天然成分であるCBDは、リラックスやストレス緩和といった効果などから日本でも注目を集めています。
そんなCBDですが、最近では「お酒と一緒に摂取することは危険である」といった噂を耳にすることが増えてきています。
今回は薬剤師である私が、「CBDとお酒(アルコール)の併用は危険か」ということや「CBDのお酒(アルコール)に対する効果」について解説したいと思います。
本記事を読むことで、CBDとお酒の関係性を深く理解できると思うので、是非最後までご覧ください。
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そもそもCBDとは?
CBDとは、カンナビジオールの略称であり、大麻草の成熟した茎や種子から抽出される天然成分の1つです。
CBDは大麻由来の成分ですが、安全性が高いことが分かっており、日本でも合法的な成分として扱われています。
大麻草の成分で依存性や違法性があるのは、「THC」と呼ばれる成分のことであり、CBDとは全く異なる成分です。
また、CBDは過去の研究から、
- ストレス緩和
- 不眠の改善
- 肌トラブルの改善
- アンチエイジング効果
- てんかんの症状の緩和
- 吐き気の緩和
などの効果が期待されており、海外では多くの疾患に対して利用されています。
最近では、日本でもCBDを含んだサプリメントやオイルが販売されているので、気になった方は是非チェックしてみてください。
CBDとお酒(アルコール)の併用は危険?
皆さんの中に、「CBDとお酒(アルコール)を一緒に摂取してもいいか不安…」といった方はいらっしゃいませんか?
ここでは、「CBDとお酒(アルコール)の併用は危険か」ということをエビデンスを基に解説したいと思います。
人体に対する悪影響は確認されていない
結論から言うと、現段階ではCBDとお酒(アルコール)を一緒に摂取した際の人体に対する悪影響は確認されていません。
『Psychopharmacology』に掲載された研究では、10人の被験者に対して「CBDカプセルとアルコール」・「アルコール単体」を投与し、人体に対する影響が観察されました。
その結果、「CBDカプセルとアルコール」を摂取した被験者と「アルコール単体」を摂取した被験者は、運動・精神障害レベルに違いが見られませんでした。
この研究結果からも分かるように、CBDとお酒(アルコール)を一緒に摂取したとしても基本的には問題が無いと言えます。
ただ、CBDとアルコールに関する臨床試験の数は少なく、未だ解明されていないことが多いため、過剰摂取には注意が必要となります。
CBD×お酒(アルコール)で相乗効果が期待できる
CBDはリラックス効果がある成分として有名ですが、実は「お酒」にもリラックス効果が期待されています。
そのため、CBDとお酒を一緒に利用することで、「リラックスの相乗効果」を期待できると言われています。
実際に1979年の海外の論文でも、CBD単体の摂取に比べ、CBDとアルコールの併用した場合には、
- 運動能力と精神運動能力の低下
- 体感時間の延び
などが見られたことが報告されています。
これは、CBDとお酒(アルコール)を一緒に摂取することで、筋肉が弛緩し体の緊張が解けることで、リラックス(鎮静)している状態だと考えられます。
最近では、CBDを含んだビールやワインなども販売されているため、相乗効果を期待したい方はチェックしてみましょう。
CBDのお酒(アルコール)に対する効果
「酒は百薬の長」という言葉があるように、適度な飲酒は人生に彩りを与えてくれますが、付き合い方を間違えると、人体に悪影響を与えることがあります。
実はCBDには、そんな「お酒(アルコール)」が原因で起こる人体に対する悪影響を解消する効果が期待されています。
ここでは、CBDのお酒(アルコール)に対する効果を6つご紹介したいと思うので、気になった方は是非最後までご覧ください。
二日酔いを予防する
皆さんの中にも、「お酒を飲んで、二日酔いになったことがある」といった方は多いのではないでしょうか。
お酒によって起こる「二日酔い」は、アルコールの血中濃度が高くなり過ぎることで引き起こされるとされています。
CBDには、アルコールの血中濃度を低下させる効果があるとされており、二日酔いを予防することが期待されています。
実際に、1970年代の研究では、アルコール単体の摂取に比べ、アルコールとCBDを同時に摂取した場合は、血中のアルコール濃度が大幅に下がったことが報告されています。
この研究は、CBDの二日酔いに対する有用性を示唆しており、今後の更なる研究に期待が高まります。
吐き気や嘔吐を抑制する
お酒を過剰に摂取すると肝臓がアルコールを処理しきれず、嘔吐中枢が刺激され、「吐き気」や「嘔吐」が引き起こされる場合があります。
CBDは過去の研究から、そんな「吐き気」や「嘔吐」を抑制する効果が期待されています。
実際に2011年の研究では、CBDを投与されたラットは、吐き気や嘔吐が抑制されたことが報告されています。
これは、動物を用いた研究ではありますが、CBDには「吐き気」や「嘔吐」を抑制する効果があることを示唆しています。
また、CBDと同じ大麻由来の成分の「CBDA」も、CBDと同じく吐き気を抑制する効果が期待されています。
お酒によって起こる吐き気や嘔吐を抑制したいと考えている方は、試しにCBDやCBDAを含んだ製品を利用してみることをおすすめします。
頭痛を緩和する
体に入ったお酒は、肝臓で分解され、その際に「アセトアルデヒド」という毒性物質が作られます。
アルコールを一度に大量に摂取すると、体内で多くの「アセトアルデヒド」が発生し、頭痛が引き起こされると考えられています。
CBDには、過去の調査から「頭痛」を緩和する効果が期待されています。
アメリカの「アクソン・リリーフ(Axon Relief)社」では、CBDオイルを患者に投与し、頭痛に対するCBDの効果が評価されました。
この調査は、105人の患者に対して「HIT-6」という「頭痛が日常生活に及ぼす影響を数値化するテスト」が使用されました。
調査の結果、参加者の86%が「頭痛が緩和した」と回答し、頭痛を感じた日数が平均3. 8日減少したことがわかりました。
この調査は臨床試験レベルでは行われてはいませんが、CBDの頭痛に対する有用性を示しています。
脳細胞のダメージを緩和する
実は、お酒を過剰に摂取を続けると、「脳細胞の破壊」や「組織細胞の損傷」が起こったり、慢性疾患のリスクが高まることが分かっています。
CBDは、そのようなお酒(アルコール)が脳へ与える影響を緩和する効果が期待されています。
2019年の研究では、アルコールを投与されたラットにCBDを投与し、CBDの有用性を評価する実験が行われました。
実験の結果、CBDを投与されたラットは、アルコールによって起こる脳細胞の損傷が最大49%軽減されたことが報告されました。
動物実験の結果が、必ずしもヒトにも当てはまるとは限りませんが、お悩みの方は試しにCBDを摂取してもいいかもしれません。
肝臓のダメージを緩和する
アルコールを過剰に摂取すると、肝臓に負担がかかってしまい、人によっては肝機能に障害が起こる可能性があります。
肝機能に障害が起こってしまうと、「全身の倦怠感」・「食欲低下」・「嘔気」などの症状が起き、最終的には命が脅かされる可能性があるため非常に危険です。
CBDは過去の研究から、アルコールによって起こる肝臓のダメージを緩和する効果が期待されています。
2017年の研究では、エタノールを摂取したマウスにCBD(5〜10mg/kg)を投与し、有用性が評価されました。
その結果、CBDはマウスの肝臓の「炎症」や「酸化ストレス」などを軽減し、エタノールによる肝損傷を改善したことが示されました。
さらに、他の研究では、CBDが「アルコール性肝障害」の原因となる「脂質蓄積」を改善する効果があることが示唆されました。
これらの研究は、動物実験レベルですが、「アルコール性肝障害」に対する有用性を示しており、今後に期待が高まります。
アルコール依存症を緩和する
アルコール依存症とは、アルコールを繰り返し多量に摂取することで、精神的・身体的に依存が起こっている状態のことです。
CBDは、過去の研究から、「アルコール依存症」に対して効果があるとされています。
2017年の動物実験では、エタノールを投与したマウスにCBDを投与することで、依存症に対する有用性が評価されました。
その結果、CBDを投与されたマウスはエタノールに対する依存が緩和し、エタノールの摂取量が減少したことが示唆されました。
この研究は動物実験レベルではありますが、CBDのアルコール依存症に対する有効性を示唆しています。
睡眠の質の改善
上記でも説明したように、アルコールを摂取すると「アセトアルデヒド」という毒性物質が生成されます。
この物質には「覚醒作用」があるとも言われており、睡眠の質そのものを低下させると考えられています。
CBDには睡眠の質を向上する効果が期待されており、アルコールによって起こる睡眠の質の低下を改善できる可能性があります。
実際に2022年の研究では、CBDを投与された被験者には、睡眠の質の向上が見られたことが報告されています。
CBDで睡眠の質を改善したい方は、効果の持続時間の長いとされている「CBDサプリメントやオイル」がおすすめです。
CBDとアルコールを併用する際の注意点
CBDとお酒を併用する際は、いくつかのポイントに注意する必要があります。
ここでは、CBDとお酒(アルコール)を併用する際のポイントを2つ紹介したいと思います。
CBDとアルコールの過剰摂取に注意する
CBDとアルコールを併用する際は、それぞれの摂取量に注意する必要があります。
上記でも説明したように、アルコールを過剰摂取した場合は、人体に対して「二日酔い」や「吐き気・嘔吐」などの悪影響を人体に与える可能性があります。
一方、CBDは過剰に摂取してしまうと、
- 眠気
- 動悸
- のどの渇き
- 軽度のめまい
- お腹が緩くなる
などの副作用を感じる場合があるとされています。
ただ、皆さんの中には「CBDの適切な摂取量が分からない…」といった方は多いのではないでしょうか?
そんな場合は、体重1kgあたりで「0.25〜0.5mg」のCBDを1日に2回摂取することをおすすめします。
これは体重が60kgの人では一回当たりCBD15mg〜30mg(一日2回だと30㎎~60㎎)、体重80kgの人では一回あたりCBD20mg〜40mg(一日2回だと40~80㎎) に相当します。
また、仮に上記の量でCBDの効果が感じられない場合は、1日ごとに「0.5mg」ずつのCBDを増量してみることがおすすめです。
CBDが現れるまでの時間を考慮する
CBDは、摂取方法によって「効果が現れるまでの時間」が異なるとされています。
「効果が現れるまでの時間」を正しく理解していないと、CBDをアルコールに対して利用した際に思った通りの効果が得られないことが考えられます。
CBDの摂取方法ごとの「効果が現れるまでの時間」は、以下の値を目安程度に参照ください。
- 経口摂取(CBDサプリメントなど) :30分〜1.5時間前後
- 舌下摂取(CBDオイル・ティンクチャー) :30分前後
- 吸引摂取(CBDベイプ・ジョイント) :数分〜10分前後
アルコールによっておこる「頭痛」や「吐き気」などに対して短期間で効果を感じたい場合は、効果が現れるまでの時間が短い吸引摂取を利用することをおすすめします。
一方、「二日酔いの予防」や「アルコール依存症の改善」など長期的にCBDの効果を感じた場合は、効果が現れるまでの時間が長い経口摂取を利用することがおすすめです。
CBD薬剤師の質問コーナー
CBDオイルで捕まる?
結論、日本で認可が下りているCBDオイルを利用・購入しても捕まることはありません。
日本では大麻由来の成分は、大麻取締法によって制限されており、所持や譲渡を行うことは違法となっています。
ただ、大麻草の成熟した種子や茎に含まれている「CBD」は大麻に該当しません。
日本で認可が下りているCBDオイルには、違法性が無い部位に含まれているCBDしか含まれていないため、利用・購入しても捕まりません。
CBDを控えるべき状況はありますか?
Janine Corroon博士によって行われた治療の専門家に対する調査では、患者にCBDの使用を控えるよう指示する状況については以下のような回答が寄せられました。
- 妊娠中
- 授乳中
- 重度の精神疾患を抱えている
- 重度の循環器疾患を抱えている
- 特定の処方箋薬と併用している
上記のような状況下で、CBDを利用したい場合は、かかりつけの医師・薬剤師に相談してみることをおすすめします。
どうしてCBDは、ベイプとエディブルで効果の強さが違うの?
結論から言うと、CBDを吸収する方法が違うため、効果の強さが異なります。
ベイプの場合、CBDは気管支を通じて「肺の毛細血管」から直接、血中に吸収されます。
一方で、エディブルは胃腸からCBDが吸収された後、肝臓でCBDの一部が代謝されてしまいます。
そのため、ベイプには即効性があり、効果が強いという特徴があります。
反対に、エディブルはベイプよりも効果が弱いですが、効果の持続時間が長いといったメリットがあります。
このように、CBDは摂取方法によって「効果の強さ」や「作用時間」が異なるため、目的に合わせた摂取方法を選びましょう。
参考文献
- Interaction of cannabidiol and alcohol in humans
- Interaction between non-psychotropic cannabinoids in marihuana: effect of cannabigerol (CBG) on the anti-nausea or anti-emetic effects of cannabidiol (CBD) in rats and shrews
- Survey Shows CBD Has Positive Impact on Migraines
- Unique treatment potential of cannabidiol for the prevention of relapse to drug use: preclinical proof of principle
- Cannabidiol protects liver from binge alcohol-induced steatosis by mechanisms including inhibition of oxidative stress and increase in autophagy
- CBDブランド Greeus × 早稲田大学睡眠研究所共同研究レポート公開「CBDが睡眠に与える影響 」