近年「CBD」は、大麻に含まれる成分として日本でも注目を集めており、オイルやグミ・サプリメントなど様々な種類の製品があります。
特に、CBDオイルは効果を実感しやすく、手軽に使えるという理由から高い人気を集めており、ある調査では、女性の2人に1人が「CBDオイル」の使用経験があると回答したことが分かっています。
今回は薬剤師である私が、そんな「CBDオイルの効果」について詳しく解説したいと思います。
記事の後半では、「CBDオイルの効果を高める方法」や「CBDオイルのおすすめの使い方」もご紹介しているので、是非最後までご覧ください。
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そもそもCBDオイルとは?
CBDオイルとは、「CBD」と呼ばれる大麻由来の成分を「食用キャリアオイル」に溶かした健康食品のことです。
CBDオイルには、主に「MCT(ココナッツ)オイル」や「ひまわり油」・「オリーブオイル」などの「食用キャリアオイル」が利用されています。
ここでは、そんなCBDやCBDオイルについて解説したいと思います。
CBDとは?
CBDとは、「カンナビジオール(Cannabidiol)」の略称で、大麻草に含まれる主成分の1つです。
CBDは大麻草に含まれる成分ですが、「依存性」や「危険性」が無いことが分かっています。
実際に2017年には、「WHO(世界保健機関)」によって「CBDは乱用・依存に関する作用を示さない」といったことが報告されています。
さらに、CBDには、重篤な副作用が殆ど無いことも報告されており、安全性が高いことが分かっています。
近年日本でも、食品を初め嗜好品・化粧品などの幅広い分野で、CBDを含んだ製品の販売が拡大しているので、気になった方は是非チェックしてみてください。
CBDオイルの違法性や安全性
結論から言うと、日本で認可されている「CBDオイル」には違法性はありません。
確かに、日本では大麻由来の成分は「大麻取締法」によって規制されていますが、大麻草の成熟した種子や茎から抽出された「CBD成分」は規制対象にならないとされています。
日本で認可されているCBDオイルは、違法性が無い部位から抽出された「CBD成分」のみを含んでいるため、違法性がありません。
また、上記でも説明したように、「CBD」は安全性が高い成分なので、CBDオイルを利用したとしても健康面での問題は無いと考えられます。
ただ、過去には、CBD製品に危険物質や違法物質が含まれていた事件もあるため、利用する際は信頼できるブランドを選ぶことが重要です。
CBDオイルの効果とは?
ここまでの説明からCBDオイルがどうゆうものかお分かり頂けたと思いますが、具体的にはどういった効果が期待されているのでしょうか?
過去に行われた調査では、CBDオイルの利用者は、
- 不安やストレスの緩和
- 睡眠障害の改善と睡眠の質の向上
- 炎症や痛み緩和
などの効果を目的としてCBDオイルを利用していることが分かっています。
ここでは、CBDオイルに期待されている3つの効果をエビデンスを基に詳しく解説したいと思います。
不安やストレスへの緩和
現代の社会は「ストレス社会」とも呼ばれており、皆さんの中にも日々の生活の中で、強い不安やストレスを感じている方も多いのではないでしょうか?
CBDオイルには「抗不安作用」があるとされており、日常生活の中で感じるような「不安やストレス」を緩和する効果が期待されています。
実際に2011年の研究では、CBD(600mg)を投与された被験者には、不安やストレスの軽減が見られたことが分かっています。
さらに、2019年の研究でも、CBD(300mg)を投与された被験者は、不安が大幅に軽減されたことが報告されています。
これらの研究は、CBDオイルが不安やストレスに対して臨床的有用性を持つ可能性を示唆しており、今後に期待が高まります。
日常生活の中で感じる「不安やストレス」にお悩みの方は、試しにCBDオイルを利用してみることをおすすめします。
不眠症の改善と睡眠の質の向上
現代社会では、成人の3〜4割が不眠症状で悩んでいるとされており、不眠症は国民病となっています。
実は、CBDオイルは過去の研究から、不眠症の改善や睡眠の質を向上させる効果が期待されています。
2019年の研究では、72人の被験者に対してCBD(25mg/日)を投与することで、不眠症や不安に対する有用性が評価されました。
その結果、被験者の66.7%は睡眠に関するスコアが改善し、79.2%は不安に関するスコアが低下したことが報告されました。
また、他の研究では、CBDオイルを投与された被験者は、徐波睡眠(睡眠が深い状態)割合が増加し、睡眠の質が向上したことが報告されました。
「寝つき悪い」や「途中で目が覚める」といった不眠症状にお悩みの方や、睡眠の質を向上させたい方はCBDオイルやCBDサプリメントを利用してみてはいかがでしょうか。
炎症や痛みの軽減
皆さんの中に、炎症や痛みを伴う疾患でお悩みの方はいらっしゃいませんか?
CBDオイルには、抗炎症作用や鎮痛作用があると考えられており、関節炎や関節痛などの炎症や痛みを伴う疾患に対して効果が期待されています。
2017年の動物を用いた研究では、変形性関節症を患うマウスにCBDを投与することで、有用性を評価する実験が行われました。
変形性関節症とは、関節に「炎症」や「痛み」を伴う疾患であり、症状が悪化すると正座や階段の昇降が困難となるとされています。
研究の結果、CBDを投与されたマウスは、関節の「炎症」や「痛み」が抑制され、神経の損傷が軽減したことが報告されました。
一説では、これらのCBDの効果は、CBDが体内に存在するカンナビノイド受容体に作用することで、起こると考えられています。
関節炎や関節痛などの「炎症」や「痛み」を伴う疾患にお困りの方は、CBDオイルを利用してみるのもいいかもしれません。
CBDオイルの効果を高める方法
皆さんの中に、「CBDオイルを利用しているのに、十分な効果が得られない…」といった方はいらっしゃいませんか?
ここでは、CBDオイルの効果を高める方法を3つ紹介したいと思うので、お悩みの方は是非チェックしてみてください。
CBDオイルの摂取量を増やす
CBDオイルを利用しているのに、十分に感じられない場合は、十分な量のCBDオイルが摂取できていないことが考えられます。
そんな場合は、CBDオイルの摂取量を増やしてみることがおすすめです。
例えば、25mgのCBDを摂取している方は倍の50mgに、50mgのCBDを摂取している方は倍の100mgに摂取量を増やしてみてもいいかもしれません。
ただ、CBDには、一定の量以上を摂取してしまうと逆に効果が弱まる「釣鐘効果」といった特徴があるため注意が必要です。
この「釣鐘効果」から、適切な摂取量を把握せずに、多量にCBDを摂取すると逆に効果を弱めてしまう可能性が考えられます。
摂取量を増やす場合は、いきなり多量に摂取するのではなく、様子を見ながら摂取量を増やすことがおすすめです。
ブロードスペクトラムのCBDオイルを利用する
日本で合法に使用できるCBD製品は、「アイソレート」と「ブロードスペクトラム」の2種類があります。
アイソレートは、純粋なCBDのみが含まれているCBD製品のことをいいます。
一方、ブロードスペクトラムには、CBDに加えて他の成分(CBNやCBG・テルペンなど)が含まれています。
この製品は、上記の成分が相互に作用し合うことで、より強い効果(アントラージュ効果)を得ることができます。
さらに、このブロードスペクトラムは、上記で紹介した「釣鐘効果」を解消できることも明らかになっています。
「CBDの効果が実感できない」・「釣鐘効果を解消したい」といった方は、ブロードスペクトラムがおすすめです。
長期的にCBDオイルを利用する
CBDオイルを摂取しても効果が得られない原因の1つに、利用期間が短いということが考えられます。
CBDオイルはサプリメントのため、効果を実感できるまでの期間に個人差があり、摂取して直ぐに効果が現れるとは限りません。
一般的にサプリメントは、ゆっくりと体に働きかけるとされており、3カ月程度を目安に様子を見て利用することが推奨されています。
CBDオイルも同じく、摂取した直後に効果を感じる方もいますが、十分な効果を得るまでに数週〜数ヶ月かかる方もいます。
これらのことから、CBDオイルで十分な効果が得られない場合は、まずは1ヶ月間、摂取量を調節しながら様子をみてみましょう。
CBDオイルのおすすめの使い方
様々な効果が期待されている「CBDオイル」ですが、実は人によって適切な使い方が異なります。
ここでは、CBDオイルのおすすめの使い方を3つご紹介するので、自分に合った適切な使い方を見つけてみてください。
舌の裏から摂取する
CBDオイルの最もポピュラーな使い方としては、「舌下摂取」と呼ばれる方法が利用されます。
この方法は、舌の裏側にCBDオイルを数滴たらし、2〜3分キープすることで舌下の毛細血管からCBDの成分を摂取する方法となっています。
舌下摂取には、効果が出るまでの時間が30分前後、効果の持続時間が6時間前後といった特徴があります。
また、CBDの吸収率は20%前後となっており、他の摂取方法と比べても、比較的高いといった特徴もあります。
これらの特徴から、舌下摂取は「不安やストレスの緩和」や「不眠症の改善と睡眠の質の向上」を目的とした方におすすめの利用方法となっています。
ただ、人によっては、CBDオイルの独特の味や風味に苦手意識を感じる方もいるので、そういった方はにはおすすめできません。
食べ物や飲み物に混ぜて摂取する
CBDオイルのおすすめの使い方としては、食べ物や飲み物を混ぜて摂取することも挙げられます。
この使い方には、CBDオイルの独特の味や風味をあまり感じずに摂取できるといったメリットがあります。
CBDオイルを混ぜる食べ物としてはサラダやパスタ・デザートなどが、飲み物としてはコーヒーやお茶などがおすすめです。
また、この方法でCBDを摂取すると、舌下摂取よりも効果の持続時間が長くなるため、長時間効果を実感したい方にもおすすめとなっています。
ただ、CBDオイルは加熱に弱く、160〜180℃以上といった高温で蒸発してしまうため、オーブンで調理することが必要なメニューに混ぜるとCBDの効果がなくなるため注意が必要です。
肌に直接塗る
CBDオイルのおすすめの使い方としては、肌に直接塗ることで摂取することも挙げられます。
CBDオイルは分子サイズが非常に小さいため、肌や関節部・筋肉といったセルフケアにも利用することができます。
この使い方は、上記で紹介した2つの使い方と違い、直接的に患部にアプローチできるため、患部に痛みや炎症を伴う疾患に対して利用することがおすすめです。
また、CBDには保湿効果も期待されているため、美容目的で利用したい方も、肌に直接CBDオイルを塗ることもおすすめとなっています。
CBDオイルが購入できる4つの場所
CBDオイルが購入できる場所には、
- 楽天やAmazonなどの大手ECモール
- CBDブランドのECサイト
- CBD専門ショップなどの実売店舗
- SNSやフリマアプリ
などの4つが挙げられます。
皆さんの中にも、CBDオイルを「楽天やAmazonなどの大手ECモール」や「CBD専門ショップなどの実売店舗」で購入している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
特に、最近ではCBDオイルはCBD専門ショップ以外にも、「ドンキホーテ」や「マツモトキヨシ」などでも販売されているため、購入した経験がある方もいると思います。
ただ、CBDオイルは製品ごとに、含まれている成分や保存方法・使用方法などが異なるため、CBDオイルに関する情報を理解した上で購入することが重要となります。
そのため、CBDオイルの詳細な情報を記載している「CBDブランドのECサイト」での購入が最もおすすめとなります。
CBD薬剤師の質問コーナー
CBDオイルとヘンプオイルの違いは何ですか?
CBDオイルは、大麻草の様々な部位から抽出できるCBDを使用しているのに対して、ヘンプオイルは大麻草の種子(シード)のみを原料としています。
ヘンプシードにはCBDが含まれている訳ではありませんが、豊富に栄養素が含まれており、「スーパーフード」として注目が集まってきています。
具体的な栄養素としては、「リノール酸」や「α-リノレン酸」・「ビタミンE」・「リン」・「カリウム」・「ナトリウム」などがバランス良く含まれています。
CBDオイルとヘンプオイルは外見がよく似ているため、購入時に間違えないように、成分表示をよく確認することをおすすめします。
CBDオイルはハイになる?
結論から言うと、CBDオイルを摂取したとしても「ハイになる」ことはありません。
「ハイになる」と言われている大麻由来の成分はCBDではなく、「THC」と呼ばれる成分です。
THCは人体に存在する「CB1」と呼ばれる受容体に結合し、直接的に作用することで「ハイになる」ような精神活性作用を引き起こすとされています。
一方、CBDはTHCと違い「CB1」受容体に間接的に作用するため、「ハイになる」ような精神活性作用を引き起こすことはありません。
参考文献
- Cannabidiol presents an inverted U-shaped dose-response curve in a simulated public speaking test
- Cannabidiol Reduces the Anxiety Induced by Simulated Public Speaking in Treatment-Naïve Social Phobia Patients
- Attenuation of early phase inflammation by cannabidiol prevents pain and nerve damage in rat osteoarthritis
- Cannabidiol in Anxiety and Sleep: A Large Case Series
- CBDブランド Greeus × 早稲田大学睡眠研究所共同研究レポート公開「CBDが睡眠に与える影響 」