先日、参院本会議で「改正大麻取締法」が可決されたことから、現在「大麻」は日本でも関心が集まっています。
そんな中、一度はニュースなどで、「THC」と呼ばれる大麻成分を耳にした経験がある方が多いのではないでしょうか?
本記事では、薬剤師である私が、そんな「THC」の違法性や効果・CBDとの違いについて詳しく解説したいと思います。
また、現在X(旧Twitter)・Instagramにて、CBDを含む大麻成分に関する情報をエビデンスを基に発信しているので、是非チェックしてみてください!
THCとは?CBDと何が違う?
THCとは、「TetraHydroCannabinol(テトラヒドロカンナビノール)」の略称で、近年日本でも注目を集めている「CBD」と同じ大麻由来の成分です。
ちなみに、この「THC」は「CBD」と「CBN」と並び、大麻草に100種類以上含まれる三大主成分の1つだと言われています。
ここでは、THCの違法性や安全性などをCBDと比較しながら解説したいと思うので、是非最後までご覧ください。
THCは違法、CBDは合法
現在日本の法律では、大麻由来の成分は、抽出される「部位」によって違法性が異なります。
現在、日本で大麻を規制している「大麻取締法」では、成熟した大麻草の茎や種子から抽出された成分は合法で、それ以外の部位から抽出されたものは違法となっています。
日本で流通している「CBD」などの成分は、合法な部位からのみ抽出されているため、日本でも合法的に利用できます。
一方、「THC」は合法な部位に殆ど含まれておらず、違法部位からしか抽出することができないため、摂取しても捕まることはありませんが、実質的に違法成分として扱われてます。
ただ、昨今可決された「改正大麻取締法」では、上記のような部位による規制ではなく、成分ごとの規制に変更され、今後は「THCは違法」・「CBDは合法」といった規制をする方向となりました。
そのため、「改正大麻取締法」の施行後は現在と違い、THCが含まれているCBD製品などを利用すると、7年以下の懲役に処される可能性があります。
THCは依存のリスクがあり、CBDは安全性が高い
皆さんの中に、なぜ今後「THCは違法」・「CBDは合法」といった規制内容になるのか疑問を感じている方はいませんか?
結論からいうと、THCが規制される理由の1つとして、THCがCBDと違い安全性が低いことが関係しているとされています。
実際、THCには幻覚や息切れ・喉の渇きといった副作用や、長期間の摂取による精神的依存があることが分かっています。
一方、CBDはTHCとは異なる薬理作用を示し、依存・乱用といったことが起こる可能性が低く、安全な成分であることが明らかになっています。
1980年の論文でも、CBDを摂取した被験者には、重い副作用や毒性が引き起こされなかったことが報告されています。
このように、CBDと違い安全性が低いTHCですが、THCの依存や副作用は、覚醒剤などの他の薬物と比較すると非常に弱く、過剰摂取したとしても死亡することはないと言われています。
THCはCBDと違い精神活性作用がある
今後「THCは違法」・「CBDは合法」といった規制内容になる理由としては、「キマる」ような精神活性作用の有無も関係していると考えられています。
実際、今後規制される「THC」には精神活性作用があり、規制されない「CBD」には精神活性作用がありません。
THCは、人体に対する作用機序が「CBD」とは異なるため、CBDと違い「キマる」ような精神活性作用があるとされています。
具体的には、THCは中枢神経に存在する「CB1」という受容体に「活性物質」として作用することで精神活性作用を引き起こすと考えられています。
一方、精神活性作用が無いCBDは「CB1」受容体に「阻害物質」として作用すると考えられています。
これらのことから、大麻成分を安全かつ合法的に利用したい方は「CBD」のみを含んだCBDアイソレートを利用することをおすすめします。
CBDアイソレート「ちるねる」
ここまでの説明から、THCはCBDと違い、違法性や依存性・精神活性作用があることがお分かり頂けたと思います。
ここでは、薬剤師が監修しているカプセルタイプのCBDアイソレート「ちるねる」をご紹介したいと思います。
薬剤師が監修
皆さんの中に、「安全性や品質の低いCBD製品は利用したくない…」といった方はいらっしゃいませんか?
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「ちるねる」は、私が製造過程を厳しくチェックしていて、品質・安全性の高さに強い自信があります。
実際に、この製品は品質・安全性の高さから「カンナビノイド医療 患者会」に所属している患者さんに利用してもらっています。
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業界トップレベルのCBD「100mg」を配合
「ちるねる」は、「今使っているCBD製品の効果に満足できない…」といった方におすすめとなっております。
なぜなら、「ちるねる」には、1粒に「100mg」という高容量のCBDが配合されているからです。
実際に、「ちるねる」の利用者からは「高い満足感を得ることができた」という声を頂いております。
「CBD製品の効果に満足できない…」という方は、一度「ちるねる」を利用してみることがおすすめです。
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オリーブオイルはCBD成分と相性が良いことが分かっており、摂取することで吸収率を高めることができるとされています。
さらに、この製品も、カプセル1粒にCBDを100mg配合していて、高い満足感を得ることも期待できます。
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お客様の声
THCの効果が期待される疾患
「THC」は、「鎮痛作用」や「睡眠の質の改善」・「食欲増進作用」など様々な効果が期待されています。
そんな「THC」ですが、実際にどのような疾患に対して有用性があるのでしょうか?
ここでは、THCの効果が期待される疾患を6つ解説したいと思うので、気になった方は是非最後までご覧ください。
神経痛などの痛みを伴う疾患
THCには「鎮痛作用」があるとされており、「神経痛」などの痛みを伴う疾患に対して効果が期待されています。
神経痛とは、疾患や運動状態などが原因で、腰や背中などに「痛み」や「しびれ」を感じる状態のことです。
2008年の研究では、神経痛に苦しむ患者に対して、THCを3.5〜7%含む「大麻」または「プラセボ(偽薬)」を投与し、有用性が評価されました。
この研究は、VAS(痛みの強さを評価する尺度)などの評価基準が用いられ、38名を対象に行われました。
その結果、プラセボに比べて、THCを3.5〜7%含む「大麻」を投与されたグループは、痛みのスコアが平均54%改善したことが報告されました。
この研究は、THCの神経痛などの痛みを伴う疾患に対する有用性を示しており、今後日本でも医療大麻が治療に利用されることが期待されます。
不眠症
THCは睡眠の質を改善する効果があるとされており、「不眠症」に対して効果が期待されています。
2013年の研究では、睡眠時無呼吸症候群による不眠症を患う患者にTHCを投与することで、THCの睡眠に対する有用性が評価されました。
この研究では、1日に1回2.5〜5mgからTHCが投与され、最終的に1日1回10mgまで増量されました。
研究の結果、THCを投与された患者は、「AHI(睡眠時無呼吸症候群の評価基準)」のスコアが軽減し、不眠症が改善されたことが示唆されました。
「THC」の不眠症に対する臨床試験はあまり多く無いため、今後の更なる研究に期待が高まります。
拒食症
THCには「食欲増進作用」があるとされており、「拒食症」を改善する効果が期待されています。
拒食症とは、太ることに対する過剰な恐怖心などが原因で、過度な食事制限を行う状態のことです。
2017年の研究では、慢性拒食症患者10名に対してTHC(1〜2mg/kg)を投与し、有用性を評価する実験が行われました。
その結果、実験前に比べて、THCを投与された7名の患者には、体重の増加が見られたことが報告されました。
また、最も体重増加が見られた患者では、1か月で約4.5kgの体重が増加したことも明らかになりました。
この研究は、対象者数があまり多くありませんが、THCを含む大麻の「拒食症」に対する有用性を示唆しています。
今後、日本でも拒食症に対して医療大麻が利用されることで、拒食症に苦しんでいる方の負担が軽減されることを願います。
認知症
THCには、「認知症」の症状を緩和する効果が期待されています。
認知症とは、認知機能(記憶、判断力など)の低下によって社会生活に支障をきたす状態を指し、多くの場合介護が必要になります。
2022年のスイスの研究では、認知症患者にTHCを含む大麻を投与し、有用性が評価されました。
この研究は、MIBT(問題行動を評価する尺度)などの評価基準が用いられ、19名を対象に13ヶ月間行われました。
研究の結果、THCを含む医療大麻は「MIBT」などのスコアを半分以下にし、日常生活における問題行動を改善したことが報告されました。
この研究は対象者の数が十分ではありませんが、THCの「認知症」に対する有用性を示唆しています。
日本でも一刻も早くTHCを含む「医療大麻」が合法化されることによって、認知症の介護に携わる方の負担が軽減されることを願います。
トゥレット症候群
THCは過去の研究から、「トゥレット症候群」に対して効果が期待されています。
トゥレット症とは、「チック症状(意志と関係なく体が動くこと)」が複雑に現れる疾患のことです。
2022年の研究では、「トゥレット症候群」の患者にTHCを多く含む製品を投与し、有用性を評価する実験が行われました。
この実験は、YGTSS(チック重症度を評価する尺度)などの評価基準が用いられ、18名を対象に計12週間行われました。
研究の結果、THCを多く含む製品を投与された患者は、「YGTSS」の数値が平均38%低下し、症状が改善されたことが報告されました。
さらに、他の研究では、THCはトゥレット症候群の合併症である「強迫性障害」や「不安」を改善したことも示唆されています。
これらの研究は、「THC」の「トゥレット症」の治療に対する有用性を示しており、今後に期待が高まります。
自閉症
THCは過去の研究から、自閉症の症状を改善する効果が期待されています。
自閉症とは、対人関係が苦手、物事に強いこだわりがあるなどといった特徴がある発達障害の一種です。
2021年の研究では、自閉症の患者33人に対してTHCを含んだ製剤を投与し、有用性が評価が評価されました。
その結果、患者全体の内、10人(32.2%)は行動面での問題が減少し、7人(22.5%)は言語障害が改善されたことが報告されました。
また、4人(12.9%)は認知能力が改善され、 3 人 (9.6%) は対人能力が改善されたことも報告されました。
この研究結果は、THCを含んだ医療大麻の自閉症に対する新たな治療薬としての可能性を示唆しています。
CBD薬剤師の質問コーナー
CBDはTHCに変わる?
世間では、摂取した「CBD」が胃の中で「THC」に変化するという噂があります。
この噂は「胃の中でCBDがTHCに変化する」という記述が、2016年の論文内でされたことが原因であると考えられます。
しかし、結論から言うと、「CBDが体内でTHCに変化する可能性は低い」と言えます。
なぜなら、2016年の論文内の「CBDがTHCに変化した」という記述は、胃の中で起こったことではないからです。
論文を読むと、実際は、CBDをメチルアルコールと硫酸に溶解することで、THCに変化したという内容であり、体内での変化を証明するものではありませんでした。
実際に、CBDが体内でTHCに変わる可能性は低いということが他の論文で発表されています。
大麻はゲートウェイドラッグとなりうる?
日本では、大麻は「覚醒剤」などの危険薬物に繋がる「ゲートウェイドラッグ」として扱われています。
しかし、近年大麻は、複数の科学的根拠によって「ゲートウェイドラッグ」ではないことが示唆されています。
実際に、2020年のアメリカの研究では、「嗜好用大麻解禁」と「入院治療数」には、有意な相関関係が見られなかったことが報告されています。
さらに、日本では大麻事犯の検挙人員は年々増加している一方で、覚醒剤を含む全薬物事犯の検挙人員は減少傾向を示しており、大麻が「ゲートウェイドラッグ」ではない可能性を示唆しています。
日本において大麻は「ゲートウェイドラッグ」とされますが、それは「大麻」と他の「危険薬物」を混同させる教育や報道が関係しているとも言われています。
参考文献
- Chronic administration of cannabidiol to healthy volunteers and epileptic patients
- A Randomized, Placebo-Controlled, Crossover Trial of Cannabis Cigarettes in Neuropathic Pain
- Proof of Concept Trial of Dronabinol in Obstructive Sleep Apnea
- The Impact of Δ9-THCon the Psychological Symptoms of Anorexia Nervosa: A Pilot Study
- Cannabinoids for behavioral symptoms in severe dementia: Safety and feasibility in a long-term pilot observational study in nineteen patients
- Medical Cannabis for Gilles de la Tourette Syndrome: An Open-Label Prospective Study
- Real life Experience of Medical Cannabis Treatment in Autism: Analysis of Safety and Efficacy