「CBD」は、リラックスやストレス緩和などの効果から、日本でも若者を中心に注目を集めています。
そんなCBDですが、近年ダイエットに対しても効果が期待できるといった噂も聞くことが増えてきています。
皆さんの中にも、本当にCBDにはダイエット効果があるの?と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
今回は、薬剤師である私が「CBDはダイエットに効果があるのか」について詳しく解説したいと思います。
また、本記事では「ダイエットにCBD製品を利用するメリット」も紹介しているので、気になった方は是非最後までご覧ください。
そもそもCBDとは?
CBDは、大麻草の種子や成熟した茎や種子から抽出される植物成分の一種です。
CBDが大麻由来の成分であるということから、「違法なのでは?」と不安を感じる方もいらっしゃると思います。
しかし、CBDは違法性が無いことが分かっており、日本で「利用・所持」したとしても罪に問われることはありません。
実際に「厚生労働省の麻薬取締部」も、CBDが大麻取締法上の「大麻」に該当しないことを明言しています。
また、CBDは精神活性作用が無く、安全性が高いことが分かっており、WHO(世界保険機関)にもその安全性の高さが認められています。
近年では、CBDは世界中で研究が活発に行われており、医療や美容・健康など様々な業界での活用が期待されてます。
CBDはダイエットに効果がある?
リラックスやストレス緩和などの効果が期待されているCBDですが、ダイエットに対しても効果が期待できるのでしょうか?
ここでは、「CBDはダイエットに効果があるのか」について詳しく解説したいと思います。
CBDには直接的なダイエット効果はない
ダイエットには、ダイエット外来(肥満外来)で処方される「痩せ薬」が利用されることがあります。
この痩せ薬は、炭水化物や脂質の吸収を抑えたり、食欲そのものを抑制するといった効果があります。
一方、CBDには医薬品である「痩せ薬」のように、直接的に体重を減少させる効果はありません。
CBDはどちらかと言うとサプリメントに近く、痩せやすい体づくりの補助をするなどのダイエットのサポート効果が期待されています。
イメージとしては、「ダイエットサプリ」を思い浮かべてもらうと分かりやすいのではないかと思います。
そのため、CBDをダイエットに対して利用する場合は、運動や食事制限の補助として利用することをおすすめします。
CBDの食欲や血糖値に対する影響は分かっていない
CBDと同じようなサプリメントの中には、食欲や血糖値の抑制をサポートする効果が期待されているものもあります。
一方、CBDは「食欲」や「血糖値」に対する効果は明らかになっていません。
まず、食欲について言えば、過去の研究で増加と減少の両方の結果が報告されています。
実際に、小児てんかんを対象とした臨床研究では、患者の30%で食欲の増加が、2011年のマウスを用いた動物実験では食欲の低下が見られています。
次に、血糖値についてですが、CBDを含んだ大麻を用いた研究は行われていますが、CBD単体を利用した研究は現時点では行われていません。
このように、CBDの食欲や血糖値に対する効果は明らかになっていないため、CBDをダイエットサポート目的で利用する場合は上記の内容を理解した上で利用しましょう。
CBDのダイエットサポート効果
CBDは、
- 脂肪燃焼を補助する
- 代謝を促進する
- ストレスを緩和する
- 睡眠の質を向上させる
という4つの効果からダイエットをサポートすることが期待されています。
ここでは、上記4つの効果について詳しく解説したいと思うので、ダイエットを成功させたい方は是非チェックしてみてください。
脂肪燃焼をサポートする
細胞レベルのエビデンスではありますが、CBDには「白色細胞」を「褐色細胞」に変化させ、脂肪燃焼をサポートする効果が期待されています。
白色細胞とは、体内の余分な脂肪を蓄える、所謂「太る細胞」のことであり、この細胞が増加することで太りやすくなると言われています。
一方、褐色細胞とは、体内の脂肪を熱に変え体外に排出する、所謂「痩せる細胞」のことであり、この細胞が増加することで太りにくくなると言われています。
また、2016年の論文では、CBDが「褐色細胞」の働きを活性化することで、脂肪燃焼を促進させることも示唆されています。
ダイエットで脂肪燃焼を効率的に行いたい方は、有酸素運動などにCBDを取り入れてみてはいかがでしょうか。
代謝を向上させる
ダイエットを成功させるためには、「代謝」を上げることも非常に重要な要素となります。
「なかなか痩せられない方」や「太りやすい方」は、「代謝」が低く、効率的に脂肪燃焼が行われていないことが原因として考えられます。
細胞レベルのエビデンスではありますが、CBDは「ミトコンドリア」の働きを調整することで、代謝を向上させる効果が期待されています。
ミトコンドリアとは、細胞内に存在する小器官のことであり、代謝を行う働きがあるとされています。
また、代謝は、CBD以外にも「タンパク質を多く含む食材」や「体を温める食材(かぼちゃ・にんじん)」を摂取することで上げることができます。
そのため、ダイエットを成功させたい方は、上記の食材を含んだ料理にCBDを入れ、一緒に摂取することがおすすめです。
ストレスを緩和する
ダイエット中は、食事制限などで「ストレスを感じてしまいイライラする」といった方は多いのではないでしょうか?
ストレスは「代謝」を大きく低下させたり、「体脂肪」を増加させたりすることで、ダイエットを阻害することが分かっています。
CBDには、そんなダイエットの天敵である「ストレス」を緩和させる効果が期待されています。
実際に2011年の研究では、CBDを摂取した被験者は「ストレスレベル」が低下したことが報告されています。
また、ストレス緩和目的でCBDを利用する場合は、1回0.5mg/kg(体重が50kgの方なら25mg)を1日2回摂取することがおすすめです。
ダイエット中のストレス発散方法として、運動や趣味を行うことも効果的ですが、選択肢の1つとしてCBDを利用するのもいいかもしれません。
睡眠の質の向上させる
睡眠の質が低く、寝不足な状態は、食欲を抑制するホルモン「レプチン」を減少させ、食欲を増進させるホルモン「グレリン」を増加させることが分かっています。
そのため、睡眠の質が低く寝不足な状態が続いてしまうと、暴飲暴食などが起こりやすくなってしまい、ダイエットの失敗に繋がってしまいます。
CBDには睡眠の質を向上する効果があるとされており、寝不足の状態を改善することでダイエットのサポートが期待できます。
実際に2022年の研究では、CBDを投与された被験者は、徐波睡眠の割合が増加することで、睡眠の質が向上したことが報告されています。
徐波睡眠とは、睡眠の中で最も眠りの深い睡眠であり、この睡眠の割合が増加することで熟睡感を上げることができると言われています。
睡眠にCBDを利用する場合は、比較的効果の持続時間の長い「CBDカプセルやオイル」がおすすめなので是非利用してみてください。
ダイエットにCBD製品を使うメリット
ここでは、CBD製品をダイエットに使うメリットを3つご紹介したいと思います。
CBDは健康や美容に対しても様々な効果が期待されているので、気になる方は是非チェックしてみてください。
CBDは健康に対しても効果が期待できる
皆さんの中にも、健康の維持・増進を目的としてダイエットを行っている方は多いのではないでしょうか?
実際に2019年の20代〜50代の女性を対象に行われた調査では、約40%の方が健康の維持・増進を目的としてダイエットを行っていることが報告されています。
実はCBDには、ダイエットのサポートだけでなく健康に対しても以下のような効果が期待されています。
- 糖尿病の予防
- 血圧の低下
- 不整脈の改善
- 禁煙効果
- うつ病や統合失調症などの精神疾患 など
これらの効果から、CBDを利用することでダイエットのサポートを行うだけでなく、健康の維持や増進を期待することができます。
特にカプセルやタブレットなどのCBDサプリメントは、初心者でも簡単に摂取することができるのでおすすめです。
CBDの美容に対しても効果が期待できる
ダイエット中は、食事制限やストレスなどによって肌荒れや老化が進んでしまうことがあります。
美容を目的としてダイエットを行っている場合、肌荒れや老化が進んでしまっては本末転倒です。
CBDは、美容に対しても高い効果が期待されており、具体的には
- 肌の保湿をサポート
- アンチエイジング
- ニキビの改善
- ニキビやアトピーなどの傷跡を改善
などの効果が期待されています。
これらの効果から、ダイエット中にCBDを利用することで、肌の状態を改善したり、アンチエイジングによって体の内側からケアすることが期待できます。
ダイエット中に起こる美容トラブルにお悩みの方は、1つの選択肢としてCBDを利用するのもいいかもしれません。
CBD以外の成分の効果が得られる
上記では、CBDのダイエットや健康・美容効果を紹介しましたが、実はCBD製品に含まれるCBD以外の成分にも様々な効果が期待されています。
例えば、一部のCBDオイルやカプセルに含まれる「MCTオイル」には「体脂肪や内臓脂肪の減少」や「白髪の予防」などの効果が期待されています。
また、同じくCBDオイルやカプセルに含まれる「オリーブオイル」には「動脈硬化」や「生活習慣病の予防」・「便秘の改善」などの効果が期待されています。
このように、ダイエットにCBD製品を利用することは、CBD以外の成分の効果を期待することができるといったメリットがあります。
特に、MCTオイルやオリーブオイルが使われている「CBDカプセル」は、手軽に摂取できるためダイエットのサポートにおすすめです。
CBD製品を利用する際の注意点
CBDは、ダイエットや美容・健康など様々な効果が期待されていますが、摂取する場合はいくつかの点に注意する必要があります。
ここでは、CBD製品を利用する際の注意点を2つご紹介するので、CBD製品を利用したい方は是非チェックしてみてください。
過剰摂取には注意が必要
上記でも説明したように、CBDには依存性や乱用性が無く、安全性が高いことが分かっています。
しかし、人によっては、CBDを過剰に摂取してしまった際に、
- 強い眠気
- 喉の渇き
- 倦怠感
- 貧血
- 頭痛
などの副作用が起こる可能性があります。
副作用を感じないためには、自身に合った適切な量のCBDを摂取することが大切です。
自分に合った適切な摂取量が分からない場合は、臨床CBDオイル協会が推奨している「1日に2回、CBD0.25〜0.5mg/kg」を参考にすることをおすすめします。
医薬品との併用に注意する
医薬品を服用されてる方が、CBD製品を利用する場合は注意が必要となります。
CBDには、肝臓に存在する薬物代謝酵素(CYP450)の働きを阻害する作用があることが分かっています。
CBDの作用によって、この酵素の働きが阻害されてしまうと医薬品の正常な代謝が行われず、医薬品の効果や副作用が強く出過ぎることがあります。
CBDの作用を受ける医薬品には、
- 抗凝固薬
- 抗てんかん薬
- ステロイド
- 免疫抑制剤
- 抗うつ薬、抗精神病薬
などがあります。
特に、抗凝固薬であるイグザレルト(リバーロキサバン)やエリキュース(アピキサバン)は、CBDとの相互作用によって出血が止まりにくくなるため注意が必要です。
ただし、日本臨床カンナビノイド学会の発表では、CBDの摂取量が1日に体重1kg当たり2mg以下であれば、医薬品の代謝に影響を与えることは無いとされています。
医薬品を利用している方が、CBDを利用することはあまりおすすめできませんが、利用したい場合は上記の数値を参考にしてみてください。
CBD薬剤師の質問コーナー
CBDの副作用が起こった場合はどうすればいい?
CBDの副作用が起こってしまった場合は、CBDの摂取をやめて休息をとることをおすすめします。
CBDの副作用は、「眠気」や「喉の渇き」など程度が軽いため、多くの場合は休息をとるだけで体調が改善すると思います。
ただし、人によっては休息をとったとしても体調が改善しない場合があります。
そんな場合は、かかりつけの病院に行き、医師に相談することをおすすめします。
CBDの効果の持続時間はどれくらい?
CBDの効果の持続時間は摂取方法によって異なります。
あくまで目安ですが、CBDの効果の持続時間は以下の数値を参考にしてみてください。
- 舌下摂取(CBDオイル) :6時間前後
- 吸入摂取(CBDベイプ) :2〜3時間前後
- 経口摂取(CBDカプセル):6〜10時間前後
- 経皮摂取(CBDクリーム):4〜6時間前後
CBD製品はなぜ値段が高い?
CBD製品の値段が高価な理由には、以下の要素が関係しているとされています。
- オーガニック栽培されたヘンプ(麻)が使用されている
- CBD以外の原料にコストがかかっている
- CBDを抽出する機械の導入にコストがかかる
- 輸入コストがかかる
- 第三者機関などによる品質検査が重ねてられている
値段が低すぎるCBD製品は、CBDがほとんど含まれていない傾向があるため、あまり値段が低すぎる製品はおすすめできません。
参考文献
- Perceived efficacy of cannabidiol-enriched cannabis extracts for treatment of pediatric epilepsy: A potential role for infantile spasms and Lennox-Gastaut syndrome
- Cannabidiol decreases body weight gain in rats: involvement of CB2 receptors
- Cannabidiol promotes browning in 3T3-L1 adipocytes
- カンナビジオールはMCF7癌細胞のミトコンドリア酸化還元と動力学を調節する:NAD(P)Hの蛍光寿命イメージング顕微鏡法を用いた研究【JST・京大機械翻訳】
- Cannabidiol Reduces the Anxiety Induced by Simulated Public Speaking in Treatment-Naïve Social Phobia Patients
- CBDブランド Greeus × 早稲田大学睡眠研究所共同研究レポート公開「CBDが睡眠に与える影響 」