近年「CBD」は、美容や医療業界において、日本含めた世界中の多くの国々から注目を集めています。
そんな中、CBDとよく似た成分である「CBDV」というカンナビノイドをご存じでしょうか?
今回は薬剤師である私が、CBDVの効果や安全性・違法性・人体に作用するメカニズムについて解説したいと思います。
記事の後半では、「CBDとCBDVの違い」についてもご紹介しているので、気になった方は是非最後までご覧ください。
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日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師
日本臨床カンナビノイド学会認定登録師
所属学会:日本薬理学会、日本緩和医療薬学会、日本在宅薬学会、日本臨床カンナビノイド学会
CBDVとは?

CBDVとは、「Cannabidivarin(カンナビディバリン)」の略称であり、大麻草から抽出できるカンナビノイドという成分の一種です。
CBDVには、精神作用が無いことが分かっており、CBDと同じように様々な疾患に対して効果が期待されています。
ここでは、そんなCBDVの安全性や違法性・人体に作用するメカニズムについて簡単に解説したいと思うので是非ご覧ください。
CBDVの安全性は分かっていない
CBDVは、CBDのように臨床試験の数が多くはないため、人体に対する安全性が完全には分かっていません。
ただ、CBDVは過去に企業によって行われた試験から、「安全性が高いのでは?」と考えられています。
GWファーマシューティカルズ社では、被験者に対してCBDVを投与することで、安全性を評価する試験が行われました。
この試験では5日間の間、被験者は1日に800mgのCBDVを経口投与、もしくは5mgのCBDVを静脈投与されました。
試験の結果、被験者に経口投与・静脈投与されたCBDVは、忍容性が良好だったことが報告されています。
「認容性が良好」とは、副作用が殆どなくあったとしても非常に軽いという意味です。
この安全性試験は、CBDVの安全性の高さを示唆していますが、安全性に関する研究が少ないため、今後の更なる研究に期待が高まります。

日本で流通しているCBDVには違法性がない

CBDVやCBDなどの大麻由来成分の違法性は、かつては抽出される大麻草の部位によって判断されていましたが、現在の日本では制度が改正され、主に製品中に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の量によって規制される仕組みに変更されています。
2024年の法改正により、大麻取締法は見直され、大麻由来成分であっても、一定基準以下のTHCしか含まない製品であれば合法的に流通・使用が可能となりました。一方で、THCが基準値を超えて含まれる製品は違法となります。
そのため、日本で流通しているCBDやCBDV製品は、「成熟した茎や種子から抽出されたかどうか」ではなく、THC含有量が法令で定められた基準以下であることが合法性の条件となっています。
また、CBDV自体には精神活性作用が知られておらず、現時点では麻薬及び向精神薬取締法において個別に指定された規制成分ではありません。
CBDVが人体に作用するメカニズム
CBDVは、人体に存在する「ECS(エンドカンナビノイドシステム)」と「TRPチャネル」の2つに作用することで効果を発揮すると考えられています。
ECSとは、脳・心臓・神経などの調整を行う生命維持機能のことであり、CBDVが間接的に作用することで「TLR4抗炎症作用などが起こるとされてます。
一方、TRPチャネルとは、温度やの物理的・化学的刺激を感じ取る「細胞の感覚センサー」であり、多くの生体機能の調整に関係しています。
実際に2010年のCBDVを用いた研究では、CBDVが「ECS(エンドカンナビノイドシステム)」と「TRPチャネル」に作用することが示唆されています。
また、一部の研究では、CBDVが「GABA受容体」や「TLR4受容体」などに作用したという報告もあり、今後の更なる研究に期待が高まります。
CBDVの効果とは?
ここまでの説明から、CBDVが「人体に対してどのように作用するのか」ということがお分かり頂けたと思います。
では、CBDVには、どんな効果が期待できるのでしょうか?
ここでは、CBDVに期待されている効果を詳しく解説したいと思います。
抗けいれん作用

CBDやCBG・CBCなどの大麻に含まれる成分には、痙攣を伴う疾患に対して効果が期待されていますが、実はCBDVにも抗けいれん作用が期待されています。
2012年のマウスやラットを用いた研究では、CBDVの「けいれん」に対する有用性を観察する実験が行われました。
実験の結果、CBDVはマウスやラットに対して、有意な抗けいれん効果を発揮したことが報告されました。
また、2019年の研究では、CBDV(50〜200 mg/kg)を投与されたラットには、けいれん発作の緩和が見られたことも分かりました。
これらの研究は動物実験レベルですが、CBDVに抗けいれん作用があることを示唆しています。
鎮痛作用
皆さんの中に日々の生活の中で、慢性疼痛などの痛みを伴う疾患にお悩みの方はいらっしゃいませんか?
CBDVは過去の研究から、鎮痛作用があるとされており、痛みを伴う疾患に対しても効果が期待されています。
実際に2022年に公開された研究では、CBDVが「TLR4」と呼ばれる受容体に作用することで、鎮痛作用を示したことが報告されています。
この研究では、CBDVには「モルヒネ(鎮痛薬)が持つ鎮痛効果を高める」「モルヒネの人体に対する耐性を弱める」といった可能性があることも示唆されています。
また、CBDVに期待されるような鎮痛作用は、CBDやCBG・CBNなどのカンナビノイドにも期待されています。
痛みを伴う疾患などにお悩みの方は、CBDやCBG・CBNといった他のカンナビノイドと一緒にCBDVを摂取してみることをおすすめします。
抗炎症作用

抗炎症作用がある成分としては、「アスピリン」や「イブプロフェン」などが有名ですが、実はCBDVにも抗炎症作用が期待されています。
2019年のマウスと潰瘍性大腸炎の小児患者を用いた研究では、CBDVの抗炎症作用を評価する実験が行われました。
実験の結果、CBDVはマウスと潰瘍性大腸炎の小児患者の炎症の原因物質である「サイトカイン」を減少させ、腸の炎症を緩和したことが示唆されました。
また、この研究では、CBDVの抗炎症作用は「TRPチャネル」の1つである「TRPA1」に作用することで発揮されることも示唆されています。
CBDVの抗炎症作用に対する研究は未だ十分ではありませんが、今後の研究によっては、新たな治療薬として利用されることが期待されます。
吐き気の緩和
CBDVは過去の研究から、吐き気を緩和する効果が期待されています。
実際に2013年のラットを用いた研究では、CBDVとTHCVに吐き気を軽減する治療効果の可能性が示唆されています。
THCVとは、CBDVやCBDと同じカンナビノイドの1つであり、現在は規制されており、日本では利用することができません。
また、吐き気を緩和する効果は、CBDVやTHCV以外に「CBD」にも期待されています。
最近では、CBDVを含んだCBD製品も販売されているので、二日酔いや乗り物酔いなどが原因で起こる吐き気を緩和したいと考えている方は試しに利用してみてもいいかもしれません。

CBDVの効果が期待できる疾患
抗けいれん作用や抗炎症作用など様々な効果をもつCBDVですが、具体的にはどのような疾患に効果が期待できるのでしょうか?
ここでは、CBDVの効果が期待できる疾患を詳しく解説します。
難治性てんかん

CBDVは、「難治性てんかん」に対して効果が期待されています。
難治性てんかんとは、既存の抗てんかん薬では十分な効果が得られないてんかんのことであり、「ドラベ症候群」・「レノックス・ガストー症候群」などが挙げられます。
2022年の研究では、難治性てんかんを患う被験者5人に対してCBDVを投与することで、有用性を評価する実験が行われました。
この実験では、被験者にCBDVを含む経口溶液 (50 mg/ml) を投与し、10mg/kg/日まで滴定されました。
実験の結果、CBDVを投与された3人の被験者は、月の平均発作頻度が75%減少したことが報告されました。
この研究結果、CBDVの難治性てんかんに対する有用性を示唆しており、今後「てんかん」の新たな治療薬になることが期待されます。
自閉症スペクトラム
CBDVは、「自閉症スペクトラム」の症状を改善することが期待されています。
自閉症スペクトラムとは、対人関係が苦手、もしくは強いこだわりがあるといった発達障害の一種です。
2019年の研究では、自閉症スペクトラムのラットに対してCBDVを投与することで、治療・予防効果を評価する実験が行われました。
実験の結果、CBDVは治療効果において、マウスの社会的障害や短期記憶障害などを改善したことが報告されました。
さらに、CBDVは予防効果において、社交性と社会的新規性の欠如や運動過剰を減少させたことが報告されました。
このように、CBDVは自閉症スペクトラムに対して有用性を示しており、新たな治療手段として期待できます。
また、現在自閉症スペクトラム症の子ども(5〜18歳)100名に対して、CBDVの臨床試験が行われており、結果に注目が集まっています。
レット症候群

CBDVは、指定難病の1つである「レット症候群」に対しても効果が期待されています。
レット症候群とは、遺伝的な神経発達障害の一種であり、知的障害やてんかん発作・自閉症状が起こるとされています。
2018年の研究では、レット症候群のマウスに対してCBDVを投与し、潜在的な治療効果を評価する実験が行われました。
この研究では、マウスはグループごとに異なる量のCBDV(2・20・100 mg/Kg)が投与されました。
実験の結果、CBDVを投与されたレット症候群のラットは、健康状態や社交性・脳重量の回復が見られたことが報告されました。
このように、CBDVは治療法のないラット症候群に対して有用性を示しており、革新的な治療手段として期待されています。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー
CBDVとCBDは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下DMD)の症状を緩和することが期待されています。
DMDとは、男児に発症する先天性の疾患の一種であり、「慢性的な炎症」や「運動機能の低下」・「筋肉損傷」などの症状が見られます。
2019年の研究では、DMDのマウスにCBDV(60mg・kg-1)またはCBD(60mg・kg-1)を投与し、有用性が評価されました。
その結果、CBDとCBDVを投与されたマウスは、筋組織内の炎症が軽減し、運動機能が改善したことが報告されました。
さらに、CBDVとCBDは「筋肉損傷」の原因となる「オートファジー(細胞を分解する作用)」を改善させたことも示唆されました。
今回の研究は動物実験レベルですが、CBDVとCBDの「DMD」に対する有用性を示唆しており、今後に注目が集まります。
CBDとCBDVはどっちがいい?
ここまでの説明から、「CBDVに期待されている効果」や、「CBDVの効果が期待できる疾患」がおわかり頂けたと思いますが、実際CBDとCBDVのどちらを利用するのがいいのでしょうか?
ここでは、「CBDとCBDVの違い」と「CBDとCBDVはどっちがいいのか」ということを解説したいと思います。
CBDとCBDVの違い

ここまで、CBDVの基礎情報や効果について説明してきましたが、名前が似ている「CBD」とは何が違うのでしょうか?
まず、そもそもCBDVとCBDは構造が少し異なります。
CBDVは炭素原子が5つあるのに対してCBDは3つあり、一説では、この違いが異なる効果を生み出す要因となるのではないかと考えられてます。
具体的には、CBDにはリラックスやストレス緩和などの効果が期待されていますが、CBDVにはそういった効果は期待されていません。
次に、CBDVはCBDに比べて、ECS(エンドカンナビノイドシステム)に対する効力が75%程弱いことがわかっています。
最後に、CBDVはCBDに比べて希少性が高いため、これまでに行われた研究の数が少なく、安全性や効果に対する根拠が十分ではありません。
安全性ならCBDがおすすめ
上記で紹介したような効果から、医療分野での活用が期待されているCBDVですが、人体に対する安全性は完全には明らかになっていません。
そのため、高用量のCBDVを摂取した際に、人体に対して重度の副作用が起こる可能性もゼロではありません。
もしあなたが、安全性を重要視している方なら、安全性が高いことが分かっている「CBD」のみを利用することがおすすめです。
実際にCBDの安全性の高さは、「WHO(世界保健機関)」などの国際的な機関にも認められています。
個人的には、カプセルタイプのCBDサプリメントを利用することがおすすめなので、CBD製品を利用したいと考えている方は是非チェックしてみてください。

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