CBDはパニック障害に効果あり?注意点と共に薬剤師が徹底解説

近年、「CBD」はリラックスやストレス緩和などを目的として日本でも若者を中心に利用されています。

そんなCBDですが、近年「パニック障害に対しても効果がある」といった噂を聞くことが増えてきています。

皆さんの中にも「本当にCBDはパニック障害にも効果があるの?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

今回は、薬剤師である私が、「CBDはパニック障害にも効果があるのか」ということを解説したいと思います。

本記事を読むことで、CBDとパニック障害の関係性を理解することができると思います。

この記事でわかること・CBDのパニック障害に対する効果
・CBDのパニック障害に対するメカニズム
・CBDをパニック障害に対して利用する際の注意点

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CBDとは?

CBD

CBDとは、カンナビジオールの略称であり、大麻草から抽出される100種類以上ある「カンナビノイド」と呼ばれる成分の1つです。

皆さんの中に、CBDが大麻由来の成分であることから「危険・違法」といったイメージを持つ方は多いのではないでしょうか?

しかし、CBDは過去の研究から、安全性が非常に高い成分であることが分かっており、日本でも合法的に利用することができます。

また、大麻由来の成分であるCBDは、

  • ストレス緩和
  • 不眠の改善
  • 肌トラブルの改善
  • アンチエイジング効果
  • てんかんの症状の緩和
  • 吐き気の緩和

などの効果が期待されており、海外では様々な疾患に対しても利用されています。

ここ数年では、CBDの研究は世界中で活発に行われており、健康や美容などの様々な分野で活用が期待されています。

そもそもパニック障害とは?

パニック障害とは、身体に問題が無いのにも関わらず、突然の動悸や呼吸困難・めまいなどと共に激しい不安に襲われる不安障害の1つです。

2017年の厚生労働省の発表では、日本国内にパニック障害の患者は8万3千人いると言われており、年々患者数は増加していることが分かっています。

また、パニック障害は10人に1人の割合で、一生のうち1回は発作を起こすとも言われており、身近な疾患となっています。

ここでは、パニック障害が起こる原因や症状・治療法について解説したいと思います。

パニック障害の症状

パニック障害の女性

パニック障害には、「パニック発作」・「予期不安」・「広場恐怖」の3つの症状があると言われています。

まず、パニック発作とは、突然何の理由もなく「動悸」や「呼吸困難」・「めまい」などと共に強烈な不安や恐怖感を伴う症状のことです。

このパニック発作は、会議の途中や電車に乗っている時などに起こるとされており、何度も発作を繰り返す場合があります。

次に、予期不安とは、パニック発作を繰り返すことで、「いつかまた発作が起こるかもしれない」という漠然とした不安が付き纏う症状のことです。

最後に、広場恐怖とは、以前に発作を起こした場所や、発作が起きた時にすぐに助けを得られないような場所に恐怖を感じる症状のことです。

パニック障害は、長引くことで日常生活や社会生活に支障をきたしたり、うつ病になることもあるので、専門医による早期の治療が大切が重要となります。

パニック障害が起こる原因

実は、パニック障害が起こる原因は1つではなく、場合によっては複数の要因が重なることで発症するとされています。

現段階では、パニック障害は、

  • 遺伝的要因(生まれ持った体質)
  • 養育環境(早期の親の死・離婚・虐待など)
  • ストレスや過労

などの3つが原因で引き起こされるのではないかと言われています。

また、パニック障害が起こるメカニズムは未だ解明されていませんが、一説では上記の原因によってセロトニンの分泌量が少なくなることで発症すると考えられています。

セロトニンとは、脳内神経伝達物質の1つであり、マイナスな感情を抑制し、精神を安定させる効果があることから「幸せホルモン」とも呼ばれています。

パニック障害の治療法

パニック障害の治療薬

パニック障害の治療には、多くの場合「薬物治療」と「精神療法」の2種類が利用されます。

薬物治療はパニック発作を抑え、予期不安を軽くするために利用され、主に抗うつ薬の一種である「SSRI」や、「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」が用いられます。

ただ、これらの薬は摂取することで「眠気」や「ふらつき」などの副作用を感じる場合があるため注意が必要になります。

また、精神療法では、パニック障害を正しく理解し、パニック障害が起こる行動や考え方を変化させるといったことが行われます。

この精神療法は、効果がでるまでに時間がかかりますが、正しい対処法を身につけることで、再発防止にも役立つため非常に重要となります。

CBDのパニック障害に対する効果

パニック障害の症状や原因・治療法についてお分かり頂けたと思いますが、CBDは本当にパニック障害に効果が期待できるのでしょうか?

ここでは、「CBDはパニック障害に効果が期待できるか」ということや、「CBDのパニック障害に対するメカニズム」を解説したいと思います。

CBDはパニック障害に効果が期待されている

CBDは過去の研究から、「パニック障害」に対して効果があると考えられています。

2013年の研究では、ラットにCBD (5 mg/Kg)を急性または反復投与することで、CBDのパニック反応に対する有用性が評価されました。

その結果、CBDを投与されたラットには、パニック反応の緩和が見られたことが報告されました。

また、他の動物を用いた研究では、CBDの反復投与が抗パニック効果を誘発することが示唆されています。

これらの研究は動物実験レベルではありますが、CBDの「パニック障害」に対する有用性を示しており、今後の更なる研究に期待が高まります。

動物実験の結果が、人体に当てはまる訳ではありませんが、現在のパニック障害の治療が限界だと考えている方は、試しにCBDを利用してみてもいいかもしれません。

CBDのパニック障害に対するメカニズム

5-HT1A受容体

結論から言うと、CBDがパニック障害に対してどのようなメカニズムで作用するかは、現段階では明確には分かっていません

一説では、CBDが体内のセロトニン受容体である「5-HT1A」を活性化することで、セロトニンの分泌量を高め、パニック障害を緩和すると言われています。

実際に、2013年の研究では、CBDがセロトニン受容体の「5-HT1A」に作用することで、抗パニック効果を誘発することが示唆されています。

ただ、この研究は動物を用いた実験であるため、人間に対しても同じようなメカニズムで作用するかは明らかになっていません。

ちなみに、パニック障害に利用される「SSRI」という薬は、セロトニンの再取り込みを阻害し、セロトニンの働きを高めることで、パニック障害を緩和するとされています。

CBDはパニック障害の合併症に効果が期待できる

パニック障害を抱えている方の中には、「うつ病」・「不安障害」・「睡眠障害」・「自閉症スペクトラム」などの合併症を抱えている方がいらっしゃいます。

ここでは、パニック障害の合併症に対するCBDの効果を詳しく解説したいと思います。

うつ病

パニック障害とうつ病には深い関係があり、パニック障害を発症した方の約6割がうつ病を併発していると言われています。

CBDは過去の研究から、パニック障害の合併症である「うつ病」に対して効果が期待されています。

実際に2016年の研究では、CBDを投与したマウスには、即効性のある「抗うつ作用」が見られたことが報告されています。

さらに、他の研究でも、CBDが三環系抗うつ薬のイミプラミン(トフラニール)と同様の「抗うつ作用」を示したことが示唆されています。

これらの研究結果は、パニック障害の合併症である「うつ病」に対するCBDの有用性を示しており、今後の研究に期待が高まります。

CBDのうつ病に対する効果を知りたい方はこちら

不安障害

不安障害を抱える女性

不安障害もパニック障害との合併率が高く、パニック障害を抱える患者の約9割が不安障害を併発していると言われています。

CBDは過去の研究から、「不安障害」に対しても効果が期待されています。

2022年の研究では、不安障害の患者31名に対して、CBDを12週間の間投与し、有用性が評価されました。

この研究では、患者に対してCBDが1日に最大800mg投与され、不安の程度を測るテストである「OASIS」が利用されました。

その結果、CBDを投与された被験者はOASISのスコアを大幅に減少し、不安の症状を改善したことが示唆されました。

不安やストレスに悩まれている方は、一度CBDを利用してみてもいいかもしれません。

睡眠障害

パニック障害の患者さんの中には、「睡眠中に発作が起きてしまうのではないか」という予期不安により睡眠障害を併発する方もいらっしゃいます。

CBDには睡眠をサポートする効果があるとされており、睡眠障害を緩和することが期待されています。

2019年のCBDを睡眠障害の患者に投与した研究では、患者の66.7% は睡眠スコアが改善し、79.2% は不安スコアが低下したことが報告されています。

また、睡眠をサポートする効果は、CBDと同じカンナビノイド成分である「CBN」にも期待されています。

実際に2021年の論文では、CBN製品を使用した不眠症の患者は、平均73%睡眠障害の発生率が改善されたことが示唆されています。

パニック障害や睡眠障害などにお悩みの方は、就寝前にCBDサプリメントを利用することをおすすめします。

自閉症スペクトラム障害

自閉症スペクトラムの女児

自閉症スペクトラムの患者さんの中には、二次障害である「パニック障害」にお悩みの方もいらっしゃいます。

自閉症スペクトラムとは、対人関係が苦手・物事に強いこだわりがあるなどの特徴がある発達障害の一種です。

CBDは自閉症スペクトラムにも効果が期待されており、ここではCBDが自閉症スペクトラムに対して効果を示した研究をご紹介したいと思います。

2021年の研究では、自閉症の患者33人に対してCBDとTHCを20:1の割合で含んだ製剤を投与し、有用性が評価されました。

研究の結果、10人の患者は行動面での問題が減少し、7人の患者は言語障害が改善されたことが報告されました。

また、4人の患者は認知能力が改善され、 3人の患者は対人能力が改善されたことも報告されました。

この研究はCBDだけではなく、THCも含んでいますが、CBDの自閉症に対する有用性を示唆してます。

CBDをパニック障害に対して利用する際の注意点

皆さんの中に、「CBDをパニック障害に対して利用してみたい…」と考えている方は多いと思います。

では、実際にCBDをパニック障害に利用する際は、どのようなことに注意すればいいのでしょうか?

ここでは、CBDをパニック障害に対して利用する際の注意点をご紹介したいと思います。

医薬品との飲み合わせに注意する

パニック障害の治療に、上記で紹介した「SSRI」などの医薬品を利用している方は、CBDとの飲み合わせに注意する必要があります。

CBDには、薬物代謝酵素の「CYP450」の働きを阻害する作用があるとされています。

CBDが「CYP450」の働きを阻害すると、上記の医薬品の血中濃度が高まったり、副作用が誘発される可能性が考えられます。

ただ、「日本臨床カンナビノイド学会」によると、1日に摂取するCBDの量が2mg/kg/以下であれば、薬の代謝に影響を及ぼす可能性は低いとされています。

そのため、体重が60kgの方は摂取するCBDの量が100mg以下体重が100kgの方は200mg以下であれば心配する必要はありません。

「SSRI」などの医薬品とCBDを一緒に摂取する場合は、上記の摂取量を是非参考にしてみてください。

適切な量のCBDを摂取する

パニック障害に対してCBDを利用する場合は、自分に合った適切な量のCBDを摂取することが重要です。

実際に、過去の研究では適切な量のCBDを摂取しなかったために、十分な効果を得られなかったことが示唆されています。

しかし、中には「パニック障害に対して、どのぐらいの量のCBDを摂取すればいいか分からない…」といった悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。

そういった場合は、「臨床CBDオイル協会」が紹介している「1回で体重1キロあたり 0.25〜0.5mgのCBDを1日2回」を参考にしてみましょう。

これは、不安などの明確な症状がある場合に推奨されている摂取量であり、仮に体重が50kgの方なら12.5〜20mgのCBDを1日2回摂取することとなります。

また、それでも十分な効果が得られない場合は様子をみながら、 1日 0.5mg/kgずつ増量することをおすすめします。

CBDの適切な摂取量を知りたい方はこちら

CBD薬剤師の質問コーナー

CBDで十分な効果が感じられない場合は?

CBDで十分な効果が感じられない場合は、

  • CBDの適切な摂取量を把握する
  • 摂取方法を変更する
  • ブロードスペクトラム製品を利用する
  • オリーブオイルを含んだ吸収率の高い製品を使用する

などの対処法を行うことをおすすめします。

CBD製品はなぜ値段に大きな差がある?

CBD製品は数千円〜数万円ほどで販売されています。

CBD製品の値段に大きな差がある原因としては、

  • CBD製品に含まれるCBDの量
  • 原料となるヘンプ(大麻草)の品質
  • CBD以外の含まれている成分

 などが関係してるとされています。

価格が低すぎるCBD製品は、品質が悪かったりCBDの量が極端に少ない可能性があるため利用することはおすすめできません。

参考文献

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