現在、「CBD」は、心身に対して様々なメリットがある天然植物成分として、様々な業界から注目を集めています。
そんなCBDは、最近では美容や化粧品業界からも注目を集めており、美容に対しても効果が期待されています。
今回は、薬剤師である私が、「CBDの美容に対する効果や影響」について解説したいと思います。
また、後半では、「CBDを含んだ化粧品のおすすめの選び方」も紹介しているので、是非最後までご覧ください。
そもそもCBDとは?
CBDとは、「カンナビジオール(Cannabidiol)」の略称であり、大麻草から抽出されるカンナビノイド成分の1つです。
大麻草に含まれる成分と聞くと、危険・依存・違法といったイメージを持つ方も一定数いらっしゃると思います。
しかし、CBDは危険性や依存性がほとんど無いとされており、大麻と違い日本でも合法で使用することができます。
2017年には、CBDの安全性の高さは、WHO(世界保健機関)にも認められており、規制対象物質に指定するべきではないということを発表しています。
また、CBDは過去の研究から、
- 睡眠の補助
- リラックス効果
- ストレス緩和
- 抗炎症作用
- 抗酸化作用
- 鎮痛作用
- 抗菌作用
- 抗てんかん作用
などの効果が期待されています。
CBDは美容目的で利用されている
CBDの利用目的は、「不安の解消」や「リラックス」など人によって様々ですが、美容目的でCBDを利用している方も一定数いらっしゃいます。
実際に2020年のCBDに関する調査では、回答者の約10%が「肌改善、美容目的」でCBD含有の化粧品を利用していることが分かっています。
著名人でいえば、モデルのローラさんやタレントの小嶋陽菜さんもCBDを美容目的で利用していることが知られています。
ただ、CBDは希少な成分であるため、CBDを含んだ化粧品は一般的な化粧品と比べて、1.5〜2倍ほど値段が高いという傾向があります。
そのため、美容目的でCBD製品を利用する場合は、継続して使用できる価格のものから購入することがおすすめです。
CBDの美容に対する効果
美容目的で利用されているCBDですが、具体的にはどのような効果が期待されているのでしょうか?
ここでは、CBDの美容に対する効果を紹介するので、CBDを美容のために取り入れたい方は是非参考にしてみてください。
肌の状態を改善する
スキンケアに有効な成分として、コラーゲンやヒアルロン酸が有名ですが、実はCBDにも肌の状態を改善する効果が期待されています。
ここでは、CBDの肌に対する効果を3つご紹介したいと思います。
肌の保湿をサポートする
「シワ」や「シミ」・「たるみ」などの多くの肌トラブルは、肌の乾燥が原因で起こるとされています。
CBDには、肌の保湿をサポートする効果があるとされており、肌トラブルの原因となる「乾燥」を改善することが期待されています。
実際に2021年の論文では、濃度1%のCBD溶液を塗布されたマウスは、肌の水分量が約1.3倍に増加したことが報告されています。
ただし、この論文では、濃度3%のCBD溶液を塗布した場合には、保湿効果がほとんど見られなかったことも報告されています。
そのため、CBDで肌の保湿を行いたい場合は、量が多ければ良いというわけでなく、適切な量のCBDを塗布する必要があると言えます。
ニキビを改善する
青春のシンボルとも言われる「ニキビ」ですが、実は大人になってからでも発症する場合があり、肌トラブルの1つとして悩んでいる方は多くいらっしゃいます。
CBDは過去の研究から、そんな「ニキビ」を改善する効果が期待されています。
ニキビの主な原因は、皮脂の過剰分泌によってアクネ菌が繁殖し、炎症が起きるためだと考えられています。
2014年の研究では、CBDは皮脂の過剰分泌を抑制し、抗炎症作用をもたらすことが明らかになりました。
この研究は、細胞実験レベルですが、CBDのニキビに対する有用性を示唆しており、今後の更なる研究に期待が高まります。
最近では、CBDを含んだスキンケア商品なども販売されているので、気になった方は是非チェックしてみてください。
ニキビやアトピーなどの傷跡を改善する
「美肌になりたいけど、ニキビやアトピーなどの肌の傷が中々治らない…」そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?
実は、CBDには、肌の傷跡(きずあと)を改善する効果も期待されています。
イタリアのある研究では、アトピーやニキビなどによる傷跡がある被験者20名にCBD軟膏を投与し、皮膚の状態を評価する実験が行われました。
この実験は合計90日間行われ、患者は1日に2回CBD軟膏を投与されました。
実験の結果、CBD軟膏を投与された患者は治療前に比べ、皮膚疾患による「肌の傷跡」が改善・消失したことが報告されました。
さらに、この研究では、CBDを投与された被験者は、肌の「保湿性」や「弾力性」が大幅に向上したことも明らかになりました。
肌の傷跡にお悩みの方は、試しにCBDを含んだクリームやバームなどを利用してみるのもいいかもしれません。
アンチエイジング
老化や体調不良は、体内で発生した「活性酸素」が細胞を傷つけることで起こるとも言われています。
そのため、老化や体調不良を防ぐためには、お肌のケアだけでなく、体内の「活性酸素」を除去し、体の内側からケアすることが重要となります。
CBDには「抗酸化作用」があるとされており、体内の「活性酸素」を除去することで「アンチエイジング」を行うことが期待されています。
2021年の論文では、CBDには強い抗酸化作用のあることで有名な「ビタミンE」と同等の効果があることが示唆されました。
そのため、もしあなたが、
- 肌のシミやシワ
- たるみが増えた
- 白髪が増えた
- 若い時よりも疲れやすくなった
- 思考力や記憶力が悪くなった
などの悩みを抱えている場合は、CBDを含んだサプリメントなどを利用してみてはいかがでしょうか。
睡眠の質の改善
質の良い睡眠は、アンチエイジングの助けとなる「成長ホルモン」の分泌を促進すると言われており、美容において非常に重要な要素となります。
CBDには睡眠の質を改善し、そんな質の良い睡眠を補助する効果が期待されています。
2022年に行われた研究では、被験者にCBDオイル(5%)を投与し、睡眠に対する効果が評価されました。
その結果、CBDを投与された被験者は「徐波睡眠」の割合が増加し、睡眠の質が向上したことが報告されました。
徐波睡眠とは、「ノンレム睡眠」の中でも最も深い睡眠の状態のことであり、睡眠の質に大きく関係しているとされています。
CBDで睡眠を改善したい方は、効果時間が比較的長いCBDカプセルなどを就寝前に摂取することをおすすめします。
ストレスの緩和
ストレスや不安は「美容の大敵」とも呼ばれており、様々な肌のトラブルや活性酸素が発生する原因になるとされています。
CBDは過去の研究から、そんなストレスを緩和する効果が期待されています。
実際に2011年の論文では、600mgのCBDを投与された被験者は、ストレスレベルが低下したことが報告されています。
さらに、この論文ではCBDを投与された被験者は、不安感や不快感などが大幅に改善されたことも明らかになっています。
美容のためにストレスを緩和したい方は、日々の生活の中にCBDを取り入れてみてはいかがでしょうか。
老化の原因となる紫外線から肌を守る
紫外線は「しみ」や「そばかす」・「たるみ」などができる原因であり、肌の老化を促進させると言われています。
CBDは、老化の原因となる「紫外線」から肌を保護する効果が期待されています。
2021年の研究では、紫外線を照射した皮膚細胞に対するCBDの効果を観察する実験が行われました。
実験の結果、CBDは
- 皮膚細胞を損傷から保護
- 老化の原因となる細胞の酸化を防止
したことが報告されました。
また、近年オゾン層の破壊によって、地上に降り注ぐ紫外線の量は年々増加しており、人体に対して老化以外にも様々な悪影響を与えていることが分かっています。
老化や皮膚癌を予防したい方は、外出する前にCBDを含んだ日焼け止めクリームを塗ることも1つの選択肢としていいかもしれません。
アルコール依存症の改善
厚生労働省の発表では、日本の男性の約33.0%、女性の8.6%が飲酒習慣者であるとされており、軽度アルコール依存に陥っていることが予想されます。
アルコールは、肌の乾燥や活性酸素の生成などを引き起こすことで、美容だけでなく睡眠やダイエットに対しても悪影響を与えることが分かっています。
CBDには、アルコール依存症を改善する効果があるとされており、美容をサポートすることが期待されています。
実際に2017年の論文では、CBDを投与されたマウスはエタノールの摂取量が減少し、アルコール依存が緩和したことが示唆されました。
動物実験の結果が、必ずしも人間に対して当てはまるとは言えませんが、治療手段の1つとしてCBDを利用してみるのもいいかもしれません。
禁煙効果
喫煙は、シワやシミなどの原因となる「活性酸素の生成」に加えて、「女性ホルモンの分泌の低下」・「皮膚の血流低下」などを引き起こすとされています。
そんな喫煙ですが、依存性があるため「禁煙したいけど、中々やめることができない…」といった悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?
CBDは、これまでの研究結果から禁煙効果が期待されています。
実際に2013年の論文では、CBDを吸引摂取した被験者は、喫煙本数が最大40%減少したことが報告されています。
もし、あなたがCBDで禁煙を行う場合は、CBDベイプを利用することをおすすめします。
CBDベイプは、煙を吸引するという行動がタバコと近いため、他のCBD製品に比べ、より高い禁煙効果が期待できます。
CBD製品のおすすめの選び方
美容に対して様々な効果が期待されているCBDですが、CBD製品を購入する際はいくつかのポイントに注意する必要があります。
ここでは、CBD製品のおすすめの選び方を4つ紹介したいと思います。
目的に合わせて選ぶ
CBDは、以下のような種類の製品が販売されていますが、十分な効果を得るためには自身の目的に合わせたCBD製品を選ぶことが重要となります。
- CBDオイル
- CBDカプセル
- CBDグミ
- CBDベイプ
- CBDクリーム・バーム など
例えば、肌の保湿効果を得たい方や、ニキビなどの傷跡を改善したい方は、CBDを含んだクリームやバームを利用することをおすすめします。
一方、アンチエイジングや睡眠の質の改善など体の内側からケアしたい方は、CBDカプセルやオイルを利用してみることをおすすめします。
特に、CBDカプセルはオイル等と比べて、摂取量をコントロールしやすいというメリットがあるためおすすめです。
成分をチェックして選ぶ
CBD製品の中には、CBD以外にも美容に対して効果が期待できる成分が配合されているものがあります。
そのため、CBD製品を選ぶ際は記載されている「原材料名」を見て、配合されている成分をチェックすることをおすすめします。
例えば、CBDサプリメントやオイルに含まれる「オリーブオイル」や「MCTオイル」には、アンチエイジングや美肌効果が期待されています。
また、最近では肌に潤いや弾力を与えることが期待されている「コラーゲン」が配合されているCBD製品も販売されています。
特に、オリーブオイルやMCTオイルが配合されているCBDサプリメントは、飲み込むだけで簡単に摂取できるため初心者にもおすすめです。
続けやすい価格帯で選ぶ
CBDは効果を感じるまでの期間が人によって異なるため、摂取したからといって直ぐに効果が現れるわけではありません。
個人差はありますが、十分な効果を感じられるようになるまで、数日から数週間継続して利用する必要があります。
CBDは継続して利用することが重要なので、高額なCBD製品を1回だけ購入しても、継続できなければ意味がありません。
CBD製品を選ぶときは、配合されている成分をチェックすることもポイントですが、無理なく長く継続して購入できるか、価格帯をチェックして選ぶことも重要です。
ただ、値段が低すぎるCBD製品はCBDの含有量が低い傾向があるため、あまり値段が低すぎるものはあまりおすすめできません。
信頼できるブランドを選ぶ
CBD製品を選ぶ際は安全性の観点から、信頼できるブランドを選ぶことが重要です。
信頼できるブランドを選ぶ際は、まず「第三者機関の検査」が行われているかを確認してみてください。
第三者機関とは、研究所や大学といった販売業者以外の検査機関のことであり、
- THCなどの違法物質や危険物質が含まれていないか
- 表記通りの成分がCBD製品に含まれているか
などの検査を行っています。
また、薬剤師や医師といった専門家が監修しているブランドも、信頼できるCBDブランドを選ぶ際の注目すべきポイントとなります。
CBD薬剤師の質問コーナー
CBDオイルは肌に塗っても大丈夫ですか?
結論から言うと、CBDオイルを肌に塗っても問題ありません。
CBDオイルは分子サイズが小さいため、肌や関節部・筋肉などのセルフケアにも利用することができます。
ただ、肌に対して利用する場合は、CBDクリームやバームの方が保湿力や使い心地などの面でCBDオイルより優れています。
そのため、CBDを肌に対して利用する場合は、CBDクリームやバームを積極的に利用することをおすすめします。
CBDは健康に対しても効果がありますか?
CBDは美容だけでなく、健康に対しても以下のような効果が期待されています。
- 糖尿病の予防
- 血圧の低下
- 不整脈の改善
- うつ病や統合失調症などの精神疾患 など
CBDは未成年でも利用することができますか?
CBDはタバコやお酒と違い未成年でも利用・購入することができます。
ただし、CBDベイプは購入する際に年齢確認が必要になることが多く、CBDショップなどの店舗で未成年が購入することは難しくなっています。
未成年の方がCBDを利用したい場合は、CBDオイルやカプセルなどを利用することをおすすめします。
参考文献
- CBDを含む化粧品についてのアンケート調査
- Cannabidiol Application Increases Cutaneous Aquaporin-3 and Exerts a Skin Moisturizing Effect
- Cannabidiol exerts sebostatic and antiinflammatory effects on human sebocytes
- A therapeutic effect of cbd-enriched ointment in inflammatory skin diseases and cutaneous scars
- CBG, CBD, Δ9-THC, CBN, CBGA, CBDA and Δ9-THCA as antioxidant agents and their intervention abilities in antioxidant action
- CBDブランド Greeus × 早稲田大学睡眠研究所共同研究レポート公開「CBDが睡眠に与える影響
- Cannabidiol Reduces the Anxiety Induced by Simulated Public Speaking in Treatment-Naïve Social Phobia Patients
- The Effect of Cannabidiol on UV-Induced Changes in Intracellular Signaling of 3D-Cultured Skin Keratinocytes
- Therapeutic Prospects of Cannabidiol for Alcohol Use Disorder and Alcohol-Related Damages on the Liver and the Brain
- Cannabidiol reduces cigarette consumption in tobacco smokers: preliminary findings