CBDは近年、リラクゼーションといった様々な効果が期待されており、世界中の様々な国々で注目を集めています。
そんなCBDですが、近年「関節リウマチにも効果が期待できる」といった噂を稀に耳にすることがあります。
今回は薬剤師である私が、「CBDは関節リウマチに効果があるのか」ということや、「おすすめのCBDの摂取方法」を解説したいと思います。
また、現在X(旧Twitter)・Instagramにて、CBDを含む大麻成分に関する情報をエビデンスを基に発信しているので、気になった方は是非チェックしてみてください!
そもそもCBDとは?
CBDとは、Cannabidiol(カンナビジオール)の略称であり、大麻草から抽出される「カンナビノイド」という成分の1つです。
大麻から抽出される成分であることから、安全性に疑問を感じる方もいるかもしれませんが、CBDには依存性や中毒性が無いことが分かっています。
実際に、CBDの安全性の高さは、国際機関の1つである「WHO(世界保健機関)」にも認められています。
また、CBDは過去の研究から、
- 睡眠の質の改善
- 鎮痛作用
- 抗炎症作用
- 抗不安作用
- 抗てんかん作用
などの効果が期待されており、アメリカなど一部の海外では医薬品としても利用されています。
近年、CBDに関する研究は世界中で活発に行われており、美容や健康など幅広い分野での活用が期待されています。
関節リウマチってどんな病気?
関節リウマチとは、免疫の異常によって手や足の関節が腫れたり、痛んだりする自己免疫疾患の一種です。
日本のリウマチ患者は、約70〜100万人いると言われており、毎年約1万5000人が発症していると考えられています。
ここでは、そんな関節リウマチの症状や要因・治療法などについて解説したいと思うので、是非確認してみてください。
関節リウマチの症状
関節リウマチの症状には個人差があるとされていますが、主な症状としては、
- 関節の痛みと腫れ
- 関節のこわばり
- 関節の変形
などがあるとされています。
関節の痛みや腫れは、初期に発症する症状であり、手足の小さな関節(指の関節・手首・足の指など)によく見られるとされています。
次に、関節のこわばりは、初期段階から中期にかけて現れる症状であり、腫れや痛みとともに発症することが多いとされています。
特に、この症状は朝起きた時に顕著に起こるとされており、一般的に症状が起床後1時間以上続くと言われています。
最後に、関節の変形ですが、この症状は中期から後期に発症するとされており、関節の炎症が持続し、骨が破壊されることで起こります。
関節リウマチにより関節の変形が起こると、徐々に「ボタンをかけたり」、「ペンを持ったり」することも難しくなり、日常生活にも支障をきたしてしまいます。
関節リウマチが起こる要因
結論から言うと、関節リウマチが起こる要因は完全には解明されていません。
ただ、現段階では「遺伝的要因」・「環境要因」・「ストレス」などの要因が関係しているのではないかと考えられています。
まず、遺伝的要因に関してですが、ある調査では、関節リウマチの方の3親等以内は、関節リウマチの発症率が33.9%と高かったという報告があります。
このように、関節リウマチは必ず遺伝するわけではありませんが、遺伝とある程度関係があると考えられています。
次に、環境要因についてですが、これは「喫煙」や「感染症」・「ホルモンバランス」といった複数のことが要因として挙げられます。
最後に、「ストレス」についてですが、これは身体的・精神的なストレスが免疫システムに影響を与え、関節リウマチのリスクを高めるのではないかと考えられています。
関節リウマチの治療法
関節リウマチは治療法として、主に「薬物治療」が利用され、状況によって「理学療法」や「手術」などの治療が行われます。
薬物治療には、「抗リウマチ薬」や「生物学的製剤」などが使用されますが、「皮膚症状(湿疹やじんま疹)」などの副作用が起こる場合があるとされています。
また、理学療法では、症状の緩和や関節機能の維持・日常生活の質の向上などを目的とし、「関節可動域運動(ROM運動)」や「ストレッチ運動」などが行われます。
このように、関節リウマチの治療法には様々な種類がありますが、最適な治療法には個人差があるため、担当医と相談し、治療を進めることが重要となります。
CBDは関節リウマチに効果が期待できる?
ここまでの説明から、「CBDと関節リウマチがそれぞれどういったものか」ということがお分かり頂けたと思います。
では、実際にCBDは関節リウマチに効果が期待できるのでしょうか?
ここでは、CBDは「関節リウマチに効果が期待できるのか」ということを解説したいと思うので、気になった方は是非チェックしてみてください。
CBDの関節リウマチに対する効果は完全には分かっていない
結論から言うと、現段階では「CBDのみ」を利用した関節リウマチに対する臨床研究はないため、CBDの関節リウマチに対する効果は完全には明らかになっていません。
ただ、CBDには「抗炎症作用」が期待されているため、関節リウマチに対して有効なのではないかと考えられています。
実際に2006年の研究では、CBDを含んだ医薬品「サティベックス(Sativex)」を使用した関節リウマチ患者には、痛みの改善が見られたことが報告されています。
さらに、カナダで行われた研究では、CBDを含んだ薬剤「IHL-675A」を使用した関節リウマチ患者は、炎症と痛みの緩和において有望な結果が見られたことが報告されています。
これらの研究は、CBDのみを利用した研究ではないため、関節リウマチに対する効果が100%分かるわけではありませんが、CBDの有効性を示唆しています。
ちなみに、上記でも説明したCBDの抗炎症作用は、CBDが「CB2」と呼ばれるカンナビノイド受容体に間接的に作用することで引き起こされると考えられています。
CBDが関節リウマチに対して有効性が期待される理由
上記では、CBDには抗炎症作用が期待されており、関節リウマチに対して有効であると考えられていることを説明しました。
しかし、実はCBDは他の理由からも、関節リウマチに対して有効なのではないかと考えられています。
ここでは、CBDが関節リウマチに対して有効性が期待される理由を3つ解説したいと思うので、是非確認してみてください!
関節リウマチを予防する可能性があるから
上記でも説明したように、「ストレス」は関節リウマチを引き起こす要因の1つなのではないかと考えられています。
実は、CBDは過去の研究から、関節リウマチの要因となる「ストレス」を緩和する効果が期待されています。
実際に2011年の研究では、600mgのCBDを投与された被験者には、「ストレス」の軽減が見られたことが明らかになっています。
また、この研究では、被験者の「不安感」・「不快感」・「認識障害」が大幅に軽減したことも報告されています。
この研究は、不安やストレスに対して、CBDが臨床的有用性がある可能性を示唆しており、今後の更なる研究に期待が高まります。
関節リウマチの要因となる「ストレス」を緩和したいと考えている方は、試しにCBDを摂取してみてもいいかもしれません。
合併症である「睡眠障害」に対して効果が期待されているから
関節リウマチなどの自己免疫疾患は、合併症である「睡眠障害」を引き起こし、睡眠の質が低下することがあるとされています。
CBDが関節リウマチに対して有効性が期待される理由として、この合併症である「睡眠障害」に対しても効果が期待されていることが挙げられます。
2019年の睡眠障害の患者に対してCBDを投与した研究では、患者の66.7% には睡眠スコアの改善が見られ、79.2% には不安スコアの低下が見られたことが報告されています。
また、他の研究では、CBDを投与された被験者には、「徐波睡眠(睡眠が深い状態)」の割合の増加が見られ、睡眠の質が向上したことが報告されました。
「寝つき悪い」や「途中で目が覚める」といった睡眠障害にお悩みの方や、それによって起こる睡眠の質の低下を改善したいと考えている方は、試しにCBD製品を利用することをおすすめします。
合併症である「うつ病」に対して効果が期待されているから
実は、関節リウマチ患者の中には、うつ病を合併する方もいることが分かっており、過去の研究では、約14〜48%の方がうつ病を合併していることが報告されています。
CBDが関節リウマチに対して有効性が期待される理由として、この合併症である「うつ病」に対しても効果が期待されていることが挙げられます。
実際に2016年のマウスにCBDを投与した研究では、マウスには即効性のある「抗うつ作用」が確認されたことが報告されています。
さらに、他の研究でも、CBDが「三環系抗うつ薬のイミプラミン(トフラニール)」と同様の「抗うつ作用」を示したことが示唆されています。
これらの研究結果は、臨床試験レベルではありませんが、CBDの関節リウマチの合併症である「うつ病」に対する有用性を示唆しており、今後に期待が高まります。
現在、関節リウマチに対する臨床試験が行われている
上記では、「CBDのみ」を利用した臨床試験はないということを説明しましたが、実は現在進行形で「CBDのみ」を利用した臨床試験が行われています。
その研究は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で行われており、「ランダム化プラセボ対照二重盲検臨床試験」が用いられています。
また、研究は中等度から重度の関節リウマチ患者に対して、CBD(200、400mg)または、プラセボ(偽薬)を投与することで行われています。
この研究結果は現段階では発表されていませんが、過去の研究結果を踏まえれば、有意な結果が得られることが期待できます。
結果が発表され次第、皆さんにもご共有したいと思いますのでご期待ください。
CBDを利用する際のおすすめな摂取方法とは?
関節リウマチに対してCBDを利用する場合、CBDの摂取方法として「経口摂取」や「経皮摂取」を利用することをおすすめします。
理由としては、この2つの摂取方法は、効果の持続時間が他の摂取方法に比べて長く、関節リウマチによって生じる慢性的な炎症や痛みを軽減することが期待できるからです。
特に、CBDクリームなどを利用した経皮摂取は、関節リウマチによって生じる「局所的な痛み」や「炎症」を軽減することが期待できます。
また、他の摂取方法として、CBDオイルを用いた「舌下摂取」、CBDベイプを用いた「吸引摂取」が挙げられますが、これらの摂取方法は効果の持続時間が上記の2種類と比べ短くなっています。
CBDを利用する際は薬との飲み合わせに注意する
関節リウマチ患者の方で以下のような薬を服用されている方は、CBDとの飲み合わせに注意する必要があります。
- メトトレキサート(Methotrexate)
- ヒドロキシクロロキン(Hydroxychloroquine)
- レフルノミド(Leflunomide)
- トファシチニブ(Tofacitinib) など
なぜなら、CBDは、人体に存在する薬物代謝酵素「CYP450」の働きを阻害する作用があることが分かっているからです。
CBDによって「CYP450」の働きが阻害されてしまうと、薬の血中濃度が高くなり、通常よりも強い副作用が起こってしまう可能性があります。
ただ、「日本臨床カンナビノイド学会」の発表では、CBDの摂取量が1日「2mg/kg/以下」であれば、CBDが薬物代謝に影響を与える可能性は低いとされています。
そのため、体重が50kgの方は摂取するCBDの量が100mg以下、体重が100kgの方は200mg以下であれば問題ないと言えます。
個人的には、薬を服用されている関節リウマチ患者の方は、CBDを摂取する前に医師に相談することをおすすめします。
CBD薬剤師の質問コーナー
CBD以外のカンナビノイドは、睡眠に対して効果が期待できる?
結論から言うと、CBD以外のカンナビノイドでは「CBN」が睡眠に対して効果が期待されています。
2021年に行われた研究では、不眠症を患う患者に対するCBN製品の有用性が評価されました。
研究の結果、CBN製品を利用した不眠症を患う患者は、利用前に比べ、睡眠障害の発生が大幅に改善したことが示唆されました。
このように、CBNは睡眠に対して効果が期待されていますが、現段階では研究が十分ではないため、今後の更なる研究に期待が高まります。
参考文献
- Preliminary assessment of the efficacy, tolerability and safety of a cannabis-based medicine (Sativex) in the treatment of pain caused by rheumatoid arthritis
- Incannex Commences Dosing in Phase 2 Clinical Trial Assessing IHL-675A in Patients with Rheumatoid Arthritis
- Cannabidiol Reduces the Anxiety Induced by Simulated Public Speaking in Treatment-Naïve Social Phobia Patients
- CBDブランド Greeus × 早稲田大学睡眠研究所共同研究レポート公開「CBDが睡眠に与える影響 」
- Use of a water-soluble form of cannabinol for the treatment of sleeplessness
- Cannabidiol induces rapid-acting antidepressant-like effects and enhances cortical 5-HT/glutamate neurotransmission: role of 5-HT1A receptor