水溶性CBDのメリットと課題について薬剤師が徹底解説

今回はCBDアドベントカレンダー2025の企画の一環として、薬剤師的目線で最近話題になりつつある水溶性CBDについて調べてみましたので、お時間がありましたら是非お読みください。

水溶性CBDは、一般的なCBDに比べて吸収率が高く、より効果を実感しやすいとされています。

この記事では、水溶性CBDの基礎知識から種類、考慮すべき課題について詳しく解説しました。

この記事で分かること CBDとは
水溶性CBDとは?
水溶性CBDの種類
水溶性CBDのメリット
水溶性CBDにはどんな課題がある?
名前
薬剤師:荒川快生
薬剤師として、水溶性CBDのもつ潜在的可能性や課題などを論理的に考察する必要があると考え、この記事を書くことにしました。

CBDとは

CBDとはカンナビジオール(CannaBiDiol)の略で、大麻草に含まれているカンナビノイドと呼ばれる成分の一つです。

CBDは脂溶性が高い化合物のため、水に溶けにくく、経口摂取した際の経口バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)は約6~14%程度と非常に低いことが知られています。

水に溶けにくいことから、CBD医薬品であるEpidiolex®はゴマ油にCBDを溶解して精製しています。

Epidiolex®について詳しく知りたい方はこちら

経口バイオアベイラビリティが低い主な要因は、消化管内での溶解性の低さ肝初回通過効果によるCBDの代謝が関係しています。

実際、CBDは生物薬剤学的分類(BCS)ではクラスII(高浸透・低溶解)に分類され、消化管内での溶解速度が吸収の律速段階となっているため、消化液にCBDが溶けないと、腸管から吸収される量が限定されしまいます。

さらに消化管吸収時、小腸上皮細胞肝臓の両方で代謝を受けることもバイオアベイラビリティが低下してしまう一因です。

水溶性CBDとは?

水溶性CBDは、前述したようにCBDの課題であったバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)の低さを克服するために開発されたCBDの剤型の一つです。

水溶性CBDは、特殊な技術を用いてCBD分子を微粒子化し、さらにそれを水になじみやすいように加工することで、体内への吸収率を大幅に向上させています。

具体的には、CBD分子をナノサイズまで分離し、親水性の物質でコーティングすることで、水と油の両方に溶けやすくなります(両親媒性を持たせる)。

これにより、消化器官での吸収が促進され、より効率的にCBDの効果を実感できるようになります。

これまでのCBDとの違い

従来のCBDでは、CBDとキャリアオイル(オリーブオイルやMCTオイル、ヘンプオイルなど)を混和することで摂取されてきました。

そして、胆のうから分泌される胆汁によってCBDオイルが「乳化」されることにより水溶性が向上し、腸管から吸収される必要がありました。

一方、水溶性CBDは、CBD分子が消化管内で消化液中に溶解しやすいように加工されているため、消化器官での吸収が非常にスムーズであるといった違いがあります。

CBDが吸収された後の肝臓での代謝について詳しく知りたい方はこちら

水溶性CBDの種類

CBDは疎水性が高いため、リポソームやニオソームの疎水性部位に取り込まれる。

種類リポソームナノエマルジョンマイクロエマルジョンミセル
粒径50~300nm程度約20~200nm程度 約10~100nm程度1nm~900nm程度
吸収率
安全性
化学的安定性
製造難易度やや高

ミセル型CBD製剤

特徴: ミセルとは界面活性剤や高分子が自己集合してできる微小な球状粒子で、製造のし易さが他の水溶性CBDとは異なり、比較的安価に製造できます。

臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で安定に存在しますが、極度に希釈されるとミセルが解離してCBDが再析出する可能性があります。

ナノエマルジョン型CBD製剤

粒径: 粒径は約20~200nm程度で、100nm以下の小径の場合、透明~わずかに霞む程度になります。

ナノエマルジョンは油滴を水中にナノサイズで分散させたエマルジョン(乳剤)です。

ナノエマルジョンの最大の利点は用途の広さと即効性です。

マイクロエマルジョン型CBD製剤

名称に「マイクロ」とあるが、光学的に透明であるためには100nm以下である必要がある。

マイクロエマルジョンはナノエマルジョンと同様に油滴を含む乳剤ですが、自発的に形成し熱力学的に安定である点が特徴です。

リポソーム型CBD製剤

リポソームはリン脂質二重膜が球状に閉じた小胞で、内部に水性コア、膜中に疎水性領域を持つナノキャリアです。

リポソーム製剤は高度な技術と設備が必要であり、かつ、製造からの時間経過(6カ月程度)とともに徐々に粒子の融合・肥大化や内容物の漏出が起こる可能性があります。

また、製造物の再現性にも懸念があります。

効果が高い反面、扱いが難しい製剤です。

水溶性CBDのメリット

水溶性CBDには、従来のCBD製品と比較して、いくつかメリットがあります。

即効性及びバイオアベイラビリティが高い

多くの研究データを総合すると、水溶性CBDのバイオアベイラビリティは、従来のCBDオイルと比較して約1.5倍~最大20倍程度高いとされています。

また、水溶性CBDは消化管内でCBDの溶解度が高いことから、消化管へ吸収されるのにかかる時間が短縮され、即効性が期待できます。

即効性及び、バイオアベイラビリティの高さは、以下の4点で説明されます。

  • 消化管内での溶解度・溶解速度の向上
    水溶性CBD(例:ミセル化やナノエマルジョン化した製剤)は、消化液という水性環境中でもCBDを溶解あるいは微小な液滴として分散させることができます​。あらかじめ水中に微粒子・ミセルとしてCBDを分散させておくことで、消化管内での溶解性が飛躍的に高まり、腸管から吸収されやすくなります。
  • 表面積増大による腸管吸収の促進
    CBDをナノエマルジョンやリポソーム等の微小粒子に取り込むことで、液滴の粒径が非常に小さくなり表面積が増大します。表面積が増大すると消化管上皮との接触面積が増え、拡散による吸収が促進されます。また微細粒子は粘膜上での拡散距離が短く、細胞への取り込み(エンドサイトーシス)も起こりやすいと考えられます。このためナノ粒子化されたCBD製剤は高い溶解能と吸収性を示し、生体内で優れた薬物動態を示します​。
  • 初回通過効果の回避(リンパ経路の利用)
    一部の水溶性化技術、特にミセルやナノエマルジョン中に長鎖脂肪酸を含む製剤では、吸収されたCBDが腸管のリンパ管経由で吸収されやすくなる場合があります。脂質を含む微粒子は、小腸絨毛の乳び管(リンパ管)に取り込まれて全身循環に入る傾向があり、これにより門脈・肝臓を通る経路を一部迂回できます。
  • 吸収速度の向上と安定化
    水溶性化したCBDはその溶解性ゆえに最高血中濃度到達時間(Tmax)の短縮(即効性)がしばしば見られます。従来の油性製剤では消化・乳化に時間を要しますが、水溶性製剤では速やかに血中に移行するためです。さらに、吸収過程が安定化することで個人差を減らすことも期待できます。

多様なCBD製品が製造できるようになる

水溶性CBDは、「水に溶ける」ことが最大のメリットです。

これまで普通のCBDでは入れられなかった、飲料水や化粧水へCBDを溶解することができるため、今後より多くの製品に利用されるようになると考えられます。

水溶性CBDにはどんな課題がある?

水溶性CBDのメリットばかりに注目されがちですが、課題はないのでしょうか。

実は、水溶性CBDにもいくつか課題が存在します。

沈殿・相分離など物理的安定性

ナノエマルジョンなどの水溶化技術で見かけ上は溶けていても、本質的には油滴の分散系であるため、経時的に相分離するリスクがあります​。

例えばクリーミング(油滴が上層に浮く)、沈殿(成分が下層に沈む)、凝集(粒子同士のダマ形成)といった現象が起こり得ます。

エマルジョンは熱力学的に不安定な系であり、時間とともにフロック形成(凝集)クリーミング/沈降合一(油滴同士の合体)オストワルド熟成(小さい粒子が溶解・再析出して大粒化)といった分離が進行します。

特にCBDナノエマルジョンでは、粒子径の経時的な拡大や油滴の再結合により初期の均一性が失われ、濁りや析出が生じて有効成分濃度にムラが出る可能性があります。

製剤によっては保存中にCBDが結晶化して析出する報告もあり、安定な製剤設計が不可欠です​。

成分の相互作用

水溶性にする際に用いる界面活性剤やコソルベント(溶解補助剤)との相互作用にも注意が必要です。

例えばコソルベント法では溶媒によってCBDを溶かしますが、製品充填後に容器内壁にCBDが付着(スカルピング)して有効濃度が低下する問題が指摘されています​。

また乳化剤自体が経時で加水分解したり、他の配合成分(香料や酸など)と反応する可能性もあります。

水溶性CBD粉末の場合も、吸湿によるベタつきや有効成分の徐々の酸化など、固体状態での経時変化に留意が必要です​。

総じて、水溶性CBD製品は光・熱・酸化による化学的劣化対策と同時に、エマルジョンの物理的安定性維持という二重の課題をクリアする必要があるのです。

バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)の向上と限界

現在までの研究ではバイオアベイラビリティの劇的な改善には限界も示唆されています。

従来のオイル剤に比べ、水溶性ナノ製剤で吸収が3~4倍向上したとの報告がありますが​、それでも経口製剤全体のバイオアベイラビリティはせいぜい20~30%程度に留まります(動物試験やシミュレーションによる推定)​。

一方で、水溶化により血中への立ち上がりが早くなるため即効性があり過ぎる可能性や、吸収率が上がった分だけ他の臓器への分布や代謝酵素への負荷が増える懸念もあります。

例えば、同じ用量のCBDでも水溶性製剤では血中濃度が高く立ち上がるため、従来のオイル製剤より副作用(眠気、肝酵素上昇など)が出やすくなる可能性があります。

このため、水溶性化によって必要用量の再評価や安全域の確認が必要です。

またCBDは高用量投与時に代謝酵素が飽和し抗てんかん薬などで非線形性を示すという報告もあり​、水溶性化で吸収が変わると用量反応曲線の予測が一層複雑になります。

吸収の再現性と個人差

経口CBD製剤の課題として個体間・条件間で吸収の変動が大きいことが知られています。

胃腸の内容物や消化状態によって吸収率が左右され、結果として薬効にばらつきが生じます。

特に食事の影響は顕著で、高脂肪食と共に摂取した場合、空腹時に比べCBDの血中濃度(AUC)が5倍、Cmaxが3倍にも増加したとのヒト試験結果があります​。

水溶性CBDは空腹時でも吸収されやすくなる利点が期待されますが、完全に食事の影響を除けるわけではありません。

むしろ、水溶化製剤は消化管内での挙動が複雑で、消化酵素や胆汁酸との相互作用によって吸収が影響を受ける可能性があります。

また個人の腸管透過性やエンドカンナビノイドシステムの感受性にも差があるため、ある人には効果的だが別の人には効き目が弱い又は強いといったバラつきも依然として残ります。

臨床応用上、この吸収の再現性の低さは適切な投与量を決めにくくする要因であり、水溶性製剤でも完全には解決されていません。

製剤設計上の難しさ

水溶性CBD製剤を開発するプロセス自体、多くの試行錯誤を伴います。

CBDは極めて疎水性が高いため、ナノエマルジョン、リポソーム、環状デキストリン包接、固体分散体など様々な技術が研究されています​。

それぞれ一長一短があり、例えば単純な混合は容易でも分離しやすく​、超音波乳化法では微粒化できる反面スケールアップや天然由来表示の点で課題が残ります​。

助溶剤法は均一化しやすいものの溶媒残留や容器への成分付着問題があり​、本格的なナノエマルジョンでは高度な装置とノウハウが必要になります。

また、ナノサイズにすることで製剤ごとの挙動のばらつきも生じ得ます。

製造ロット間で粒度分布が変動すると、バイオアベイラビリティも変化しうるため、再現性のある製造管理が難しい側面があります​。

実際、ポリマー系ナノ粒子製剤ではロット間でサイズが不揃いになりがちで、工業生産時の一貫性確保が課題とされています​。

さらに、大量生産時にはコストや収率の問題も無視できません。水溶性CBD製剤は従来のCBDオイルと比べ製造コストが高くなりやすく、市販サプリとして価格競争力を保つには製法の簡略化や規模の経済が必要です。

用量調整と臨床効果の限界

医療・サプリへの応用においては、適切な用量設定臨床的有用性の証明も重要です。

CBDは疾患や目的によって必要量が大きく異なり、例えば難治性てんかんでは数100mg/日を要する一方、不安緩和目的のサプリでは数10mg程度です。

水溶性化によって吸収が改善しても、必要な血中濃度を得るためには相応の投与量が必要である点は変わりません。

そのため、高用量投与時の安全性にも注意が必要なのです。

臨床試験では従来のCBDを1日1500mgを投与したことで肝機能への影響が確認されたため、水溶性製剤ではそれよりも少ない用量で高い血中濃度を達成する可能性が高く、従来以上に副作用モニタリングが重要です。

加えて、CBDは他の薬物代謝を阻害する作用があり(特にCYP3A4やCYP2C19)、臨床においては併用薬との相互作用にも注意しなければなりません​。

水溶性CBDが広くサプリメントとして流通する場合、消費者が医薬品的なリスクを認識せず自己判断で高用量を摂取してしまう懸念があるため、臨床上・使用上の課題として、適正使用ガイドの発行や医師・薬剤師による指導が求められます。

ヒトでの大規模試験データがまだ少ない

in vitroや動物モデルではナノ化による吸収向上が示されていますが、ヒトでの大規模試験は少なく、長期投与試験も不足しています。

そのため、水溶性CBDの方が臨床効果が明確に優れているのか、副作用プロファイルはどう変わるのか、といった重要な疑問に答えるエビデンスが十分ではありません。

規制当局もヒトでの長期安全性データの不足を指摘しており​、今後の臨床研究の蓄積が必要です。

例えばどの程度の粒子サイズ・製剤が最も吸収と安全性のバランスが良いかどんな疾患領域で水溶性化のメリットが最大になるかなど、解明すべき点が多く残されています。

まとめ

水溶性CBDは、従来のCBD製品と比較して、高い吸収率と即効性が期待できる革新的な製品です。

一方で、新しい技術であるため、解決されるべき課題が残っているというのが現状です。

人類はこれまで多くの課題を科学技術の発展により解決してきました。

将来的に、技術がより一層進歩し、水溶性CBDの安定性が確保され、大量生産されるようになれば、水溶性CBDの価格が下がり患者さんにとって有効な選択肢の一つとなると考えています。

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