HHCPとは?効果や違法性・規制される可能性と共に薬剤師が徹底解説

2023年11月4日、合成のカンナビノイドである「HHCH」を含んだ「大麻グミ」を摂取した男女が体調不良を訴え、救急搬送される事件が起こりました。

この事件は、11月中旬にニュースで報道され、同年12月2日からは「HHCH」が指定薬物として規制されました。

そんな中、HHCHに次ぐカンナビノイドとして「HHCP」と呼ばれる成分が注目を集めています。

本記事では、薬剤師である私が「HHCPとはどういった成分か」ということや、この成分の効果・違法性について解説したいと思います。

この記事を最後まで読むと、HHCPについて深く理解することができるので、興味がある方は是非チェックしてみてください。

この記事でわかることHHCPの効果
HHCPの違法性
HHCPとHHCやHHCOの違い

HHCPとは?

HHCPを含んだ製品

HHCPとは、ヘキサヒドロカンナビフォロール(Hexahydrocannabiphorol)の略称であり、「半合成カンナビノイド」の1つです。

半合成カンナビノイドとは、大麻草にごく少量含まれているカンナビノイド成分を化学的に合成した化学物質です。

この成分は、THCPと呼ばれるカンナビノイド成分を「水素化(化学合成)」することで製造され、「ハイになる」・「キマる」ような精神活性作用があるとも言われています。

ここでは、そんなHHCPの効果や安全性について簡単に解説したいと思います。

HHCPの効果は明らかになっていない

実はHHCPはCBDと違い、効果に対する研究やエビデンスがほとんどないため、どんな効果があるか詳しくは分かっていません。

ただ、一部のユーザーからは、以下のような「HHC」に似たような効果があり、「HHC」の1.5〜2倍の効果があるとも言われています。

  • 多幸感
  • 鎮痛作用
  • 不安の緩和
  • 抗炎症作用 など

HHCとは、HHCPと同じ半合成カンナビノイドの1つであり、現在は指定薬物に分類されているため、日本では使用することはできません。

CBDを吸うとどうなるかはこちら

HHCPの安全性は低い可能性がある

皆さんの中に、「HHCPの安全性は大丈夫なの?」と不安を感じている方は多いのではないでしょうか?

結論から言うと、「HHCP」は研究やエビデンスが十分ではないため、安全性や副作用も明らかになっていません

ただ、HHCPの構造式は、昨今健康被害を起こした「HHCH」と類似しているため、「嘔吐」や「めまい」などの副作用が起こる可能性が考えられます。

また、一部のユーザーから、HHCPは「喉の乾き」や「頭痛」などの副作用が起こる場合があることが報告されています。

これらのことから、「HHCP」を多量に摂取した場合には、重篤な副作用が起こる可能性も考えられるため、利用することはおすすめできません。

HHCPに違法性はあるの?

結論から言うと、2024年の1月から「HHCP」は指定薬物に追加されており、利用することができません。

HHCPが規制された理由としては、2023年に規制された「HHCH」の類似物質であることが関係していると考えられています。

また、規制された成分としては、HHCP以外にも「HHCV」や「HHCB」・「HHCJD」があり、これらの成分を含む製品について、「製造」や「輸入」・「販売」・「所持」・「使用」等が禁止されます。

指定薬物を所持や使用した場合、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」される可能性があるため、もし所持している場合はすぐに処分しましょう。

HHCやHHCOとの違い

ここまでの説明から、HHCPの危険性についてお分かり頂けたと思います。

では、HHCPは名前が似ているHHCやHHCOと何が違うのでしょうか?

ここでは、HHCPとHHCやHHCOの違いを製造方法や違法性などの観点から解説したいと思います。

HHCとの違い

HHC

HHCとは、1944年に発見された精神活性作用がある半合成カンナビノイドの1つです。

HHCは、HHCPと違いTHCやCBDを「水素化」することで製造されます。

また、HHCは2022年の3月に危険ドラッグに指定されており、日本では使用することができません。

現在、HHCを所持や販売・使用した場合、薬機法違反となり、三年以下の懲役または三百万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。

HHCOとの違い

HHCOとは、HHCPと同様に精神活性作用があるとされる半合成カンナビノイドの1つです。

一部のユーザーから、HHCPはHHCOよりも感じる効果が強いとも言われています。

HHCPがTHCPを水素化することで生成されるのに対して、HHCOはHHCに無水酢酸を組み合わせることで生成されます。

また、HHCOは2023年3月まで合法でしたが、現在は規制されており日本で利用することはできません。

指定薬物を所持した場合、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」される可能性があるため、使用を避けることが無難と言えるでしょう。

HHCPを含んだ製品は利用しても大丈夫?

HHCPは日本では違法ですが、海外の一部では合法的に利用することができます。

皆さんの中に、「HHCPを含んだ製品を利用しても本当に大丈夫なの?」と考えている方はいらっしゃいませんか?

ここでは、「HHCPを含んだ製品を利用しても大丈夫なのか」ということを解説したいと思います。

HHCPを含んだ製品の利用はおすすめしない

結論から言うと、HHCPを含んだ製品の利用はおすすめできません。

上記でも説明したように、HHCPの効果や安全性は明らかになっていないため、利用することで人体に対して重篤な副作用を引き起こす可能性があります。

また、HHCPを含んだ製品は、主にSNSやフリマ上で個人業者によって多く販売されており、粗悪な製品である可能性が非常に高いと考えられます。

粗悪な製品には、THCや重金属などの違法物質・危険物質などが含まれている可能性もあり、健康被害を引き起こすことも考えられます。

これらのことから、HHCPを含んだ製品を利用することは無難に避けることをおすすめします。

安全性ならCBDアイソレートがおすすめ

CBDアイソレート

皆さんの中に、「安全性を重要視しているから、HHCPを含んだ製品は利用したくない…」といった考えを持っている方はいらっしゃいませんか?

もしあなたが、そのような考えを持っているなら、「CBDアイソレート」を利用することが非常におすすめです。

CBDアイソレートとは、安全性の高い「CBD」のみを含んだ製品のことで、HHCPなどの他の大麻から抽出される成分は含まれていません。

この製品は「CBD」のみを含んでいるため、安全性が高く、安全性を重視している方でも安心して利用できます。

CBDアイソレートについて詳しく知りたい方はこちら

CBD薬剤師の質問コーナー

CBDは車の運転前に摂取してはダメ?

CBDは多量に摂取してしまうと、「眠気」を感じる場合があると考えられているため、車の運転前のCBDの使用は控えることがおすすめです。

一説では、CBDによる眠気は「アデノシン(脳内物質)」の働きがCBDにより促進されることで起こるとされています。

2023年の研究では、高容量のCBD(300mg)とプラセボ(偽薬)を21名に投与し、CBDの運転に対する影響が評価されました。

その結果、統計的な有意差はなかったものの、CBDを投与された被験者には、軽度の運転能力の低下が見られました。

そのため、過度に心配する必要はありませんが、CBDを車の運転前に利用する際には注意が必要と言えます。

安全性の高いCBD製品を購入するためには?

CBDを選ぶ際は、以下のようなポイントに注意することをおすすめします。

  • 第三者機関の検査の有無を確認する
  • 薬剤師や医者が監修しているか確認する
  • 続けやすい価格帯で選ぶ
  • 成分をチェックして選ぶ

CBGで集中力があがるって本当?

CBGを摂ることで集中力があがる」といった噂を聞くことがありますが、それは本当なのでしょうか?

結論から言うと、「CBGで集中力が向上した」といったエビデンスは存在しないため、集中力を向上させる効果をCBGには期待できません。

稀にCBGを含んだ商品に「超集中力」や「集中力特化」などといった言葉が記載されていますが、鵜呑みにしないことがおすすめです。

ネット上には大麻由来の成分に関する誤った情報が見られるため、医師・薬剤師などが発信している情報を参考にしましょう。

また、情報が正しいか判断する方法の一例として、エビデンスや研究などが記載されているか確認することもおすすめです。

参考文献

  • Rudisill, T. M., Innes, K. K., Wen, S., Haggerty, T., & Smith, G. S. (2023). The effects of cannabidiol on the driving performance of healthy adults: A pilot RCT. AJPM Focus, 2(1), 100053.https://doi.org/10.1016/j.focus.2022.100053

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