近年、CBDはセルフケアアイテムとして、欧米をはじめ世界中で人気を集めています。
そんなCBDですが、
- どのくらいの時間で効果が出るのか知りたい
- 効果の持続時間を知りたい
- 摂取方法ごとの違いを知りたい
という方は多いのではないでしょうか?
この記事では、CBDの効果時間を徹底的に解説したいと思います。
また、現在X(旧Twitter)・Instagramにて、CBDを含む大麻成分に関する情報をエビデンスを基に発信しているので、是非チェックしてみてください!

日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師
日本臨床カンナビノイド学会認定登録師
所属学会:日本薬理学会、日本緩和医療薬学会、日本在宅薬学会、日本臨床カンナビノイド学会
そもそもCBDとは?
CBDとは、「カンナビジオール(一般名:Cannabidiol)」の略称で、大麻草に含まれる「カンナビノイド」と呼ばれる成分です。
カンナビノイド成分は、大麻草に全部で100種類以上含まれており、CBD以外にもCBNやCBG・THCなどがあります。
ここでは、そんなカンナビノイド成分の1つである「CBD」の安全性や違法性・人体に作用するメカニズムを解説したいと思います。
CBDの安全性や違法性

CBDが大麻草に含まれる成分であることから、「安全性や違法性が不安…」といった方は多いのではないでしょうか?
しかし、結論から言うと、CBDは日本では違法性がなく、安全性が高い成分であることが分かっています。
実際に、2017年にWHOの報告では「CBDは非常に安全で、幅広い用量で忍容性が良好である。」とされています。
ちなみに「忍容性が良好」とは、副作用が殆ど無く、仮に起こったとしても非常に軽いことを意味します。
また、厚生労働省はCBDが「大麻取締法上」の「大麻」に該当せず、違法性が無いことを明らかにしています。
このように、CBDは安全性が高い成分であり、違法性が無いことから、日本でも最近ではCBDを含んだ製品が人気を集めてきています。
CBDが人体に作用するメカニズム
CBDは、「カンナビノイド受容体」に作用することで、リラクゼーションなどの様々な効果を発揮すると考えられています。
カンナビノイド受容体とは、体全体に存在する受容体のことで、「CB1」・「CB2」の2種類が存在しています。
CB1受容体は、主に脳や中枢神経に分布しており、痛みやリラックス・不安などの効果に関係しているとされています。
一方、CB2受容体は、末梢神経や免疫細胞に分布しており、免疫系の調整や炎症などの効果に関係しているとされています。
これらのCBDが「カンナビノイド受容体」に作用する流れは、総称してECS(エンドカンナビノイドシステム)と呼ばれています。
また、最近の研究から、CBDは「カンナビノイド受容体」以外にも、「5-HT1A」・「GPR55」などの複数の受容体にも作用することも明らかになってきています。
CBDの効果時間は?即効性はある?
結論から言うと、CBDの効果時間は以下の摂取方法によって大きく異なります。
- 舌下摂取(オイル)
- 吸引摂取(ベイプ)
- 経口摂取(エディブルやカプセル)
- 経皮摂取(クリームなど)
ここでは、摂取方法ごとの「効果が出るまでの時間」・「効果の持続時間」や「摂取方法の違い」をご紹介したいと思います。
吸引摂取

吸引摂取とは、ベイプなどで気化させたCBDを、肺の毛細血管から吸収する摂取方法のことです。
この摂取方法は、「効果が現れるまでの時間」が数分から10分前後であると言われており、最も即効性の高い摂取方法となっています。
吸引摂取は、CBDの吸収率が40%前後と非常に高く、強い効果を実感することも期待できます。
ただし、「効果の持続時間」は2〜3時間と他の摂取方法に比べ短いため、効果を長時間感じたい方は注意が必要です。
このように、吸引によるCBDの摂取は、摂取方法の中で最も効果が強く、即効性があるという一方で、持続時間が短いという特徴があります。
ちなみに、CBDベイプは過去の研究から、人体に悪影響を与える可能性が示唆されているため、利用することはあまりおすすめできません。
舌下摂取
舌下摂取は、CBDオイルを舌の裏の毛細血管から吸収する摂取方法です。
この摂取方法は、舌の下側にCBDオイルを数滴たらし、舌下の毛細血管からCBD成分を摂取する方法となっています。
舌下摂取は、「効果が現れるまでの時間」が30分前後とされており、上記で紹介した4つの摂取方法の中で2番目に即効性が高い摂取方法です。
さらに、「効果の持続時間」が6時間前後とされており、他の摂取方法に比べ、比較的長い時間効果を実感することができます。
また、CBDの吸収率は20%前後であり、吸引摂取に比べると低いと考えられています。
このように、舌下摂取では、CBDの効果が出るまでの時間が比較的短く、効果の持続時間が長いという特徴があります。
経口摂取

経口摂取とは、CBDが配合されている食品やサプリメントを食べることによって、胃腸からCBDの成分を吸収する方法となっています。
この摂取方法は、「効果が現れるまでの時間」が30分〜2時間であり、上記で紹介した摂取方法に比べ即効性が低いです。
また、経口摂取は、CBDの吸収率が10%と低く、「効果の持続時間」が6〜10時間と非常に長いという特徴があります。
この摂取方法は効果の強さが比較的弱く、効果が出るまでに時間がかかりますが、最も効果の持続時間が長い摂取方法となっています。
最近では、CBDグミやキャンディー・チョコレートなど、様々なCBDエディブルが販売されていますが、個人的にはカプセルタイプのCBDサプリメントがおすすめです。
経皮摂取
経皮摂取とは、CBDが配合されているクリームやバームを肌に塗ることによって、肌の表面からCBD成分を吸収する方法となっています。
効果を体感したい患部にCBDクリームを塗ることによって、患部から直接CBDを吸収することができます。
経皮摂取は、患部にクリームを塗布して、30分〜2時間後に効果が現れ、効果の持続時間は4〜6時間前後とされています。
また、CBDの吸収率は13〜50%とかなり幅がありますが、これは塗布する体の場所によって吸収率が異なることが関係しています。
顔などの皮膚の薄い部分の吸収率は高くなっていますが、足などの皮膚の分厚い部分は吸収率が低くなっています。
また、最近では、美肌やアンチエイジングの効果も高いとされており、美容目的でCBDバームやクリームを使う人も増えてきています。
CBDの効果時間を示した研究
ジョンズ・ホプキンス大学の研究では、CBDを摂取した被験者の血中CBD濃度を、時間の経過と共に計測する実験が行われました。
今回の実験では、以下の4種類の方法で試験薬を1週間ずつ、合計4回計測しました。
- CBDのみを100mg【肺から吸引摂取】
- CBDのみを100mg【口から経口摂取】
- 大麻と同等(CBD100mg+THC3.7mg)【肺から吸引摂取】
- プラセボ(偽薬)
上記の4種類の方法で計測を行い、摂取後に1時間ごとのCBDの血中濃度を計測しました。
ここでは、吸引摂取と経口摂取の効果時間を示した研究の詳細をご紹介したいと思います。
CBDを肺から吸引摂取した場合

吸引摂取は、上記でも説明したように、複数あるCBDの摂取方法の中で最も即効性が高く、最も効果を強く感じられる摂取方法となっています。
実際にグラフを見て頂けると分かるように、摂取後1時間が最も血中濃度が高くなっており、その後緩やかに下がっていきます。
また、CBDの血中濃度は、経口摂取のピークと比べて約8倍となっていますが、持続時間はあまり長くありません。
CBDを経口摂取した場合
エディブルやサプリメントなどによるCBDの経口摂取は、強い効果があるわけではありませんが、長時間効果を持続させる方法の1つです。
実際にグラフの通り、CBD濃度のピークは摂取後4時間となっており、その後緩やかに下がっていきます。
また、ピークのCBD濃度は、吸引摂取に比べて8分の1程度しかありませんが、効果の持続時間は8時間前後と非常に長くなっています。
そのため、CBDの経口摂取は、就寝時などの長時間にわたって効果を体感したい方におすすめの摂取方法となっています。
目的によって摂取方法を変えることがおすすめ
上記の研究結果から、実際にCBDは摂取方法によって、
- 効果が出るまでの時間
- 効果の強さ
- 効果の持続時間
などが異なるということをわかって頂けたと思います。
そのため、CBDを効果的に使用するためには、目的によって摂取方法を選ぶことが重要です。
例えば、睡眠の質を上げる目的であれば、効果時間の長い「経口摂取」や「舌下摂取」、すぐにリラックスする目的であれば、即効性のある「吸引摂取」などがおすすめとなります。
また、患部の痛みや炎症を抑えたいといった方は、「経皮摂取」を利用することをおすすめします。
自分の目的に合わせた摂取方法を選ぶことで、CBDを効果的に利用しましょう!
CBDはどの時間帯に摂取するのがいい?

多くの場合、「病院で処方される薬」や「ドラッグストアで売られている薬」は、服用すべき時間帯が決まっています。
サプリメントの中にも摂取時間が推奨されているものもあり、説明書の記載通りに摂取すれば最大限効果を高めることが期待できます。
一方、CBD製品は「いつの時間帯に摂取すればよいのか」ということがパッケージや説明書に明確に記載されてはいません。
このように、CBDを摂取する最適な時間帯が決められていないのは、CBDの効果の現れ方に個人差があることが関係しているとされています。
CBDを摂取する最適な時間を見つけたい場合は、自分で実際にCBDを試しつつ、CBDの効果発現を期待する時間帯を考えることがおすすめです。
CBD薬剤師の質問コーナー
CBDエディブルやカプセルが効かない原因は?
CBDエディブルやカプセルが効かない原因は多く考えられますが、摂取するタイミングが悪いことも1つの原因として考えられます。
CBDエディブルやカプセルの場合、摂取のタイミングが悪ければCBDの効き目が薄くなる可能性があります。
ミネソタ大学の研究では、CBDを脂質の多い食べ物と一緒に摂取した場合、空腹時に比べて吸収率が4倍になることが報告されました。
そのため、CBDを摂取する際には空腹時よりも食後の方がより高い効果が期待できます。
今まで、空腹時にCBDが効かないと感じた方は、CBDの摂取タイミングを変えてみましょう。
CBDはバッドトリップに効果がある?
結論から言うと、CBDには、THCや10-OH-HHC・CB9などの「キマる」ような精神活性作用を緩和する効果があると考えられています。
そのため、バッドトリップを感じた際にCBDを摂取することで、症状を緩和することが期待できます。
また、CBDはベイプで摂取することで、CBDオイルやグミなどに比べ、短い時間で強い効果を感じることができます。
10-OH-HHC・CB9などの半合成カンナビノイドを利用する場合は、万が一に備えてCBDベイプを用意しておき、バッドトリップを緩和することをおすすめします。
参考文献
- Spindle, T. R., Cone, E. J., Schlienz, N. J., Goffi, E., Weerts, E. M., Mitchell, J. M., Winecker, R. E., Bigelow, G. E., Flegel, R. R., & Vandrey, R. (2020).Pharmacodynamic effects of vaporized and oral cannabidiol (CBD) and vaporized CBD-dominant cannabis in infrequent cannabis users. Drug and Alcohol Dependence, 211, 107937.https://doi.org/10.1016/j.drugalcdep.2020.107937