和」や「不眠の改善」など様々な効果が期待されていることがお分かりいただけたと思います。

そんなCBDですが、痛みを緩和する効果はあるのでしょうか?

ここでは、CBDには「痛みを緩和する効果があるのか」ということを解説したいと思いますので、是非チェックしてみてください。

CBDは痛みを緩和する効果が期待されている

結論から言うと、現段階ではCBDには「痛みを緩和する効果(鎮痛作用)」が期待されています。

実際に、CBDを医療目的で利用している方の多くも「CBDの痛みを緩和する効果」を目的として利用していることが分かっています。

2017年に行われた調査では、CBDを医療目的で利用している方の多くが、「慢性疼痛」・「関節炎」・「関節痛」などの痛みを伴う疾患に対してCBDを使用していると回答したことが報告されました。

また、この調査では医療目的で利用している方の約60%がCBDの効果に「満足している」、もしくは「それなりに満足している」と回答したことも明らかになりました。

これらの調査結果は、「CBDの痛みを緩和する効果」は痛みを伴う疾患に対して有効である可能性を示唆しています。

CBDが痛みを緩和する作用機序

痛みを緩和する作用機序

現段階では、「CBDの痛みを緩和する効果」は以下の3つの受容体にCBDが作用することで起こると考えられています。

  • TRPV1受容体
  • セロトニン受容体(5-HT1A)
  • CB1受容体

まず、TRV1受容体では、CBDが痛みを感じる上で重要な役割をもつ「TRVP1受容体」の伝達シグナルを阻害することで痛みを緩和すると考えられています。

次に、セロトニン受容体(5-HT1A)では、CBDがこの受容体に作用し、鎮痛作用がある「セロトニン」が分泌されることで痛みが緩和すると考えられています。

最後に、CB1受容体では、CBDがこの受容体に間接的に作用し、痛みを緩和する効果を引き起こすと考えられています。

ちなみに、CBDがCB1受容体に作用することで、痛みの緩和以外にも「不安の緩和」や「感情のコントロール」といった効果を引き起こすとされています。

痛みの緩和目的でCBDを使うメリット

痛みの緩和には、一般的に「ロキソニン」や「セレコックス」・「ボルタレン」などの「NSAIDs(非ステロイド消炎鎮痛薬)」が利用されます。

しかし、「NSAIDs(非ステロイド消炎鎮痛薬)」には、

  • 消化器症状(食欲不振、胃もたれ、腹痛など)
  • 腎機能障害
  • 薬物乱用頭痛

などの副作用があることが分かっており、身体に負担がかかるとされています。

その一方、CBDには、「NSAIDs(非ステロイド消炎鎮痛薬)」のような副作用がないことが分かっており、人体に対する安全性が高いと考えられています。

「身体に負担をかけず、痛みを緩和したいと考えている方」や「痛み止めの副作用にお悩みの方」は、試しにCBDを利用してみてもいいかもしれません。

どの摂取方法が痛みの緩和に適切?

現在CBDを含む製品は、ベイプやオイル・カプセル・クリームなど様々な形で販売されており、摂取方法も複数の選択肢から選ぶことができます。

では、痛みの緩和目的でCBDを使用する場合、どの摂取方法が適切なのでしょうか?

ここでは、それぞれの摂取方法の特徴を説明し、どの摂取方法が痛みの緩和に適切なのかということを解説したいと思います。

CBDの摂取方法は主に4つ

CBD製品

CBDは「吸引摂取」・「舌下摂取」・「経口投与」・「経皮摂取」といった4つの方法で摂取することができます。

そして、CBDは摂取方法によって「効果の持続時間」や「効果が発現するまでの時間」が異なると考えられています。

具体的には、効果の持続時間であれば、

  • 舌下摂取:6時間前後
  • 吸引摂取:2〜3時間前後
  • 経口摂取:6〜10時間前後
  • 経皮摂取:4〜6時間前後

と摂取方法ごとに異なっており、効果の発現時間であれば、

  • 舌下摂取:30分前後
  • 吸引摂取:数分〜10分前後
  • 経口摂取:30分〜1.5時間前後
  • 経皮摂取:30分〜2時間後

というふうに摂取方法ごとに異なると言われています。

また、CBDは摂取方法によって摂取の手軽さも異なっており、「経口摂取」と「経皮摂取」は摂取する際に味を気にする必要がないかつ、器具も不要のため、比較的手軽に摂取することができます。

適切な摂取方法は症状によって異なる

上記では、「どの摂取方法が痛みの緩和に適切なのかを解説する」と言いましたが、実は痛みの緩和に適切な摂取方法は疾患の種類によって異なります。

例えば、「関節炎」や「関節痛」などの場合であれば、患部に直接的にアプローチできる「経皮摂取」が適切ですし、「慢性疼痛」の場合であれば効果時間の長い「経口摂取」が適切と言えます。

また、扁桃炎の場合であれば、「経口摂取」や「吸引摂取」よりも、喉への負担が少ない「舌下摂取」が適切と言えます。

このように、痛みの緩和に適切な摂取方法は疾患の種類によって異なるため、自身が抱える疾患に合った摂取方法を選ぶことが重要となります。

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CBDを痛みの緩和目的で利用する場合の注意点

皆さんの中に、「CBDを痛みの緩和目的で利用してみたい…」という方は多いと思います。

では、実際にCBDを痛みを伴う疾患に対して利用する際には、どういったことに注意する必要があるのでしょうか?

ここでは、CBDを痛みを伴う疾患に利用する場合の注意点を2つご紹介したいと思うので、利用しようと考えている方は参考にしてみてください。

医薬品との飲み合わせに注意する

痛みを伴う疾患に、「NSAIDs(非ステロイド消炎鎮痛薬)」などの医薬品を利用している方はCBDとの飲み合わせに注意する必要があります。

なぜなら、CBDには薬物代謝酵素の「CYP450」の働きを阻害する作用があるとされているからです。

「CYP450」の働きがCBDによって阻害されてしまうと、「NSAIDs(非ステロイド消炎鎮痛薬)」の血中濃度が高まってしまい、薬の副作用が誘発される可能性が高くなります

ただ、日本臨床カンナビノイド学会によると、1日に摂取するCBDの摂取量が2mg/kg/以下であれば、CBDが薬物代謝に影響を与える可能性は高くないとされています。

そのため、体重が60kgの方であれば、CBDの摂取量が100mg以下体重が100kgの方であれば、CBDの摂取量が200mg以下であれば心配する必要はありません。

「CBD」と「NSAIDs(非ステロイド消炎鎮痛薬)」を一緒に摂取する場合は、上記の摂取量を参考にしてみてください。

過剰摂取に注意する

CBDを過剰摂取した女性

安全性の高いCBDですが、実は過剰に摂取してしまうことで副作用が起こる可能性があることが分かっています。

そのため、CBDを痛みを伴う疾患に対して利用する際には、CBDの過剰摂取に注意する必要があります。

具体的には、CBDの過剰摂取によって

  • 眠気
  • お腹が緩くなる
  • 喉の渇き

などの副作用が引き起こされるとされています。

また、主にCBDオイルに含まれる「MCT(ココナッツ)オイル」も過剰に摂取することで、「お腹が緩くなる」・「腹痛が起こる」といった副作用が起こるため注意が必要です。

CBD・CBDオイルを摂取して上記のような副作用を感じた場合は、「摂取を一度やめる」、または「摂取量を減らす」といった対応をして様子を見ることをおすすめします。

ただ、CBDを摂取して副作用が起こる可能性は低く、程度が非常に軽いため、過度に心配する必要はありません。

実際、CBDの鎮痛作用はどのような疾患に効果がある?

CBDには痛みを緩和する効果が期待されており、実際に過去の調査や研究では、

  • 頭痛
  • 関節炎
  • 顎関節症
  • 末梢神経障害

などの疾患に対して有効性を示したことが分かっています。

ここでは、上記の疾患に有効性を示した調査や研究をご紹介したいと思いますので、気になった方は是非チェックしてみてください。

頭痛

アメリカのアクソン・リリーフ社が行ったCBDの予防治療を評価する調査では、105名の偏頭痛患者を対象に30日間CBDオイルを投与しました。

この調査で使用された評価基準には「HIT-6」というテストが含まれており、その結果、参加者の86%が頭痛の緩和を感じ、頭痛の発生日数も平均で3. 8日減少しました。

この研究は、臨床試験で求められる科学的厳密さをもって行われているわけではありませんが、CBDの頭痛に対する有用性を示唆しています。

今後の更なる研究に期待が高まると共に、頭痛に悩んでいるといった方は一度CBDを利用してみてもいいかもしれません。

関節炎

関節炎の男性

2017年の研究では、「変形性関節症(関節炎の一種)」のマウスにCBDを投与し、有用性を確認する実験が行われました。

この実験では、マウスに100〜300μgのCBDを投与し、変形性関節症に対する予防効果と治療効果を評価しました。

実験の結果、CBDを投与されたマウスは「関節の痛み」と「炎症が抑制」され、神経の損傷が軽減されたことが報告されました。

顎関節症

顎関節症とは、アゴ周りの筋肉の硬直などにより、「顎関節に痛みを感じる」・「口の開閉がしにくい」などの症状を伴う疾患です。

2019年の研究では、顎関節症の患者60名に7%のCBDオイル、またはプラセボ(偽薬)を顎周囲の皮膚に塗布することで、有用性を評価する実験が行われました。

この実験では、患者に1日に2回CBDオイル、またはプラセボ(偽薬)を塗布し、14日間経過が観察されました。

研究の結果、CBDを塗布された患者は、アゴ周辺の筋肉硬直が緩和され、痛みが軽減されたことが報告されました。

末梢神経障害

末梢神経障害とは、末梢神経にダメージが加わることで、手足に「痛み」・「かゆみ」などの症状が現れる疾患のことです。

アメリカの研究では、末梢神経障害の患者29名に0.3%のCBDオイル、またはプラセボ(偽薬)を患部に塗布することで、有用性が評価されました。

その結果、プラセボに比べて、CBDオイルを塗布されたグループは「激しい痛み」や「鋭い痛み」が緩和されたことが報告されました。

さらに、この研究では、末梢神経障害によって起こる「かゆみ」や「手足の冷え」などの症状が改善されたことも明らかになりました。

近年、正反対の意見も発表されている

反対の意見を出す意思

上記では、CBDには鎮痛作用が期待されていることを説明しましたが、実は近年「CBDには鎮痛作用がない」という正反対の意見も発表されています。

実際に、2024年に発表された論文では、「痛みに対してCBDは高価で効果がない」という風に結論づけられています。

また、この論文では、痛みに対して行われた16件の研究の内、15件が否定的な結果で、CBDの鎮痛効果はプラセボ(偽薬)よりも高くなかったことも報告されています。

しかし、上記で紹介したように、CBDが鎮痛作用を示した調査・研究は数多く報告されており、実際にCBDを痛みを伴う疾患に対して利用してる方の多くはCBDの効果に満足しています。

加えて、現段階でCBDが鎮痛作用に対して否定的な結果を出した研究の数は多くありません。

そのため、個人的には、CBDには鎮痛作用があると考えており、今後更なる研究が行われることで真実が明らかになることを期待しています。

CBD薬剤師の質問コーナー

CBD以外の成分も鎮痛作用がある?

CBG

CBGもCBDと同様に「鎮痛作用」があるとされており、「がん」や「多発性硬化症」によって生じる痛みを緩和する効果が期待されています。

実際に2008年の論文でも、CBGはTHCよりも強力な「鎮痛作用」があることが示唆されています。

また、2022年の研究では、CBGを主成分とした大麻製剤を利用した患者の多くは、症状が「非常に改善された」、もしくは「かなり改善された」と主張したことが報告されています。

これらの論文や研究は、CBGに「鎮痛作用」があることを示唆しており、今後の鎮痛治療の活用に期待が高まっています。

CBN

ここまでの説明から、CBDとCBGには「鎮痛作用」が期待されていることがお分かりいただけたと思いますが、実はCBNにも「鎮痛作用」が期待されています。

2019年の研究では、筋筋膜性疼痛を患うマウスにCBNを投与し、有用性が評価されました。

筋筋膜性疼痛とは、筋肉や関節に「痛み」などの症状が起こる疾患のことです。

研究の結果、CBNは感作(普段より痛みを強く感じる状態)を軽減したことが示唆されました。

また、この研究では、CBNとCBDを同時に投与した場合は単体での投与に比べ、感作を軽減した期間がより長かったことも分かりました。

参考文献

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